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赤坂整形外科

院長のオリジナルの考えをのせています。今までの考えを残してゆくつもりで筆を執りました。読み物だと思ってください。
下肢の痛みでわかってきたこと
118、膝の痛み5 

今回は、若い方の膝の痛みから、変形性膝関節症の話に移ります。

円板状外側半月板の話

 前々前回の図を振り返って見ます。膝は、硬い軟骨の間に、半月板と呼ばれる柔らかい軟骨が挟まれる形をしています。半月板は硬い軟骨と違って、膝の動きとともに、ある程度動くようになっていて、膝のクッションになっています。半月板と呼ばれますが、膝を輪切りの形にして見ると、実際は、内側、外側ともに三日月形です。
 この半月板が、実際に半月の形をしている方がたまに?います。ほとんどが外側の半月板(LM)です。この形の半月板を、円板状半月板と呼びます。半月の形をしているものは、通常の半月板よりも分厚くて、動きにくくなります。そのため、無理な動きや、繰り返しの負担で、通常の半月板よりも傷めやすくなります。この形は、生まれつきですので、若いうちから、傷めることが多くなり、小学生で、膝が痛いと訴えてきた子供(ほとんどが男の子です。)の中にたまに見られます。最初に診られる特徴は、膝の伸びが悪くなる(仰向けに寝て膝を伸ばそうとしても完全に伸びずに、膝の後ろが床に付きません。)症状です。半月板が損傷を受けると、内側でも、外側でも年齢にかかわらず、膝の伸びが悪くなることが多々あります。完全に伸ばそうとする時に半月板が動くのですが、損傷により、痛くて、その動きが出来なくなると考えています。小学生ほどの若い年齢では、半月板を含めてからだの柔軟性が高いため、半月板が損傷を受けること事態が少なく、半月板損傷の症状が出た時は、もともと損傷を受けやすい円板状の形をしてる可能性が高いのです。半月板は、レントゲンでは写りませんので、症状が改善しない時は、MRI検査を行うとその形がわかります。軽い損傷ですと、安静と、超音波治療などで、改善しますが、改善しない時は、手術を考えます。

 この形の半月板を放っておくと、どうなるかと言う話をします。
 実は全く症状が出ないまま、年を取った方に遭遇しました。内側の半月板を傷めていると診断したために、関節鏡を行った老年にかかった年の男の方でした。外側の半月板を見ると、なんと円板状半月板だったのです。レントゲンでは、極端に外側の関節の隙間が広い=外側の軟骨がしっかりしている 一方で、内側の関節の隙間が非常に狭くなっている=内側の軟骨が磨り減っている 状態になっていました。
 つまり、外側の円板状半月板があり、そのままの形を保ったまま年を取ると、外側がしっかりしている代わりに、内側の軟骨が傷んでくるようです。
症状が少しでもすっきりしない時は、形を三日月形にする(もどす)手術を薦めます。手術は、通常、関節鏡を見ながら行う、内視鏡視下の手術で済みます。開業してからも、この病気で数人、膝の専門の先生に紹介しております。

年を取ってからの軟骨の障害は、内側に強い。

 変形性膝関節症は、内側から傷んでくることが多い。ということです。
前述した外側円板状半月は、その形になる典型例ですが、そのような原因がなくても、内側の軟骨から磨り減って、関節の隙間が狭くなるタイプの変形が最も多いのです。変形性膝関節症の話は、次回からにします。

MRI検査と、関節鏡という言葉が出ましたので、そのことに関連して少し補足します。

MRI検査で、わからないことも多い。

 MRIとは、強力な磁場の中において、身体にラジオと同様の周波数の電磁波をあてて、それにより、水素原子から発する電磁波を拾って、コンピューターで計算処理して画像にしたものです。CTと違ってレントゲンは使いませんが、条件をいろいろ変えて、画像にしますので、時間はかかります。組織の状態のちょっとした違いが、CTよりもわかるため、画像からの情報量は多くなります。
 膝の画像で、円板状半月板であることは形の違いが出るため、比較的わかりやすいのですが、実際に半月板が損傷を受けている、十字靭帯が損傷していることは、わからない場合も多いのです。つまり、痛みが出る=検査で異常が出る ということではありません。

関節鏡の検査でもわからないこともある

 関節鏡は、検査といっても、しっかり下半身麻酔を行い、感染しないように清潔にして手術室で行います。=手術と同じです。膝に小さな穴を開けて、関節鏡の装置(=関節用の内視鏡です)を膝の関節の中に入れ、直接目で見ます。それでも、どこが痛みの原因になっているかわからない場合もありました。
 最近、どの科でもブーム?になっている内視鏡¬を見ながら、小さな切開だけで手術を行う方法は、膝の関節鏡(=内視鏡)を見ながら小さな切開で手術を行う方法から始まっていると考えられます。膝の関節鏡を見ながらの手術も普及したのはここ20年ぐらい前からで、それ以前は、関節鏡は見て検査するだけで、その後、普通に切開を行って手術していました。他の関節や、腹部や、背骨の手術を内視鏡を見ながら手術を行う方法が普及したのは、さらにその後、ごく最近、ということです。
| 下肢痛 | 09:36 | - | - | - | - |
下肢の痛みでわかってきたこと
117、膝の痛み4 若い方の膝の痛み

 引き続き、若い方に多く診られる膝の痛みからお話します。わかりにくい、つまらないときは、読み飛ばしてください。また、治療の話は後回しとさせていただきます。

膝蓋骨に膝蓋靭帯が付いている周囲の痛みが多い。

 小学生ぐらいのお子さんから、中学、高校のスポーツを行っている方に、当院では一番多く診られる痛みです。整形外科の教科書に載っている半月板の損傷や、靭帯の損傷に比べると、はるかに多いのです。
 前々回の図で説明したように、ジャンプの着地や、膝を急激にストップさせる動作では、膝蓋骨と、その靭帯に強く力がかかります。深い屈伸でも、同様に引っ張られて負担がかかります。このような動作を繰り返し行っているお子さんは、この部分の痛みが出やすくなります。加えて、膝蓋骨周囲に痛みが出やすくなる原因として、膝蓋骨と大腿骨の適合があまりよくない方(女子に多いです)、膝蓋骨の軟骨が強くない方(こちらも女子に多いです)、もともと関節が柔らかくて、膝が前後に遊びが大きい方(大腿骨に対して下腿骨が前後方向に動く方がいます。通常は靭帯で固定されて動きません。こちらは男子にも多いです。)などが考えられます。整形外科の教科書に載っている膝蓋骨に挟み込むようになって障害となる、棚と呼ばれる組織がある方もいますが、診察ではっきりわかる方は少ないです。もちろん、これらの痛みが出やすくなる原因がなくても起こります。

 この膝蓋骨から膝蓋靭帯付着部周囲の痛みは、少年少女だけではなく、若い女性、中年の男性まで(=変形性関節症になる前の方)多く診られます。年を取ってくると、変形性関節症の痛みが加わって、別の場所が痛みの原因になったり、痛みの出所がはっきりしない方が多くなります。いずれにしても、半月板損傷、靭帯損傷よりはるかに多く診られます。

オスグットシュラッテル病は、この一連

 オスグットシュラッテル病とは、膝蓋靭帯が、脛骨に付いている部分=前々回の図で、膝蓋骨の膝蓋靭帯付着部と反対側の、膝蓋靭帯が、脛骨に付いているTT(脛骨結節)側の障害です。10代のスポーツするお子さんに多く診られます。女子にも見られますが、男子の方が多い印象です。力がかかる動作は、前述と全く同じです。この部分は、成長線(=骨端線)がある上、若いうちは軟骨ですので、負荷に弱いため、痛みが出やすいのです。俗に言う、膝の部分の成長痛の場所です。
 教科書では、この部分の骨の壊死(骨が死んでくる病気)をさす病名ですが、実際は、壊死している方は稀ですので、この部分を痛がる病態すべてをこの名称で呼ばせていただきます。実は、開業する前は、この病気はあまり多くない と思っておりました。ところが、開業してみて、若い方が大勢来るようになり、この病気が意外に多いことに驚かされました。多いといっても、前述した膝蓋骨付着部周囲の障害の方よりは少ないです。
 痛みの出方も徐々に痛くなる方、急な動作で、急に痛くなる方(=その部位の靭帯付着部損傷、軟骨損傷、剥離骨折と同様となります。)などさまざまです。したがって、急な怪我で、痛みが強い時は、治療はギブス固定でもよいと考えます。(以前、整形外科医の仲間内で、オスグットシュラッテル病を、剥離骨折と診断して、ギブス固定をした先生がいるという笑い話があったのですが、私は笑えませんでした。)

 若いうちは、骨が出来ていませんので、レントゲンを撮っても異常が見られません。少し骨が出来てくる年になりますと、まず、骨の固まり、かけらのように見えてきます。その後の経過で、痛みがかなり続いていると、そのまま骨が癒合せずに、骨片(ひとつの小さな骨の塊)となります。他方、比較的に無理をしないでいると、骨がとがったような形で、癒合します。双方とも、この間は、骨の成長線が閉じるまでの過程ですので、数年かかります。実はこの治り方の違いは重要と考えています。骨がとがった形でも、癒合してしまえば、その後ほとんど痛みが出ません。ところが、骨片として治ると、つなぎ目がどうしても繊維組織でつながっていて、骨より弱いので、負荷に弱く、痛みの原因になります。治るなら、骨がつくように治ることをお話しています。経過は、3ヶ月毎のレントゲンで変化が見られることも多く、持続する痛みの方は、経時的にレントゲンを撮影して、説明しております。

膝の緩みは、怪我をしなくても起こっている方がいる。

 大腿骨に対して、下腿骨(脛骨)が、前後方向に動く方、ゆるみがある方がいるとお話しました。通常は、前々回の図のように、ACL(前十字靭帯)と、PCL(後十字靭帯)でとまっていて、動くことがありません。他に、半月板の動き具合も関与しているようで、(膝の専門家ではないのではっきりわかりませんが、)もともとゆるい膝の方がいます。両方とも同じ動き(ゆるい)なのでわかります。ところが、明らかな怪我なくても、片方だけにゆるみがある方がいます。スポーツなどで片方だけに負荷がかかり過ぎて、膝のACLなどの靭帯や、半月板にゆるみが出てきて、不安定になってきたと考えています。
 スポーツを行っている方にこの現象を診たのは、実は、医師になって2年目の時です。怪我もしていないのに、診察で、どう診ても、片方の膝にゆるみがあるのです。当時の病院には、膝の専門の先生はおりませんでしたので、他の大学の膝を専門にしている卒業後6年目ぐらいの先生にこのことを伺ったのですが、答えは返ってこなかったことを覚えています。その後、このことを質問する機会はなく、いまだに真相はわかっていませんが、後になって、膝の関節鏡を行っている時に、怪我をしたこともないのに、ACL(前十字靭帯)が痕跡程度にしかない若い女性にも遭遇しましたので、機能が悪くなりやすい靭帯の状態(細かったり、靭帯の骨への付着部が弱かったりなど)の方がいてもおかしくないと考えています。
 ゆるい状態の膝は、半月板など、他の損傷を起こしやすくなりますし、いいことはありません。先ほど述べた女性も、半月板損傷で関節鏡を行っていました。ACLがないことがわかったのは、関節鏡を行った結果です。
| 下肢痛 | 08:25 | - | - | - | - |
下肢の痛みでわかってきたこと
116、膝の痛み3

今回は、膝が痛いという訴えの時、膝だけが悪いとは限らない  という話からはじめます。

 下肢全体へ行く神経は、腰(腰椎)から出て、骨盤の中を通り、下肢へ行きます。腰(腰椎椎間板ヘルニアなど)や、骨盤(以前述べた腰脚症候群(ブログ2007.4月))の時には、腰や骨盤と同時に膝に痛みがくることもありますし、腰や骨盤が痛くなくて、膝だけに痛みがくることがあります。逆に、膝が悪くて、かばって歩いたりする影響で、骨盤に痛みがくる(腰脚症候群になっている)方もいます。9骨盤、膝、ともに悪くて、同時に痛みが出ている方もいます。腰骨盤が少しでも痛みの原因になっている方は、膝の痛みも強くなります。そのため、どちらの痛みがメインなのかわかりにくい方もいます。
 経験上、大元の腰椎、骨盤で神経が刺激されて痛みが出ている方で、膝や、足が悪い方は、痛みを強く感じるようで、実際はあまり悪くないにもかかわらず、膝や足の痛みを強く訴える傾向があります。

怪我の後、膝が伸びない =股関節部の骨折のことがある

 高齢の方が、ステンと転んで直接、骨盤を打つ怪我の後、膝が痛い、膝が伸びないと訴えた時、股関節の大腿骨頚部骨折(手術になることの多い骨折です。)の場合があります。軽いと足がつけますので、要注意です。診察するとわかりますので、歩けない時は、無理に歩かせないことが重要です。もちろん、膝をひねったような転び方は、膝が悪くて膝が伸びなくなる場合が、圧倒的に多いです。

幼い子供は要注意!圧倒的に多い股関節炎

 どこが痛いか伝えられる年齢からみられます。診察すると、実際は股関節が原因となっていることがわかります。股関節から痛みが膝の方に伝わって、膝が痛いと訴えます。原因がわからないこともありますが、風邪の時、風邪を引いた後に診られることが多く、程度も、びっこを引くぐらいのものから、痛くて全く足がつけないものなどさまざまです。この股関節炎は、10歳ぐらいの年齢まで診られますが、年が増すと、はっきり股関節部の痛みを訴えますので、膝が痛いと訴えてくるのは、小学校入学前の年齢ぐらいの方に多い印象です。

幼い子供の話が出ましたので、次は、幼い子供の膝の痛みの話をします。

幼い子供の一時的な膝の痛み

 時々夜膝を痛がって夜鳴きをする などと親が訴えて来られます。よく成長痛(=このような病気?は整形外科の教科書には載っておりません。)ですかと聞かれるのですが、診察時には、すでに所見もなく、原因もわからないことがほとんどです。幼い頃は、風邪などの引き始めや、体調が悪くなる時などの前触れとして、変な夢を見たりして、夜鳴きをすることもあり、同じような状態が膝の痛みとして出るのではないかと考えています。ただし、膝には、大腿骨側と、脛骨側それぞれに骨端線(=骨の成長線)があり、小学生ぐらいの子になると、運動もよくしますので、その部分を押さえると痛がる子供もいますので、俗に言われている成長痛のこともあるようです。

持続的に膝を痛がっていた、お子さんが白血病だった!!

 医者になって2年目の時のことですので、記憶が不鮮明になっていますが、小学校入学前の年齢ぐらいの女の子だったと思います。診察しても毎回何も異常所見がないので、経過を診ていたのですが、一月以上経っても痛みが引きませんでした。医者になりたての時の大学病院での、上の先生の講義?(=すぐに役立つ勉強会のようなもの)で、わからなかったらとりあえず、血液検査をする と言う先生がおられて、そのことを覚えていましたので、嫌がる子供を抑えて?血液検査をしてみたのです。しばらくたって、検査室から直接電話がかかってきて、先生ちょっと来てください というのです。検査室に入っていくと、顕微鏡をのぞいてみてください と言われました。当時は、勉強もしないバカ医者でしたので、のぞいてもよくわからなかったと思いますが、結果は白血病でした。そもそも、幼いお子さんが膝の痛みを長期に訴えることなど稀です。一時的な痛み、普段はけろっとなんでもないときは、前述のように心配することはないと考えていますが、持続的に訴え続ける時は注意を要します。膝を触ったり、たたいたりすると痛みが出る部位があるときは、骨に何か病気があるかないか時間を経てレントゲンを取り直します。腫れたり、熱感があるのなら、炎症を起こす病気を考えて血液検査を行います。しかし、このようなことは稀なのです。
| 下肢痛 | 08:39 | - | - | - | - |
下肢の痛みでわかってきたこと
115、膝の痛み2

 まず、前回の話の補足から

診察所見があっても、症状がない時は、無理をすると痛みが出る可能性がある

 足をたらして座って、膝頭を手で触った時、ジクジク音などを感じることは慣れると自分でもわかるようになります。足を浮かして座るほうがよいのですが、寝ていて脚を開いて膝を曲げたときなどもわかることがあります。このような時は、普段は何も症状がなくても、スポーツをしたり、膝を酷使すると、痛みが出る可能性があり、あまり無理しないことを勧めます。

膝の変形が進行して、歩けなくなると手術になるが、変形が強くても、進行が止まれば、日常生活は送れる

 膝の変形がかなり進んでいても、進行が止まれば、痛みも落ち着き、ある程度は歩くことが出来ます。前回述べた日常生活の注意事項(屈伸、階段、自転車を避ける)を守る。筋肉トレーニング(後述する予定)を行う。ヒアルロン酸注射を行う。超音波治療などのリハビリテーションを行う。これらを受けることで、進行が止まる段階にある方は、変形がかなり進んでいる膝(レントゲンで軟骨が磨り減ってしまって、全くないように見える膝)であっても、進行を止めることができる印象です。しかし、来院された時に、これよりも既に進んでいる状態にある場合は、残念ながら、改善が見込めないのです。日常生活の注意事項に当てはまることは既にすべて出来ない。膝の筋肉トレーニングも骨と骨がこすれあって、痛みが強くて行えない。ヒアルロン酸注射を行っても、超音波治療を行っても改善しない。これらの状態に既に進んでいる方は、歩けるようにするためには手術を考えるしかない と判断しております。この辺が保存的治療の限界と感じております。


今回は、膝の簡単な構造を見ながら、話をします。

 膝の軟骨が傷んで磨り減ってくると、それを修復するように骨がとんがってくる、(=骨棘)が出来てくると述べました。これが変形性関節症です。膝では、その軟骨が、半月板と呼ばれる柔らかい軟骨(黄色)と、硬い軟骨(水色)で出来ています。柔らかい軟骨の半月板は、左上の断面図で見るように、MM(=内側半月板)と、LM(=外側半月板)があり、実際は三日月形です。硬い軟骨と違って、膝の動きに合わせて動くようになっていて、右上の正面から見た図でわかるように、硬い軟骨同士が直接擦れることのないように、膝の関節の重要なクッションの役割をします。動きがある分、激しい動きや、無理な動きがあると、傷みやすくなります。若い方が、怪我やスポーツで傷め易いという事です。柔らかい軟骨を傷めたまま、放っておいてそのまま膝を使い続けると、次第に硬い軟骨が削れてきて傷んできます。つまり、若いうちに柔らかい軟骨(半月板)を傷めると、硬い軟骨が、次第に傷んできて、早くから変形性関節症になりやすくなります。半月板を損傷すると、出来るだけ修復するような処置(手術)をする必要があるのはこのためです。ただし、半月板も損傷の形では、自然に修復することも多く、手術になるのは、修復しない形の損傷の時のみです。また、半月板はクッションの役割をしますから、なくなる(=手術で全て摘出する)と、直接硬い軟骨同士がぶつかり合うこととなり、硬い軟骨が、早く磨り減って、一度なくなった痛みも激しく使うと再び出てきますし、変形性関節症になることも確実です。スポーツ選手で膝の手術を受けて復帰してまた痛くなるパターンの選手の中には、この状態になっている可能性があると考えています。半月板を手術で出来るだけとらないような修復する考えになったのは、ここ20年ぐらいです。それ以前は、悪くなった半月板は全て摘出していました。現在でも、損傷がひどいと、全て摘出せざるを得ませんので、膝の痛みは、ひどくなる前に、早めに診断治療を受けることをお薦めします。
 靭帯の損傷も要注意です。大事な靭帯は、ACL(=前十字靭帯)MCL(=内側側副靭帯)です。ACLは、中央下の図で、膝関節の下側の脛骨が、上側の大腿骨に対して、前に動くことを制動します。この靭帯が切れると、下腿(脛骨)が、前に動いて、膝が不安定となり、階段の上り下りを初めとして、スポーツで急に踏ん張ることが出来なくなり、スポーツをする方を含めて、ある程度動かれる方は、不便になります。さらに、緩いままにしておくと、半月板などのほかの損傷を起こす原因にもなり、長い年月を考えると、やはり変形性関節症になってゆきます。そのため、ギブス固定の後、しっかりした装具固定での保存的治療が最低必要で、その治療で修復する見込みがない形の損傷は、手術をすることが多くなります。一方、PCL(=後十字靭帯)は、膝関節の下側の脛骨が、上側の大腿骨に対して、後ろに動くことを制動します。こちらも切れると、下腿(脛骨)が後ろに動いて、膝が不安定になるのですが、日常生活や、スポーツであまり不便を感じることがないので、通常は手術になることがありません。MCLは、きれると、右上の正面図で、MM側(=内側)が極端に開くような不安定な膝になります。通常は、ギブス固定と装具治療の保存的治療で改善しますが、MMとつながっていて、MM(内側半月板)と一緒に損傷することもあり、ひどい時は、手術を行います。
 同じ靭帯と名前がついていても、膝蓋靭帯は、少しニュアンスが違います。ACLと同じように、中央下の図で膝蓋骨とともに、下腿(脛骨)が、大腿骨に対して前に行くことを抑える形になります。したがって、ACL(前十字靭帯)と同じように、膝を急に踏ん張る体勢や、階段歩行では、同じように力がかかりますし、膝の屈伸でも、伸び縮みするので、かなり負担がかかります。このような動作を繰り返していくうちに、膝蓋骨の軟骨が傷んで、膝蓋骨の骨の変形が始まります。靭帯そのものが切れることはほとんどなく、膝蓋骨周囲に負担がかかるのです。また、靭帯が脛骨に付くTT(=脛骨結節)に、痛みや損傷がくることもあり、こちらが、若い方の膝(=脛骨)の骨の成長線の痛みとなる部分です。

 いろいろ重症になるような話をしてきましたが、通常は、これらのことが、徐々に来ます。使い続けているうちに、次第に柔らかい軟骨も磨り減ってきて薄くなり、それとともに、硬い軟骨も磨り減ってきます。膝蓋骨の軟骨も傷んで磨り減ってきて、骨がそれを修復しようととんがったりしてきて、変形性関節症のなってゆくのです。また、経験上、急に損傷した方も、徐々に悪くなってきた方も、手術になる方はごくわずかです。通常の方は、ギブスや装具の固定、超音波治療、筋肉トレーニングなどのリハビリテーション、ヒアルロン酸の注射などで改善する印象です。
| 下肢痛 | 14:13 | - | - | - | - |
下肢の痛みでわかってきたこと
今回から再び、わかってきたことシリーズの医学の話にもどります。

114、膝の痛み1

 整形外科医の中でも、膝の外科は専門にしている先生は大勢おられます。専門的な病気のことや、治療に関しては、間違っていると困りますので、ここでは、手術とはならない膝の痛みに関して、臨床経験から勝手に感じていることを述べさせていただきます。


膝の痛みは、年を取られた方だけではなく、スポーツをする若い方にも多く診られる。

 膝の痛みと言うと、年を取って、軟骨が痛んですりへる、それを補うように、骨がとがったり、変形してくる、いわゆる変形性膝関節症が多い と、開業するまでは思っておりました。勤務医時代は、ほとんど午前中しか外来を行っていませんでしたので、学校帰りや、仕事帰りの午後から来る可能性の高い若い方を、見る機会が少ないためです。開業後は、小学生から中学生などの若い患者さんがとても多いことに驚かされました。
 定期的にスポーツをしている子に多いのですが、スポーツをしていない子でも、体育や課外活動で走ったりすることが多いので、痛みを訴えてきます。特に中高生はスポーツ系の部活動を行っている子が多く、小学生は毎日スポーツを行っている子は少ないので、そうとも限らない場合が多い印象です。男子が多いかと言うと、これまた女子で膝の痛みを訴える方も多いのです。

症状が軽いと、診察で悪い所見が出なくなる。

 しゃがんだ時だけ痛い、使っていると段々痛くなる、スポーツするとしばらくして痛くなるなど、負荷をかけないと症状が出ない時は症状が、軽い場合と考えます。寝て、体重がかからない状態で、診察しますので、押しても、ひねっても、曲げても何も診察で異常が出なくなります。
 というのが、今までの見解でしたが、最近、急に伸ばした時のひざの硬さや抵抗感、急に最大限に曲げた時の膝の硬さ、抵抗感などのわずかな左右差で、まだ治っていない、いくらかは悪い ことがわかるようになってきました。特に、曲げた時のわずかな角度や、抵抗感の差で、しゃがむと痛いでしょうとか、まだ正座が出来ませんね とかわかるようになりました。さらに、膝の正面を触っているうちに、左右の腫れ具合のちょっとした差もわかるようになり、以前より、治っていない 悪くなっている ことがわかるようになってきたと思っております。

逆に、診察で所見があっても、症状がないときもある。

 私は、まず、膝から下をベットサイドにたらしてもらって診察を開始します。(以下のことは、整形外科の教科書には載っておりません。)その時、膝頭=皿の周囲を触るだけで、ジクジク、プチプチ、シャリシャリなどと、微妙な表現の炎症所見のを手に感じることがあります。次に、そのまま膝を伸ばす方向、蹴飛ばす方向に力を入れてもらい、私は手で抵抗して、力比べしてもらいます。これは、大腿四頭筋の筋力を見ると同時に、筋肉トレーニングにもなります。その時に、膝頭=皿周囲を触りながら行うと、ジクジクしていた音が消える=感じなくなる方、逆にジョリジョリ音がしだす=感じだす方、運動をし終えた後、再び、皿周囲を触ると、ジクジク音を感じ出す方など、また、動かしている時に、ジョリジョリ音を非常に強く感じる変形性関節症の方などいろいろです。
 これらの症状がある方は、確実に膝に炎症があるのですが、必ずしも本人に痛みなどの自覚症状があるとは限りません。特に、ある程度年齢が高く、皿周囲のジョリジョリ音のみ残る女性の方は、痛みがなくなりました、痛くありません、と訴える方が多いです。

膝の痛みが残ると困るのは、スポーツをする方

 裏を返せば、膝をよく使う男の方や、スポーツなどを行う方には、自覚症状が残りやすいと言うことです。膝をあまり酷使しない、ある程度の御高齢の女性は、自覚症状が出なくなるのです。さらに言い換えれば、膝の痛みなどの自覚症状が残ると困るのは、スポーツをする方など、膝をある程度酷使している方 となります。ジャンプして着地する時の衝撃や、横に動いたり、ひねったり、屈伸の負荷など、通常よりもはるかに強い負荷に耐えなければならないからです。

膝に負担がかかる日常動作  自転車が意外に痛みが出る

 一般的に言われていることは、階段歩行、重いものを持って歩く、正座などです。正座は、体重をかけて膝を深く曲げていますので、体重をかける屈伸運動も膝に負担がかかります。寝て、体重を載せずに曲げ伸ばしをすることは、負担がはるかにかかりませんので、膝の動きの悪い方の訓練には向いています。(ただし、やり方には注意が要りますが)
 自転車は、あまり体重が膝にかかりませんので、開業前は、膝に負担があまりかからないと考えていましたが、意外に自転車をこぐと膝が痛くなる方が多いのです。ジムにあるトレーニング用自転車こぎと違って、乗り出す時にバランスを取らなければならず、膝に力を入れてけり出す必要があることや、坂道などで、膝に力をいれて曲げる動作が多くなるため、などを考えています。
 このようなことは、日常生活動作で避けるような注意事項で、繰り返し行っていると、膝はよくなりません。

 他に、立ち続けると痛くなる、座り続けていて、立つ時痛いが、動いているうちに軽くなる、朝起きた時の動かしだしが痛い、などの症状を訴える方もいます。曲げたら曲げたまま、伸ばしたら伸ばしたままなどの同じ膝の形(体勢)を長く続けないことがよいのですが、こちらは、使うと痛くなる方よりは重症ではありません。

正座が出来ないだけです と言う訴え。

 膝がよくなって、最後に出来ないこととして残る場合が多い症状です。治療を継続していても、なかなか正座が出来るようになるまで回復してこないこともありますが、根気よく治療を続けると出来るようになることも多いです。あと少しで出来そうなときは体重の軽くなる湯船の中での練習を薦めています。屈伸を含めて、なかなかできない時は、ヒアルロン酸の注射を薦めるときもあります。ヒアルロン酸は、炎症を抑えて組織の回復力を高める作用が強く、損傷の回復も促進しますので、保険適応の、変形性膝関節症以外にも効果があります。注射自体が、症状よりも痛いので、どうしても治りたいと言う強い意志が必要です。
 正座が出来ない期間が長く続くと、正座が出来る見込みが少なくなります。正座が出来ない変形性関節症の方を、もう一度正座が出来るようにすることは困難=曲がりが悪くなった膝を再び曲がるようにすることは困難 ということです。膝が充分曲がらなくても、正座が出来なくとも、日常の生活は普通に送れる程度に回復する(=歩けると言うことです。)場合も多いので、目標を欲張らないことを薦めます。

年を取ったときの膝の進行する痛み=歩けなくなると手術しかない。

 軟骨が磨り減って、骨と骨が直接こすれるほどの膝であっても、進行が止まって安定すれば、痛みも軽くなって、ある程度の日常生活が送れます。しかし、痛みが継続して改善しない時は、保存的治療には限界があります。歩行する能力を保持するには人工膝関節の手術を受けることしか手段がない場合もあります。来院したときに、すでに症状が進みすぎていて、いかなる治療を行っても痛みが改善しない(=歩けるようにならない)方のうち、手術を受けても、歩行能力を維持したい希望がある方は、膝の専門の先生に紹介しております。手術を絶対受けたくないという方は、そのまま治療を継続しております。

| 下肢痛 | 20:35 | - | - | - | - |
下肢の痛みでわかってきたこと
105、すねの痛み2

怪我でない場合

若者のスポーツ障害

 多くは、すねの前面の中央よりやや下の内側部分に痛みが出ます。激しい運動を行っている10代の若者に多く診られます。脛骨の前面の骨膜の炎症が、シンースプリントと呼ばれます。その横の内側の筋肉の膜の炎症こともあります。陸上競技、サッカー、野球など、種目を問いません。ダンスをする方にも診られています。
 症状が強い時は、エコー検査で、痛みのない側に比べて、骨膜の肥厚、筋膜の肥厚が見られることがあり、このような場合は、スポーツをしばらく休むように薦めています。

 この部分のテーピングの固定方向は、私が話した踵を固定する方向と全く同じ(足痛78、踵の痛みに関連するテープ固定参照)で、ただ内側と後方のテープを長く固定しただけです。この固定で楽になると言うことは、つまり、すねの痛みの原因も、踵の周りの関節があまり強くない場合に起こることが推測されます。
 固定方法は、踵は内返しに固定します。そのテープを、痛みが出ているすねの部分まで、延長して固定するのです。踵の横方向の固定は、足先が外に向くように。アキレス腱方向にも足底から引き上げるように固定します。当院では、これにプラスαとして、腓腹筋から、すねの内側の筋肉を緩めるように、後ろから前に横方向に固定を加えています。実は、このすねのすぐ内側の深部を走っている筋肉の障害は重要です。後述します。

腓骨(ひこつ)は細いので、疲労骨折する

 すねの外側の足関節のやや上に痛みが出ている時は、この骨に負担がかかっている可能性があります。足部の中足骨と比べると、頻度は少ないのですが、疲労骨折を起こすことがあります。この部分は、前回あまり必要でない部分と話しましたが、痛みが出ると、運動障害になりますので、痛みが引くまでは無理な運動を控えるように指導しています。

スポーツ障害の共通の治療方法 
 運動した後痛みが出る場合は、アイスイングでよいです。その後、風呂に入っても構いません。その後再びシップをはっても構いません。温めて冷やす、温冷浴効果(私の薦める治療40)になるからです。当院では、テーピングのほか、超音波治療、トリオ治療で効果を挙げています。

放置すると恐ろしい下腿コンパートメント症候群

 前述したすねの内側の深部を走る筋肉の障害は放置してはいけない部分です。この筋肉は、後脛骨筋と呼ばれ、足を内返しにしたり、足の縦のアーチ=土踏まずを支えています。下腿の筋肉はしっかりした筋膜で包まれていて、4つの部分(=コンパートメント)に分かれています。使いすぎて筋肉が壊れたりして、炎症を起こして腫れると、この筋膜に阻まれて、膨らむことが出来なくなり、筋肉自体がどんどん圧迫されて、ひどくなるとその筋肉が壊死してしまいます。特に、このすねの内側の深部にある後内側コンパートメントは狭いために、障害が出やすいのです。
 運動だけで、そこまでひどくしてくる方は診たことがないのですが、骨折のあとの外傷後、下腿の骨の手術のあとは、腫れやすいので、生じることがあります。起きてしまったら、速やかに、皮膚を開いて、筋膜を切開する手術をしなければなりません。手術で、プレートを入れて固定した時は、かさが増しますので、起こり易くなります。起こす可能性がある(術中、腫れが強く、皮膚が閉じれなくなります)ときは、あらかじめ筋膜と皮膚を閉じずに開いておいて、腫れが治まってから後から皮膚移植をすることもあります。(腫れが引いても、開いた部分を後からそのまま閉じることは再圧迫されることも考えて、通常しません。)
 したがって、この部分の痛みが強い時は、絶対安静です。
 (このコンパートメント症候群は、前腕でも起こる事があるのですが、こちらは診たことがありません。)
| 下肢痛 | 09:41 | - | - | - | - |
下肢の痛みでわかってきたこと
104、すねの痛み1

 下腿の前側の痛みの話です。
 下腿には、太い脛骨(けいこつ)、細い腓骨(ひこつ)の二つの骨があります。

怪我による痛み

弁慶の泣き所を打撲すると、すぐ治らないこともある。

 階段を上る時に足を滑らせて、弁慶の泣き所と呼ばれる下腿の前(=すね)の部分を打って、非常に痛い経験をしたことがある方は、多いと思います。
 ここは、脛骨の前の部分の皮膚のすぐ下に骨がきている部分です。皮下脂肪も薄く、筋肉などのプロテクトするものもないため、直接骨を打撲する形になり、非常に痛みを強く感じます。筋肉、腱などの軟部の手術に比べ、骨を削ったり、繋げたり、骨の手術のあとの方が、術後はるかに痛みが強いことからも、骨で感じる痛みは辛い のです。
 ここを打撲した後、すぐに痛みが引いた時はたいしたことはないのですが、腫れて、痛みがなかなか引かない時は要注意です。通常、この怪我で、骨が折れることはありませんので、レントゲンを撮っても、異常無し ですが、骨の表面の骨膜と呼ばれる部分を傷めていると、血腫と呼ばれるものが出来、それが、硬い繊維化組織と呼ばれるものに置き換わって、徐々に吸収される この治り方になります。=怪我で出血して血が溜まった部分があると、そのまますぐに治るのではなく、繊維性の組織に置き換わり、そして、次第に小さくなってゆくのです。この硬い組織が、しこりとして皮膚の下に残って、3〜6ヶ月もなかなか吸収されないこともあります。これは、骨以外の部分でも、この場所以外でも起こります。怪我して3ヶ月ぐらい経ってから、なかなか治らないと言って、このしこりが残った状態で初めて来院される方もいます。
こ のしこりが残る状態では、シップ剤などの消炎鎮痛剤はほとんど効果がありません。血行を促進して、治りを早める、ヒルドイド軟膏や、それに副腎皮質ホルモンを加えたモビラート軟膏がある程度効果があります。残念ながら、モビラートのほうは、原材料が手に入らないと言う理由で、発売中止になってしまいました。ただし、後発品は、残っていますので、必要なときはこちらを使っています。
 この状態でも、かなり治りを促進すると考えられるのが、トリオ治療(ホームページ参照)です。それでも、完全に吸収されてわからなくなるまでには、1ヶ月以上もかかることもあります。怪我直後からトリオ治療を行うと、しこりにならずに治るようですし、余計なむくみも起こりにくく、かなり治る時間を短縮できるようで、治療上たいへん役立っています。

細い腓骨(ひこつ)の真ん中の部分は必要ない?
 
 下腿の外側を走る骨が腓骨です。下の部分は、足関節を構成して重要です。骨折してずれたまま治ると、足関節の形が変わり、変形性足関節症になる とお話しました。(足痛の98)上の部分は、膝の外側靭帯が付いていますし、そのすぐ後ろを腓骨神経が走っていて、麻痺しやすい場所とお話しました。(下肢痛の102)真ん中の部分は、病気や怪我で、他の部位の骨がなくなってしまった時、骨がつかない時などに、切り取って、その部位に持っていき、なくなった骨の替わりにつなぐために用いたりします。(=骨移植と言います。)つまり、その真ん中の部分はなくなってしまいます。=なくても構わないのです。

細い腓骨(ひこつ)だけの骨折は、足関節の部分を除いて、放置しても構わない?

 太い脛骨(けいこつ)が骨折していなければ、極端に言うと、放置しても、ずれていても、いつの間にか症状がなくなって、日常には差し支えなくなります。下の足関節の部分は、上述したように正確に治すのがベストです。上の部分は靭帯が付いていたりして重要なのですが、骨折してずれても、腓骨神経の麻痺がなければ、ずれたまま治っても、膝の関節には影響なく、問題ありません。ただ、それらの部分でも骨折しますと、最初はかなり痛いので、安静目的で、痛みが引くまでは、ギブス固定などの固定安静がよいです。

太い脛骨(けいこつ)は、膝や、足の関節にかかっていなければ、長軸の方向があっていれば、横にずれていても、手術しないで治る が・・・
→足関節や、膝関節に骨折が及んでいて、ずれあるときは、将来、変形性関節症になる可能性が高いので、手術して正確にもとの形に戻した方がよい。

 この骨が、ずれるほどに折れますと、激痛で、その脚自体に力が入らなくなります。片脚で楽に動ける(=片脚で立ち上がったり、座ったりすることが楽に出来る)方でない限り、動けなくなります。動けなくなりますので、家に帰れませんし、たとえ家に帰ったとしても、トイレに行くことも出来ません。通常は、そのまま入院となります。入院したら、痛みを出来るだけ楽にするため、踵に針金を刺して、脚を引っ張って固定しておく、鋼線牽引を行います。ずれが少ない時は、痛みも激痛でないため、腿から足先までギブスシーネで固定して、そのまま松葉杖で歩くことも可能です。ずれが大きい時は、その骨がつきはじめる(3、4週間ぐらいかかります)まで、膝や、足関節を大きく動かすことが出来ませんし、その骨が完全につくまで、充分に完全に体重をかけて足を着くことが出来ません。何ヶ月、半年、一年もかかることもあります。その間、その脚の筋肉が落ちないように活動できればよいのですが、筋肉が細くなり、筋力が落ちてしまうと、回復がさらに遅くなります。
 一方、手術をしますと、ずれを矯正して、骨折部をぴったりあわせて金具で固定できれば、早めに足を動かすことも出来ますし、体重を充分にかける時期も早めることが出来ます。早めに動けますので、筋力が落ちる可能性も低くなります。ただし、手術時の感染、骨融合不全 などの可能性がわずかに?あり、これらを起こさずに、すべてうまくいった場合の話です。また、骨がついた後、入れた金具をもう一度抜くことも多く、手術が2回必要です。
| 下肢痛 | 11:22 | - | - | - | - |
下肢の痛みでわかってきたこと
103、ふくらはぎの痛み4

怪我でない場合

血管が原因の痛み

 今回は、血管が原因で痛みが出ているときの話です。血管の病気は、整形外科の専門外ですので、主に症状のみの話とさせていただきます。

動脈が原因の痛み

 脚に行く動脈が、膝より上で詰まっている場合、原因部位より下の部分に痛みが出ます。原因部位は、ふくらはぎよりは上にあるということです。病名は閉塞性動脈硬化症です。症状は、歩くと痛みが出る。立ち止まると痛みが治ってまた歩ける。つまり、腰部脊柱管狭窄症と同じ間欠性跛行(はこう)の症状から始まります。ある程度時間が経って診ますと、脊柱管狭窄症のように、前かがみで楽になるなどの、体位により圧迫の変化がないので、区別がつくようになりますが、初期は、全く区別がつかないことも多いのです。そのような場合、診察で足背部の動脈の拍動が触れないときは、要注意です。動脈が詰まっていなくても、脈が触れない方もいますので、当院では、脈波診断装置(ホームページ参照)で、両手首、両足首の4箇所で血圧と動脈の波形を調べています。動脈の詰まりが明らかな時は、その結果をすぐに表示してくれます。また、通常の浅部を見るエコーでも、動脈の拍動(エコーは動きを見ることができます!)を膝の下部分ぐらいまで追うことが出来ますので、拍動がない場合は、その部分で動脈が詰まっていると推察できます。MRI検査も、脊柱管狭窄所の診断が出来る上、MRAと言って、動脈の血行も見ることができ、二つの病気の鑑別には欠かせません。以前の血管造影で、動脈の詰まっている場所をレントゲン透視と撮影で見る検査よりは、はるかに楽な検査と考えています。
 経験上、動脈が膝より上の部分で詰まっている時が、進行すると、安静時でも痛みを感じるようになり、さらには、足の先から腐って(壊死と言います。)きます。特に糖尿病がある方は、足先のちょっとした創から潰瘍になり、難治性潰瘍と言って、なかなか治らないのが特徴です。放っておくと、足先からどんどん腐ってくるのが必発です。(動脈が膝から下の部分で詰まっている時は、通常、側副血行路といって、他の細い動脈で足先まで血流を補うことが出来るので、足が腐るところまでは進行せずにすむ場合が多い印象です。)
 足先が腐ったら、その部分を切除しないと、そこから感染が体全体に広がったり、毒素が体全体に回るようで、命にかかわる場合が出てきます、そのため、通常は切断するのですが、膝上で血管が詰まっているので、出来るだけ足を長く残そうとして、腐っている部分だけを切断して縫合して形を整えても、その縫合部からまた腐ってきて、切断を繰り返してどんどん足が短くなると言うパターンになります。足先が腐ってきたら、側副血行路で血流をカバーできる、下腿の中央部分ぐらいで切断しておかないと、このパターンになるのです。つまり、足先が腐ったら、足を切断する部位は、かなり上になることになります。さらに残念なことに、切断を施行しても、余命は短いことが多いのです。血管(動脈)が詰まって体が腐ってくる=血管が寿命である=命も寿命である と言うことになります。

 したがって、膝より上の部分で動脈が詰まっている時、痛みはふくらはぎなどの下の部分に出ますので、要注意です。
 この場合、動脈を機械的に広げる治療や、人工血管で置き換える治療が行えることもあります。これらが行えない場合は、血管が詰まっている部分より下(=抹消)の血管も硬化がひどくて使えない、詰まり気味ということが考えられますので、血栓を溶かす薬や、動脈を広げる薬を使うのですが、限界はあると考えます。
 一方、膝から下で動脈が詰まっているときは、側副血行路で、血流が補えますので、血管を広げるプロスタグランディンの静脈注射や、腰部硬膜外ブロックで腹腔交感神経叢をブロックして、下肢の側副血行の血管を広げることが出来ます。西窪病院勤務時代には、この治療で、足が腐らずに天寿を全うできた方もいました。この治療、実は腰部脊柱管狭窄症の治療と全く同じです。下肢の動脈が詰まる時の閉塞性動脈硬化症と、腰部脊柱管狭窄症は、間欠性跛行(はこう)の症状も治療も共通なのです。

静脈が原因の痛み

 実は静脈が詰まっただけではむくむだけで痛みなどの症状は出ません。静脈は動脈硬化とは違い、徐々に進行して詰まるのではなく、急に血栓が挟まって詰まります。無症状で急にふくらはぎや下腿が腫れるエコノミー症候群はその原因となる血栓が、肺に飛びやすく、肺の血管が詰まると命にかかわりますので、要注意です。詰まる箇所は、ふくらはぎのすぐ上の膝の裏部分ぐらいです。この血栓による閉塞に炎症が加わると、血栓性静脈炎と言って、むくみ、発赤、痛み、熱感、発熱などを伴います。他に、前々回お話した腓腹筋の損傷のときは静脈が詰まりやすく、炎症も少し加わり、痛みとむくみが出ますが、炎症は強くないので、発熱、発赤などは通常起こりません。
 一般に、むくみが出ている時は、痛みと言うより、だるい、はばったいと訴える場合が多いです。

最後は腓腹筋そのものの障害による痛み

 怪我でない場合、自然に腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)自体で痛みが出ていることはあまりありません。この筋肉は、夜寝ている間によくつる筋肉です。原因はいろいろ言われています。疲労が溜まって、筋肉の電解質バランス(細胞の中には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、お互いバランスよく電気を帯びている元素がいろいろあります。)が崩れる。特にカルシウム不足。細胞の水分不足。腰が悪く、脚に行く神経が圧迫されている時。肝が悪い時。(漢方医学的にこういわれていますが、肝臓機能が悪いとつりやすくなるのは事実のようです。)などです。
 また、スポーツ選手で、使いすぎで、この筋肉に痛みが出る方もいます。
 治療は、疲労をためないこと。水分不足にならないこと。夜間伸びをする時は、つま先を伸ばすように(101アキレス腱断裂の固定で 話した尖足位)するのではなく、背屈位に足を曲げて伸びをすること。
 尖足位は、腓腹筋を縮める方向になり、つりやすくなります。逆に背屈位にすると伸びる方向になり、つりにくくなります。一般的に、つった後に足を背屈するのも、縮まったこの筋肉を伸ばしていることになります。
 痛みが残った時は、漢方薬のシャクヤクカンゾウトウ(ツムラだと68番)クエン酸の薬(ウラリット)の内服が効果があります。これらの薬は、飲むとつりにくくなる=予防にもなります。シャクヤクカンゾウトウは、体のどの部分でも、つったような痛みをよく抑えます。ウラリットは、尿をアルカリ性にして、尿酸を尿中に溶かすようにして排泄を促す作用があり、高尿酸血症のときの治療薬です。しかし、クエン酸自体が、TCA回路と言うエネルギー発生回路に必要な物質で、疲労の回復など、いろいろな状態に効果があると考えています。この場合は、筋肉のエネルギー回路を潤滑に回すことにより、エネルギーをスムースに発生させ、つるような異常な筋肉の動作を抑えるのではないかと、勝手に考えています。また、エネルギー発生をスムースにしますので、筋肉痛の改善にも効果があるようです。高尿酸血症という病名をつけないと健康保険でお出しすることが出来ませんので、1例しか使ったことがないのですが、10代のスポーツをする女子で、筋肉痛がひどい時に了承を得てお出ししたところ、回復が驚くほど早かった記憶があります。
| 下肢痛 | 19:00 | - | - | - | - |
下肢の痛みでわかってきたこと
102、ふくらはぎの痛み3

怪我でない場合

 ふくらはぎそのものが原因となる痛みより、原因は他の部位にあるにもかかわらず、ふくらはぎで痛みを感じる場合が一番多いと考えていますので、まずその話をします。

神経が圧迫されて痛みがふくらはぎに出る

 これが、頻度的には一番多いと感じております。
 悪いのは、ほとんど腰の部分です。腰椎の中で脚にいく神経が圧迫されると、痛いのは腰ではなく、ふくらはぎの場合があります。そして痛みを感じる神経は、坐骨神経です。病名は、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などです。詳しい話は、腰痛の項でお話していますので、今回は、症状のみの話とさせていただきます。
まず、脊柱管狭窄症特有の症状をお話します。

 歩いて痛くなって、立ち止まってまた痛みが治まってまた歩ける。カートを押したり、杖を着いて、前かがみになると痛みがでにくく、長く歩ける。自転車移動は痛みが出ないので問題ない。

 このような症状は間欠性跛行(はこう)といって、圧迫されている神経の部分が、動くことによって、血行が悪くなり、痛みが出るためです。これは、腰部脊柱管狭窄症で、腰椎の中の神経の通り道(脊柱管)が狭くなっているときの症状の特徴です。脊柱管狭窄の原因として、椎間板ヘルニアが在って狭くなっているときは、腰椎椎間板ヘルニアでも、同じ症状が出ることがあります。自転車をこぐ姿勢を含めて、前かがみになると、腰の中の神経の圧迫が軽くなるため、痛みが出にくくなります。

時々痛みが出る。発作的に痛いときがあるが、普段は痛くない。

 同じふくらはぎの痛みでも、この場合は、椎間板ヘルニアや、脊柱管狭窄症のときの痛みの可能性は少なくなります。腰脚症候群(ブログの腰痛11〜に述べました。)のときの痛みの出方です。痛みがない時に診察を受けると、異常ありません。心配いりませんと言われることもあります。あるいは、坐骨神経痛です。と言われることもあります。つまり、骨盤の中に原因がある坐骨神経の障害です。椎間板ヘルニアや、脊柱管狭窄症と違って、圧迫は強くない上、常に圧迫されていなければ、特定の姿勢を取ったときや、使いすぎた時に筋肉と一緒に痛くなるようなことが考えられますので、ひどく痛いときがある。痛くない時もある。という症状になります。さらに、骨盤の中の筋肉がつった時に痛みが出る と考えれば、その時の痛みは激痛でも、じきによくなって治ると言う症状も理解できるかと思います。坐骨神経は、下肢の後面を走って足背まで行くので、ふくらはぎ以外にも、大腿の後面や、足背に痛みが出る時があります。椎間板ヘルニアや、脊柱管狭窄症は、悪い原因部位からの神経は坐骨神経となりますので、痛む場所が変わっても、その走行の範囲内です。ところが、骨盤の中には、他の神経も通っていますので、大腿部の前面など、坐骨神経で痛む場所以外に痛みが出る時も、腰脚症候群を考えた方がよいです。

椅子でも、床にでも、座っていると痛くなる。座って立つ時に痛みを感じる。その歩き出しの時のみ痛みを感じる。

 これらの症状は、座ることにより、椎間板の圧力が上がって痛みが強くなる、骨盤の中の筋肉で神経が圧迫されて痛みが強くなる、ためで、椎間板ヘルニア、腰脚症候群の時の症状で、脊柱管狭窄症のときは座ることで逆に痛みが楽になります。

脚をまっすぐにして仰向けで寝ていると痛くなる。

 この姿勢は、腰椎の反身が強くなり、神経への椎間板ヘルニアの圧迫が強くなることが在りますが、寝ていると、椎間板自体の圧力は下がりますので、痛みが出る方は、ヘルニアが大きい、神経の圧迫が強い方です。脊柱管自体も狭くなりますが、脊柱管狭窄症の症状は、あくまでも歩いて痛くなる、神経の血行障害によるものです。
また、骨盤の中の筋肉で神経血管が圧迫されやすい体勢でもありますので、腰脚症候群もこの姿勢で痛みが強く感じる方が多いのが特徴です。

立ち続けていると痛くなる。

 この姿勢も、腰椎の反身が強くなる方が多く、椎間板による神経の圧迫が強くなるため、痛みも強くなる方がいます。骨盤の中の筋力が弱い方も、反身になりやすいため、(=でっちりで、下腹部がでっぱる姿勢)骨盤の中が原因でも、痛みは強くなります。

ふくらはぎ自体で神経が圧迫される場合

腓骨頭の部分での腓骨神経障害

 これは、ギブス固定などでの圧迫によることが多く、膝周囲の骨折などの外傷に伴って起こることがあります。ふくらはぎとは特定できないような痛みが起こったあと、足背の感覚障害、足の母趾の背屈障害など、いわゆる神経麻痺症状が出ます。
 治療は、すぐにギブスなどの圧迫を除去することです。これが遅れると、手術が必要になることもあります。
 自然に麻痺が起こることもあります。この場合の痛みや痺れが出る場所は、足背です。
足背の感覚が鈍くなったり、足の母趾の背屈ができないなどの症状は同じです。
 治療は、通常、神経を回復する作用のあるビタミンB12の内服や、スーパーライザー(レーザー)治療および局部の安静などで充分回復してきます。
| 下肢痛 | 15:06 | - | - | - | - |
下肢の痛みでわかってきたこと
101、ふくらはぎの痛み2

 怪我をした時の場合の続きです。今回は、アキレス腱の断裂です。

アキレス腱断裂は、部分断裂は非常に少ない。

 アキレス腱が切れると言うことは、腱がすべて断裂している場合がほとんどで、一部が切れている時はまれです。手術をした時にはじめてわかるのですが、私も1,2例しか経験がありません。

アキレス腱と筋肉の移行部は、手術しないで治る。

 アキレス腱の切れている場所は、腱の中央部が多いのですが、時々、腱と筋肉の移行部に近い部分の断裂の方もいます。以前は、アキレス腱断裂をすべて手術して治していましたので、どのような形の断裂があるか、見れたわけです。そして、この移行部の断裂は治りが比較的よく、手術をしないでも充分良好に治ると判断しています。

アキレス腱の腱部の断裂は、手術しない先生もいる。

 アキレス腱の腱中央部の断裂でも、すべて手術しないで治す先生もおられます。杏林大学では、アキレス腱断裂は、大学の方針で、手術しないで治すので、整形外科医になって3年ぐらい経っていても、アキレス腱縫合の手術を始めて見たという先生もおられました。
私は、開業して初めて手術しないで(=保存的に)治す方法を始めたのですが、現在は以下のごとくと考えています。

スポーツに復帰するなら、手術の方がよいと考えている。

 手術をしないで治すと、どうしても腓腹筋の力の入り具合が弱くなる。つま先立ちの力が弱くなり、なかなか筋力が回復してきません。普通に歩くのなら、力が少し弱くても問題ないため、本人は治ったと感じる方もいますが、力を入れるスポーツを行うと、気づくはずです。 手術無しで治すと、アキレス腱の繋がりがどうしても弱くなるので、力が伝わりにくくなるのです。しっかり繋げるのなら、手術がよいと考えます。

アキレス腱断裂の治療方法は、手術しても、しなくても、ギブス固定は行う。

 ギブスの固定方法は、同じということです。手術しなくても、手術のあとでも、まず初めは、足を尖足位(出来るだけ底屈した位置)にして膝から下を巻きます。20年ぐらい前までは、膝から上まで固定していましたが、よほど縫合状態が悪い場合や、再断裂の場合を除いて、膝から上の固定は必要ないことになっています。
 そして、時間の経過とともに、尖足位から、背屈位にもどして固定しなおす(ギブスを巻きなおす)のです。手術をしたほうが、巻きなおすまでの時間を短くすることが出来ます。手術した時に、しっかり縫合できて、アキレス腱をある程度伸ばすことが出来れば、場合によっては、あまり尖足位にしないギブス固定を最初から行うことが出来ます。巻きなおしの回数も少なく、固定の期間も手術した方が短く出来ます。それでも、4週間は必要です。手術をしない場合は、初めは、最大限に尖足位にして、ギブス固定します。そこから徐々に背屈位にもどすのですが、腱がしっかりするまで、もどせませんので、この位置で、4週間以上固定し続けてしまうのか、それ以前に巻きなおして、少し背屈位にもどすのか、判断が難しい状況です。そして、少しずつ背屈位にもって行きますので、3,4回の巻きなおしが必要になります。その分、固定期間も長くなります。

手術しないで保存的に治す方法でも早く治す方法

開窓ギブスとトリオ治療 
 これは当院で行っているオリジナル治療です。
 図のようにギブスを巻いた翌日に一部を切って、窓を開ける形にします。そこにトリオ治療(ホームページ参照)を行います。
ギブスのヒールはギブスを切っていろいろな高さのものをいくらでも造れます。痛みが取れたら、比較的早めに荷重ができます。
 トリオ治療の腱癒合の治癒力は見事で、かなり癒合時間を短縮できると考えています。 ただし、週3回以上の通院は必要で、週一回ぐらいでは、ギブス固定しっぱなしの状態とあまり変わりません。
 開窓部から、腱の癒合=付き具合が見れるので、どのくらいで巻きなおすかの判断がしっかり出来きます。前述の最初にいつ巻きなおすかが問題です。つまり勘で最初にいつ巻きなおすか判断することは避けられます。
 トリオ治療をしっかり行えば、治る期間が手術したあとと変わらないと考えています。ギブスも6週間ぐらいではずせます。3ヶ月ぐらいで力が元に戻ります。手術をすると、ギブスの固定期間は短くできても、スポーツの復帰は、4ヶ月目ですのでほとんど同じと考えています。

ターンバックル付き装具

 これは、以前勤めていた病院で装着していた装具で、優れものです。
 ターンバックルを動かして、足を徐々に背屈位に持ってゆくことが出来ますので、初めギブス固定をした後、2〜3週で、この装具に替えれば、以後、ギブスを巻きなおすことは避けられます。
 自分で取り外せるので、ギブスをいきなりはずして さあ歩いてといってもなかなか歩けない時にも便利です。 少しずつはずしていけばよいので、自分のペースで歩く練習が出来ます。手術のあとなら腱がしっかり縫合されているので安心で、早めに風呂にも入れます。
 しかし、逆に保存的に行う時は危険です。自分ではずした時にうっかり腱が伸びてしまっては、治療が逆戻りになってしまいます。その時切れてしまっては、2度目は完全に手術です。この装具は、あくまでも手術後に使うほうがよいと考えます。

エコーで、腱の断裂を確認する。しっかりつくかどうかも。

 エコーで、どの部分で断裂しているかを確認できます。腱中央部で断裂してる時は、最大の尖足位にして、どれぐらい腱の状態が戻るか調べます。この状態で力の戻りぐらいも予想がつくので、患者さんに手術するか、保存的に治療するか希望を聞くことが出来ます。

手術をしたときの不利な点

 手術をした部分にマイルドな感染が起こると、腱と皮膚とくっつく、腱が動くたびに皮膚が引き攣れる、痛みがなかなか引かない、組織が弱くなるので縫合した皮膚が裂けたり、腱が再断裂するなどの危険があります。保存的に行った場合、再断裂するかどうかは知識がありません。特に、腱と皮膚がくっつくことが多く、少なくとも、腱を避けるように皮膚の切開を行ったほうがよいです。

最後に アキレス腱断裂を放って置くとどうなるか。

 どうなるかわからない先生も多いと思いますが、けり返しの力が充分に入らなくなったままです。つまり、つま先立ちも出来ません。となるはずです。どんな方でも1ヶ月たってもこれらが出来ないと、おかしいと思ってこられるので、何年も放って置いた方は診たことがないと思います。(私も診たことがありません。)この場合は、時間が経っているので、保存的に癒合することは期待できず、手術治療です。
| 下肢痛 | 23:37 | - | - | - | - |