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赤坂整形外科

院長のオリジナルの考えをのせています。今までの考えを残してゆくつもりで筆を執りました。読み物だと思ってください。
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上半身の痛みでわかってきたこと
144、首周囲の痛み12

事故の後に続く首の痛み

 いわゆる骨の損傷のない、頚椎捻挫の話です。車に乗っていて追突された時に一番よく見られます。頭の前の部分をぶつけても、力が頚椎に伝わって起こります。→頭部の外傷だけではなく、頚椎捻挫も起こします。
程度や、痛みの出方、治り方で、次のパターンに分けてみました。

1、最初の衝撃が強く、いわゆる、むち打ち症、頚椎捻挫状態になった場合。
 
 頚椎カラーやポリネックと呼ばれる固定具をはめたり、疼痛が強い時は、入院して首を牽引して安静にします。(ベットに仰向けに寝た姿勢で引っ張ります。)骨の損傷がなくても、もともと頚椎の脊柱管に狭い部分があると、脊髄損傷を起こすことがあります。もちろんその場合も、入院安静治療です。 
 最初の衝撃による組織の損傷は、脊髄損傷を除いて、長くても1ヵ月後には治ると考えます。=順調に治れば、1ヵ月後には治っているはずです。
 衝撃が強く、脳脊髄液が少しずつ漏れて、頭痛,吐き気などの頑固な症状が続いてしまう、低脊髄圧症候群(ていせきずいあつしょうこうぐん)と呼ばれる状態は、このうちにはいると考えます。適切な診断治療を行わないと、さらに治りは遅くなり、長引きます。

2、最初の衝撃があったものの、それほど強くなく、軽い頚椎捻挫状態になった場合。
 1〜2週間で治るのが、普通の反応です。

3、最初の衝撃は、ほとんどなく、人身事故にならない場合。
 普通は、症状が出ないので、物損事故として扱われます。

4、痛みがなかなかすっきり取れない、完全に取れない場合。

 1,2の外傷のあと、痛みが取れないため、ずっと通院治療に通うパターンです。徐々によくなって、3,4ヶ月以内でほぼ痛みが取れる時と、半年たっても痛みが続く時があります。
 1のひどい損傷であっても、実際の組織の損傷が残っているわけではありません。後で述べるように、いろいろな障害で、痛みを抑えようとする神経がうまく働くなって、痛みが取れなくなるためと考えています。

5、外傷後しばらくしてから痛みが出る場合
 
 2,3の場合で、後になってから、痛みが強くなってくる、あるいは痛みが出てきます。最初は事故をおこしたという緊張感から痛みを感じませんが、緊張が取れてくると痛みとして感じてくると考えます。受傷後、半日たってから、あるいは翌日から痛みが出てくるパターンです。治りも4のパターンとなり、長引くことが多くなります。

6、外傷直後=最初よりも痛みが強くなってゆく場合

 5に加えて、日ごとに、痛みが徐々に強くなってくるパターンがあります。1のひどい損傷状態でも起こります。最初の2週間(〜4,5週間)ほどで、強くなります。受傷後から治療しているにもかかわらず、痛みが強くなった方がいたので、このことは事実と考えます。受傷後、2週間ぐらいしてから、この痛みで来る方もいます。なぜ、このようになるかは、はっきり断言できないのが現状です。

 4、5、6のパターンが問題です。1ヶ月以上通院する方はこのどれかの状態になっていると考えます。外傷後頚部症候群(がいしょうごけいぶしょうこうぐん)と呼ぶようです。この場合、最初の頚椎捻挫の衝撃の程度は無関係です。衝撃がなくても、最初はたいしたことがなくても、痛くなってくる ということです。

なぜこのようになるか、推測を述べます。

 痛みに対して恐怖感が強い方→注射が怖くて受けられない方に多く見られます。気にする性格の方→痛みが気になりだすと、どんどん強く感じるようになります。+最初の事故を起こしたというショックによる精神的な影響により、自律神経のバランスが崩れる、仕事や日常生活の精神的緊張で自律神経、特に交感神経が過度に緊張する、など、自律神経の関与により、痛みを抑える神経(以前から述べているように、痛みには伝える神経と抑える神経があります。)がうまく機能しなくなるので、辛くなってくる でしょうか。吐き気、めまい、頭痛などを伴うことがあるのも、自律神経の機能が乱れているのは事実と考えます。

 同時に、相手(加害者)がある場合が問題です。自分のせいではなく相手が悪いのだという被害者意識が強く、痛みが少しでもあるなら、なくなるまで通い続けてやる、以前は痛みがなかったのに、この事故のせいで、痛みが出たのだから、痛みがなくなるのが当然だ、 などの心の持ち方も、なかなか治らなくなる原因と考えます。

 また、事故による治療は、交通事故は自賠責保険(じばいせきほけん)、仕事中は労働者災害保険(労災、ろうさい)、(国民皆保険の)健康保険で行う場合は、第三者行為(だいさんしゃこうい)と呼ばれる保険扱いです。通常の健康保険は、通院ごとに自己負担金があるのに対して、これらの保険ではなくなります。治療をお金を払って受けていない感覚(ただで治療を受ける感覚)になることも、通院が長引く原因のひとつと考えます。
 窓口で通院ごとにかかった全額を払う方(後でまとめてかかった費用を自分で相手に請求します)や、健康保険を使う第三者行為でも自己負担金を払って通院する方(普通の健康保険と同じ感覚です。負担金の部分を後で自分で相手に請求します。)は、長期に長引くことは余りありませんし、6までの状態になった(あとから痛みがどんどん強くなった)記憶はありません。

このように、本人の精神面の関与も大きく、痛みを訴え続けると考えます。


事故の時に使う保険の問題点

一方で、
 国民皆保険の健康保険との一番の違いは、長期間(何年も)ずっと治療を行えない =終了時点を決めなければならない ことです。事故とは、本来、最初の一撃で起こる外傷を治療するものです。後から起こってくる痛みで治療期間が長引くことを認めない保険会社も多く、3ヶ月以上かかった例はない と言ってくる担当者もいます。通常、受傷後3ヶ月ぐらい過ぎると、いつまでかかるのか という問い合わせがきます。問い合わせが来たら、おおよそいつまでです と終了する時期を伝えなければなりません。つまり、治療期間を決めなければならなりません。返事は、長くて、受傷後半年位です。

◆△泙拭⊆N鼎靴討い襪砲發かわらず、症状の改善が見られないときは、症状固定(しょうじょうこてい)になったとして、治療を打ち切る決まりです。この状態のとき、一般疾患の治療をするとよくなることがあります。例えば、肩を傷めた後、長引く時は、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)と同じ状態になっています。ヒアルロン酸や、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)の注射が効きます。膝を痛めた後の改善が悪い時も、変形性膝関節症の時に使うヒアルロン酸の注射が効きます。腰を傷めた高齢の方では、長引くと骨粗鬆症や、腰部脊柱管狭窄症と同じ症状になっていることがあります。骨粗鬆症の、注射や飲み薬が効いたり、プロスタグランディンが効くのです。

、ところが、事故は、外傷の治療ですから、前述した一般疾患で使う薬が使えません。労災は、特に厳しく、一般疾患で使う薬は認められていません。
 そこで、2,3ヶ月症状の改善が見られずに、一般疾患の治療を行うと改善が期待できる方は、症状固定として、事故の保険での治療を止め、健康保険で一般疾患の治療を行うことを薦めています。
 事故では使えない薬だけを健康保険で治療したことにして使うことも出来ますし、交通事故では、早く治るためなら認めらることもあります が、私は、肩を捻挫した後、肩関節周囲炎の注射をする、などの同一部位では行っておりません。これらの一般疾患も、なかなか症状が改善せず、この日までに治ります といえない病気だからです。その点、健康保険では、治療の終わりを決めなくてもよいので、よくなるまで治療を続けられるからです。

ぁ⊂評固定となったときの残った症状が後遺症です。が、後遺症診断書を書いて提出しても、○○すると痛いや、痛いので○○できない だけでは、認められないのが現実です。さらに、明らかに首が動きにくくなっいても、認められないことがほとんどです。また、事故発症後、半年たたないと認められない などの不合理な制度もあるようです。前述の健康保険に切り替えて治療を続けても、症状がなくなって治癒したわけではないので、半年たったところで、後遺症の診断書を書くことは出来ます。後遺症診断(通常料金1万円)を提出希望の方には、この点を理解していただいてお書きしています。
 半年たっても痛みが残る方は、痛みを全くなくすことは無理 と考えます。何かしら痛みが残るのが通例です。振り返った時だけ痛い、疲れが溜まった時、夕刻になると痛い、雨の日のみ痛い 季節の変わり目、急激な温度の変化のときのみ痛い など、完全に痛みが取れなくなります。かといって、後遺症としても認められない可能性が高いのです。そこで、希望される方は、事故での保険を打ち切って、健康保険で残った痛みを、さらに治療しています。骨粗鬆症、脊柱管狭窄症、変形性関節症など慢性的な病気でない、首、腰の痛みの方は、3,4ヶ月のうちに楽になることがほとんどです。
 私の出身大学の整形外科教室の松本守雄先生の論文では、このように症状が残っても、2,3年後には、時々痛いぐらいに改善している と報告されているようです。早く交通事故の問題は片付けて、気持ちから離れることが重要と考えます。症状が残ったとしても、痛くなったら治療する 程度で済むようになると考えてください。

この治療の終わりを決めることが、一番厄介なことと感じています。
現時点の考えをまとめます。
 
 頚椎捻挫などの軽症の外傷で長引いても、半年をめどに終了します。そのため、4,5,6の状態が最初の2,3週間で出来るだけひどくならないように治療努力をしています。(後述します。)
 症状が固定した状態の方で、一般疾患の治療をすると改善すると考えられる方は、事故での治療を中止として、健康保険で一般疾患の治療に切り替えることを勧めます。
 いずれも、かかられている本人が納得されないと行えません。納得されない方は、他の医院、病院へ、変わって治療を受け続ける のが現状のようです。


ァ∩綾劼裡粥ぃ機ぃ兇両態の方では、違うところが痛くなってくることもあります。頚椎捻挫の後、ときどきあるのが、後から腰が痛くなってくる、肘、手首がいたい、腰椎捻挫の時は、首、膝、足の痛みなどです。この後から出てくる痛みは最初の一撃の外傷によるものではありませんので、事故とは無関係とするのが正しいと考えますが、どの場所を治療しているかは実際はわかりませんので、一連として、治療しています。ただし、病名が付いていない時は、後遺症などでその場所の痛みが残ったとすることはできません。


治療は、まず、最初の痛みを悪化させないこと

 今、このことを目標に治療を行っています。
 最初の痛みが強くならない方は、2回目は通院しない、通院しても2,3回で済みますので、前述してきた問題は全くありません。最初から通院してきている方の痛みをいかに悪化させないか、特に6の状態を避けるか ということです。
 最初の痛みが抑えられないと、どんどんつらくなる可能性があります。行き着くところは、繊維筋痛症(せんいきんつうしょう)と同じです。痛みを抑える神経が全くというほと機能しないため、少しでも治療で刺激すると痛みが強くなります。そのままどんどんつらくなりますので、リハビリなどの治療をしない方がよい状態です。このような状態で来院された方は、納得される方のみ、上記病名で一般疾患として治療を行います。(私は事故の保険ではそのまま行いません。)どのように改善するか、全く予想が立ちませんので、ノイロトロピンの点滴や、静脈注射を行って、経過を診ることが治療の基本です。

まず、痛みに敏感になっていることを抑える

 器械によるリハビリテーションは、星状神経節のスーパーライザー(レーザー)照射を含めて、痛みが出るトリガーポイントなどを次々と照射しています。
 痛みが強い方で注射が受けられる方は、星状神経節のブロック注射を勧めます。従来の方法ではなく、横向きで、第7頚椎第1胸椎間の椎間関節に透視を見ながら行っています。(142首周囲の痛みで10、星状神経節ブロックでわかったこと)この方が、肩甲骨や腕の痛みまでよく効くことと、顔に症状が出にくいからです。この方法で効果が悪い時や、頭痛があるときは、従来の上向きに寝て、第7頚椎の横突起に当てる方法をとります。頭痛が出るときは、すでに痛みが長引く状態に入っていますので、受傷後しばらくしてからです。

 薬は、痛み止めに、痛みを抑える神経の機能を高める(痛みに敏感になっている部分を抑える)作用のあるノイロトロピンを加えて処方します。注射が怖くて全く受けられない方は服用するのみですが、ブロック注射や、筋肉注射は怖くて受けられなくても、静脈注射や点滴(注射の中では一番痛くないです。)なら何とか受けられる方には、静脈注射や、点滴でノイロトロピンを投与します。このとき、吐き気やめまいがあるときは、それを抑える薬も一緒に入れます。

 診察は、必ず関節運動学的アプローチに基づくオリジナル方法を行っています。141首周囲の痛み9で述べたように膝から下をベットからたらしたまま、第1肋椎関節を押さえて、腕を引っ張り挙上させます。強力なストレッチ効果が出るようで、これを行うことで、治療しても痛みがどんどん悪化することは何とか防いでいるようです。

 これらの治療を行っても痛みを強く訴える方には、首の硬膜外ブロックが効果があると考えますが、準備と、施行後のベット上安静に時間がかかりますので、現在のところまだ行っていません。今後の課題です。

 これらの方法は、ここ2ヶ月ぐらいで行っていて確立した治療方法です。まだまだ、治療結果はでていませんが、以前に比べてどんどん痛みがつらくなる方や、長引く方を何とか防いでいる印象です。

痛みが長引いた時の、治療法と問題点

A,最初からひどくない痛みが続いて改善しない時

 痛いところに注射をするトリガーポイント注射(=ブロック)や、プロスタグランディンの静脈注射(後発品=ジェネリックの薬は交通事故では20回ぐらいまで認めてもらっています。労災では認められません。)を加えて行います。効果がある方はこれにより軽快します。ただし、注射恐怖症の方は対象外となります。

B,痛みが辛くなってひどくなっている方

 受傷後、2週以降〜数ヶ月して転医してくる方で、ひどくない痛みが続いている時は、前述の痛みを悪化させない治療で反応する可能性があるため、まず同じに行います。痛みがひどくなっている方は、痛みを抑える神経の機能が悪くなっていますので、ノイロトロピンの点滴や、静脈注射を行います。これらの方は、すでに痛みが長引く状態になっていますので、2,3ヶ月の治療で改善がないときは、中止して当院では健康保険で行うことを伝えています。

 前述した繊維筋痛症は、関節運動学的アプローチの診断に対する反応で、ほぼわかります。この治療手技が痛くてほとんど出来ないのです。このようになっている方はまれですが、来院された時、すでにこの状態の方は、事故での保険から健康保険に切り替える話をします。
 痛みを訴えられても、診察で全く所見がでない方もいます。このような方は、本人しか症状がわかりませんので、2ヶ月ぐらいで変化が見られないときは、健康保険に切り替えて治療することになる と話しています。


 いずれの治療も、本人が納得された上での治療方法です。注射が全く受けられない注射恐怖症の方には点滴も行えないこともありますので、リハビリと投薬のみで経過を診てゆくしかありませんが、症状が改善しなくなると、事故での保険は使えなくなる ということで、治療を受けていただいております。また、治療ゴールは、本人の納得される症状や状態でよいと考えていますので、少し痛みが残っている程度の方は、希望を聞いて本人の希望する治療を行っています。
| 上半身の痛み | 17:02 | - | - | - | - |