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赤坂整形外科

院長のオリジナルの考えをのせています。今までの考えを残してゆくつもりで筆を執りました。読み物だと思ってください。
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上半身の痛みでわかってきたこと
142、首周囲の痛み10

今回は、治療の話で、薬と神経ブロックの話をします。

症状を和らげる薬の話

 一般的に、どの先生も出されるのが、消炎鎮痛薬(いわゆる痛み止め)、筋肉を柔らかくして痛みを和らげる薬、胃の粘膜を保護する胃薬(胃腸に自信がない方は、痛み止めで胃腸に障害が一番でやすいので、)の3種類です。

痛みを感じにくくする薬

 ノイロトロピンと呼ばれる自律神経を調節する作用のある薬は、痛みを抑える神経の作用を強めて、敏感になっている痛みを抑える作用があります。上に述べた3種類(胃薬が必要のない方は2種類)に加えて処方します。飲み薬<筋肉注射<点滴 と、どの方法でも使えますが、<点滴で入れる方が効果が上がります。
 つい2年ぐらい前までは、自律神経を調節する薬は効果があるのか?と思っていました。本格的に使い出したのは、他の病院で、繊維筋痛症(せんいきんつううしょう=痛みを抑える神経が機能しないため、慢性的なつらい痛みを訴え続ける現代の難病)と診断された方が、前の病院で、この薬の入った点滴を受けていたので、そのまま治療を行って欲しい といって来院されたのがきっかけです。何人かに使ってみて、飲み薬でも効果が高いことがわかりました。上半身の痛みはもちろん、下半身の痛みにも効果があります。腰痛から来る下肢痛、変形性膝関節症にも効果があります。ただし、効果がない方もおりますし、効き具合は、人によって千差万別です。副作用は、自律神経の調節作用で、胃腸の機能が変化して、気持ちが悪くなる、下痢する などで、飲めない方に時々遭遇します。錠数を減らして吐き気を抑える薬と一緒に飲むことで、飲める方もいます。
 筋肉注射、点滴投与の方が、逆にこれらの副作用は出にくくなります。

気を調節する漢方薬

 漢方薬は、胃が悪くなるなどの理由で、西洋薬の痛み止めが飲めない方にお薦めです。
 特に、みぞおちが詰まっている、硬くなっている方には有効です。この状態の方は気が上昇して、気逆と呼ばれる状態になっていています。上半身の痛みの初回(129)でお話した背中の痛みに加えて、肩こり、首周囲の痛みで来院されます。レントゲン検査、血液検査では通常は異常が出ません。=西洋医学的には異常無しです。
 130.131の漢方薬の項で述べたことに追加して、私が使っているより具体的な処方薬を話します。
 気逆の状態は、気虚といって、胃腸の機能低下がベースにある状態です。漢方薬は、弱い体質に使う薬が、中心です。背中の痛みだけの時は、当帰湯(とうきとう)と呼ばれるエキス製剤が有効な時もあります。
効果がより高いと考えているのは、延年半夏湯(えんねんはんげとう)、肘後方奔豚湯(ちゅうこうほうほんとんとう) と呼ばれる気逆によく効く薬ですが、これらの薬、エキス製剤になく、保険適応もありません。そこで、含まれているひとつひとつの生薬(しょうやく→ひとつの漢方薬はいくつかの生薬の集まりです。)を調べて、エキス製剤をそれと同じ生薬が含まれるように組み合わせてみました。すると、エキス製剤が3種類必要になるのですが、3つ組み合わせると効果が?ですので、そのうち2つを組み合わせて飲んでもらっています。
 呉茱萸湯(ゴシュユトウ)をベースにして、桂枝人参湯(ケイシニンジントウ)小半夏加茯苓湯(ショウハンゲカブクリョウトウ)竹如温胆湯(チクジョウンタントウ)、場合により、桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシ カ リュウコツボレイトウ)、苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)のどれかを組み合わせて2剤同時に使っています。はまった(その方にぴたっとあった)時はとても効果が高くなります。
 効果が高いと考えられる保険適応外の漢方薬は、その含まれる生薬を別のエキス製剤を組み合わせて当てはめて使う、というこの発想、実は漢方薬を学びだした頃からすでにあり、書き出していました。。他にもいろいろ考えましたが、実際にはほとんど使っていません。一般では、代用になるエキス製剤が紹介されている場合があります。気逆に、桂枝人参湯(ケイシニンジントウ)苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)を使っている文献を読みましたので、ほぼこれでよいのだと確信しました。

上肢が痺れている時は、ビタミンB12 だけでは効果が悪いので、血流を改善する薬を加える

 下肢が痺れている時も共通です。痺れるといって処方される薬は、ビタミンB12 と呼ばれる、赤いシートに入っている錠剤です。痺れるという自覚症状はなかなか改善しない場合が多いのです。ましてやこの薬単独では効果が低い場合がほとんどです。私は神経の周りの血流を改善する薬を追加します。軽ければ、ビタミンE の入っている薬ですみますが、効果が高いのは、血管を広げる作用の強いプロスタグランディンという薬です。飲み薬で効果がない場合は、静脈注射の方が効果が上がります。
 閉塞性動脈硬化症で実際に動脈が詰まっている時はもちろん、腰部脊柱管狭窄症による下肢の症状、椎間板ヘルニアなどで上肢、下肢の筋力が低下しているとき、頚肩腕症候群などで、上肢が痺れる時などに有効です。いずれも、圧迫されている神経に行く動脈を広げて、血流を改善させて神経の回復を図ります。
 このうち静脈注射は、以前は、3週間、連日注射を行って効果を上げる投与方法しか、健康保険で認められていませんでした。が、最近、連日来院出来る方は少ないため、期間を決めて、週3回、週2回投与する方法も認められてきました。使いやすくなったのは事実です。ただし、病名は、以前と同じで、閉塞性動脈硬化症が含まれていないと認められません。実際は、より幅広い病気に有効な薬ということです。


神経ブロックの話

 神経ブロックは注射の治療です。麻酔薬で脳へ痛みを伝える神経を遮断します。ある程度の時間、痛みを伝えないようにすることで、その間に、痛みを抑える神経の機能を、伝える側の神経よりもよく働くようにしたり、注射の痛みの刺激で、痛みを抑える神経の機能を高めて、麻酔薬が切れた後も、痛みを楽にする作用があると考えています。

トリガーポイントに注射する。
痛みが出ているところに注射する。

 一番簡単に外来で出来るブロック治療です。皮膚の浅いところに注射しますので、一般の筋肉注射と変わらず、すぐに帰れて、入浴も許可しています。直接神経をブロックするわけではないため、他のブロックに比べて効果は弱いのですが、神経炎と考えられる激痛には、硬膜外ブロック以外では、これが一番効果的と思われた方もいます。
 トリガーポイントとは、痛みによって、原因部位とややはなれた部分の皮下の筋肉が硬くなっているところですが、痛いと訴える箇所に打っても効果がありますので、あまり場所を気にせずに注射しています。
 この場合、打つ薬の内容は麻酔剤でなくてもかまいません。効果はそれぞれ人によって違いますが、強力ミノファーゲン(アレルギーを抑える作用があり、アレルギー状態で痛みが出ている方に有効)、ノイロトロピン(痛みを抑える神経を強める作用)、ノイコリン(神経の伝達物質)、プラセンタ製剤(胎盤より抽出した製剤で、あらゆる回復作用がある)、カルシトニン製剤(骨粗鬆症で、骨が壊れる作用を抑えると同時に痛みを抑える神経を強める作用もあり)などを打つと、より効果が上がる場合があります。

椎間関節(ついかんかんせつ)に注射する。

 腰椎にも椎間関節がありますが、ここでは、頚椎の場合の話をします。
椎間関節は、首では、頚椎の左右に位置する関節です。椎間板などの柔らかい軟骨のクッションはなく、直接硬い軟骨を介して、上下の頚椎をつないでいます。この関節のすぐ前を、上肢へ行く神経が通ります。この部分を神経根(しんけいこん)と呼びます。椎間関節に注射すると、神経根のブロックにも多少なります。(直接神経に当てる神経根ブロックは注射針を当てるのが難しくなります。)
 方法は、横向きで寝てもらって、レントゲン透視を見ながら直接注射します。入れる薬は麻酔薬、数CCです。いかり肩や、首の短い方は、肩を出来るだけ脚の方に下げて寝てもらっても、頚椎の下のほうが、肩の陰影に隠れてしまいます。非常に見にくくなりますが、レントゲンの透視の強度を変えたりして、なれるとわかります。首の短い方でも、通常は、第6,7頚椎の間の、椎間関節まで行うことが出来ます。
 効果は、その椎間関節、あるいは、神経根部分が、痛みの原因になっていれば、痛みが消失します。=かなり劇的に楽になります。一度に2箇所ぐらいまでは出来ますが、椎間関節は、それぞれの頚椎(頚椎は7個あります。)の間にありますから、ある程度、どの椎間から痛みが出ていると確定できないと、行えません。
 危険性は、神経根から脊髄の中に麻酔が入ることはまず考えられませんので、安全です。そのため、5〜10分ぐらい様子を診て帰れます。(ただし、からならず、椎間関節の骨の部分に注射針を当てて麻酔薬を入れることです。透視診断に慣れていない初心者が、より深いところで麻酔薬を入れたらさにあらずです。一方、神経根ブロックは、脊髄の方に薬が行く可能性もあり、血圧下降時、対処できるように点滴で静脈を確保しておき、施行後は2時間は安静にして経過を診る必要があります。)

星状神経節ブロック

 首周囲の痛み8でのべた、第7頚椎の左右の横突起の前にある、自律神経のコントロールタワーです。首や上肢の痛み、痺れだけでなく、アレルギー、顔面の神経麻痺などの顔の症状にも有効です。有効範囲は、肩こりの項で述べた、上腹部までと考えています。(腰の持続する頑固な痛みの方に施行したことがありますが、全く効果がありませんでした。)
 通常、仰向けに寝て行います。首をやや反らして行いますので、この位置が保てない方には行えません。透視装置なしで、行うことが一般的ですが、私は、より確実に当てるためと、針が違うところに行く副作用を防ぐため、透視しながら行っています。
 注射する位置に恐怖感がある方が多いこと、薬を入れるときにかなりの痛みが出る(肩甲骨の方に痛みが走ります。)こと、などにより、それ以上につらい症状にある方で、注射に恐怖感がない方にお勧めしています。
効果は、痛みに敏感になっている方には、どのような場合(病気)でも、てきめんに効きます。
 効果が悪いのは、椎間板ヘルニアで、強く神経根が圧迫されている方、神経炎で、激痛が出てる方 などで、痛みの原因になっている(=刺激されている)大元の神経が落ち着くまでは、痛みが引きません。脳で痛みを記憶していて強い痛みを訴える方も、効果が悪くなります。
 麻酔薬で行うと、打った側半分の顔面に鼻が詰まったり、目が充血したりなどの症状があられます。この症状が出ないようにするためには、麻酔薬ではなく、ノイロトロピンを使います。痛みに対する効果は麻酔薬と同じようにありますが、顔面に症状が出ない分、顔面の症状には効果が悪かったり、アレルギーなどの痛み以外の症状に対する効果は?です。一方、麻酔薬を使うと、顔面にも症状が出ることから、顔面と首周囲の痛みにはかなり有効ですが、首から離れた上肢の痛みには、効果が悪い印象です。
 施行後は、麻酔薬を使ったときは、顔に症状が出てますので、1時間ほど安静にしてから帰ってもらっています。慣れると、15分ぐらいの安静で、顔に症状がか出ていても、帰れますが。・・・・ノイロトロピンを使った時は、顔に症状が出ませんので、15分ぐらいの安静の後、帰ってもらいます。

星状神経節ブロックで、どこにも書いていない、わかったこと

 1年ぐらい前のことですが、
 第7頚椎第1胸椎間の椎間関節に注射した方に、この顔面の症状が表れました。椎間関節ブロックを行ったのに、星状神経節ブロックになった ということです。むしろ、上肢の痛みに効かせるには、こちらの方が効果的であるため、今は、星状神経節ブロックの代用にしています。顔に症状が出ない場合もあり、施行後は、15分ほどベットで様子を診て、顔に症状が出ていないときは帰れます。(顔に症状が出ているときは、1時間ぐらい休んでもらいます。)
 ただし、この部位の椎間関節ブロックは、いかり肩、首の短い方ですと、行うことが出来ない場合があります。レントゲン透視で肩の陰影が濃すぎて、その場所が確定できなかったり、針の刺す位置に肩が来てしまって、針が頚椎まで届かなくなるためです。

第1肋椎関節ブロック

 関節運動学的アプローチの考えに基づくブロックです。レントゲン透視台に、うつぶせに寝てもらって長めの針で、この関節を直接狙って針を刺します。肩甲骨の内側に打つトリガーポイント注射とあまり差がない感覚で受けることが出来ますが、施行前の準備と、施行後は5分ぐらい変化がないか様子を診てもらうことで、より時間がかかります。しかし、この関節が痛みの原因になっているときは、トリガーポイント注射よりも抜群の効果があります。

頚椎の硬膜外ブロック

 首から上肢に掛けての、あらゆる種類の痛みに有効です。ただし、入院して、硬膜外にチューブを留置して麻酔薬を入れ続ける治療に比べると、腰と同じで、効果がかなり劣る印象です。こちらも、レントゲン透視下で行うと、針が別のところにゆくことが避けられる上、確実に硬膜外に入れることが出来ます。点滴で静脈を確保しておくなど、準備に時間がかかる上、施行後の2時間ほど様子を診る必要があるため、緊急では行っていません。=腰のときと同じです。
 痛み以外の、脊髄の圧迫症状(両手先がしびれる、不器用になる、足がうまく送れなくなり、もつれる)や、上肢の筋力低下、しびれには効果が余りありません。また、頚椎の脊柱管が狭い方に行うと、逆に両手に痺れが出たり、違う症状が出ることもあり、激痛の方以外は行っていません。
| 上半身の痛み | 15:48 | - | - | - | - |