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赤坂整形外科

院長のオリジナルの考えをのせています。今までの考えを残してゆくつもりで筆を執りました。読み物だと思ってください。
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上半身の痛みでわかってきたこと
147肩関節の痛み1

五十肩、四十肩

 肩の痛みといえば、この病名です。
 四十、五十歳も過ぎれば、年齢とともに、油切れ?となって、肩に自然に痛みが出てきます。この原因もなく、自然に痛みが出てくる状態を指します。治療をしても、すぐによくなるということはなく、なかなか治りません。
自然経過と治療の反応を4つに分けてみました。

1、まず、原因が思い当たらず、自然に痛みが出てきます。炎症が起こって、痛みが出ます。夜寝ている時が特に痛みが強い(夜間痛) のが特徴です。
 この時期は、とにかく炎症を抑えてひどくしないことが重要です。消炎鎮痛剤のシップ、飲み薬で抑えます。改善しない時は、炎症を強く抑える副腎皮質ホルモン(ステロイド)剤の注射が有効です。2に進まなければ治りが早い時期です。

2、放って置くと、炎症の後、組織がくっついてしまって、動きが悪くなります。これを癒着(ゆちゃく)といいます。炎症があって痛い上、(夜間痛もあります。)動きも悪くなります。上の物が取れなくなる。後ろに手が回らなくなる、などの症状が加わります。
 この状態で来院される方が多い印象です。1と同じに、まず、炎症を抑える治療をします。動きが悪くならないように関節運動学的アプローチ手技に基づいて動かす治療を行います。少しでも、癒着(ゆちゃく)して動かなくなることを防ぎます。炎症が治まった時に、動きが悪くなっていないことが、治療目標です。そのためには、少し痛みが出るところまで動かします。かといって、痛みをこらえて無理に動かしすぎても、逆に痛みが強くなって、動かなくなることがあります。治療は日常のほんの一部ですから、自分でも動かす必要があります。それでも、炎症が強いと、動かすと痛いため、動かさない→動かなくなる となります。=動かす程度や方法は重要ですが、自然経過で動かなくなってゆく時期は、動かす治療をしていても、動かなくなってゆくようです。そのような場合は、ヒアルロン酸、副腎皮質ホルモン(ステロイド)、麻酔薬の(ご希望で)注射をします。ヒアルロン酸は、変形性関節症のとき軟骨を修復する目的以外にも、組織自体の修復を促す作用があります。ステロイドは、炎症を強く抑えます。麻酔薬は痛みを抑えます。つまり、炎症と痛みが治まっている間に、組織を修復するようにするのです。当院では、腱板の表面側(外側)と、内側それぞれ効果の高い部分に薬が入るようにレントゲン透視を見ながら注射しています。一度注射してどんどん動くようになれば、それで済みますが、自然経過で、炎症が続き、くっついてゆく(癒着していゆく)時期では、しばらくすると、また痛みが強くなって動きが悪くなってしまいます。その時は、(ご希望で)何回か注射を行います。注射することで、炎症が治まり、動きがよくなってくれば、早く治ります。したがって、一回の注射ですぐ治るわけではありません。

3、さらに放って置くと、炎症はかなり治まりますが、動きだけ悪くなったままの時期がきます。動かさなければ、痛みが出ませんが、動きが悪いため、上の物が取れない、後ろに手が回らない状態だけが残ります。動かない方向に、無理に動かそうとすると、痛みは出ます。
動きが悪くなってしまったら、
 どれだけ、癒着が強いか によります。炎症が強く痛みが強いために動きが悪くなっている2の時期までなら、注射の効果があります。炎症が治まって、痛みが軽くなれば、動くようになります。ところが、3の時期になって、癒着が強くて動きが悪くなっていると、注射しても動きがなかなかよくなりません。関節は、動くために袋のようになっていてスペースがありますが、癒着するとその袋もくっついて小さくなっています。大量に麻酔剤を入れて、いっぺんに癒着をはがして動きをよくしようとしても、すでに関節の袋が小さくて麻酔剤が入りにくいのです。その上、大きく動かしていっぺんに癒着をはがしても、その後も、頑張って動かし続けないと、またくっついてしまうので、効果が上がりません。(麻酔が切れると痛くなって動かし続けることが出来ません)=薬を入れても関節の袋が大きくならないのです。関節の袋(関節包かんせつほう)を徐々に大きくするような物質ができれば、注入することで、関節包が徐々に広がって動くようになると考えますが・・・・
 ですから、癒着して動きが悪くなってしまってからでは、動くようになるまで時間をかけなければなりません。最初に、動かなくなるのを防ぐことが大事なのです。

4、さらに放って置くと、全く炎症がなくなり、少し無理に動かしても痛みが出なくなります。そこで動かしていると、どんどん肩が動くようになって、気が付いたら治っている ことになります。
 この時期になると、動かす治療を行っていると、どんどん柔らかくなります。3の時期を少しでも早くこの4の状態に持ってゆくために、前述した注射は動きの改善がみられなくても効果があるようです。
ただ、元のように完全に上まで腕が挙がるところまではなかなか改善しません。元に戻るまで治療を続けると、1年以上 かかってしまうのです。
 
以上、軽い重いの差はありますが、重い状態ですと、治るまで年単位です。1年、2年かかります。すぐに治らないのです。

 寿命が延びた現代では、六十、七十になっても起こります。ただ、六十、七十になると、腱板が付いている部分や、肩甲骨の肩峰(けんぽう)の内側が傷んできたり、上腕の肩の部分と、肩甲骨の一番接触面積の大きい関節部分も、軟骨が磨り減ってきて、骨が尖ってくることもあります。つまり、変形性関節症が関与してくる場合があります。これらの変化はレントゲンでわかります。さらに、腱板自体も、かなり薄くなってきて、力が弱くなっている方が多くなります。こちらは、エコー(超音波)検査でわかります。その結果として、上腕の肩の部分と、肩甲骨の肩峰(けんぽう)の間の隙間がさらに狭くなります。これらの変形性肩関節症の状態が強い方は、強い癒着まで起こして動かなくなる方は少ないようです。ただ、動かすといつまでも、炎症が残っていて、ジョリジョリという音が手で触れてわかったり、肩を外に回す力が極端に弱くなることもあります。
 腱板(けんばん)自体が自然に傷んできて痛みが出ているときもあります。これは、腱板損傷の一種ですが、経過がほとんど五十肩とかわりませんので、初めは区別つかないことが多いのです。(五十肩は原因がわからない時の病名です。)腕を自然に挙げると、肩は外転(がいてん)する形になりますので、この形で痛みが出たり、この形でさらに手の部分を上に挙げたりしたに下げたり、肩にひねりが加わる(肩の内旋(ないせん)外旋(がいせん))と痛みがでたりします。痛みも上腕の中央近くに感じて、俗に言う二の腕が痛いと感じることがよくあります。こちらも、炎症が強くなければ、癒着して動きが非常に悪くなることはあまりないようです。


急に激痛で肩が動かなくなった時

 レントゲンで、腱板の部分に石灰沈着が認められることが多いです。この石灰は、カルシウムが含まれています。なぜ、この石灰沈着が起こるかまだわかっていないはずです。カルシウムはほとんど骨に蓄えられているので、カルシウムが骨から出やすい状態にはなっていると考えますが、検査しても、骨が壊れやすい、カルシウムが出やすい というデータが出るとは限りません。
 また、石灰沈着があっても炎症が起こらなければ、何も症状が出ません。少し炎症が起こると、五十肩と同じような症状が出ますし、急激に炎症を起こすと、激痛で、急に肩が動かなくなります。なぜ、このように急激に炎症を起こすかもまだわかっていないと思います。
 治療は、炎症を抑える治療を行います。石灰が溜まっている部分に、副腎皮質ホルモン(ステロイド)を注射すると劇的に痛みが改善します。当院では、正確に石灰に針を当てるため、レントゲン透視を見ながら行っています。注射が怖くて受けられない方は、器械によるリハビリのレーザー(スパーライザー)治療の効果が高いです。日ごとにどんどん痛みが取れて改善します。注射のあと痛みが残った時も、このレーザー治療を加えると痛みがどんどん改善します。シップや、消炎鎮痛剤の内服ももちろん加えます。
 特徴は、五十肩と違って、急に激痛が来る一方で、改善も速やかで、長引くことはありません。五十肩だけでは急な激痛で動かなくなることはない、激痛で急に動かなくなった時は、石灰が見えなくてもこちらに近い病気の状態(病態=びょうたい) と思ってください。炎症をきっちり抑えられれば、比較的速やかに治ります。

 この石灰が残ると再発が心配されますが、再発する方はあまり多くない印象です。石灰を消すには、シメチジン(=タガメット)と呼ばれる、かなり以前に開発された胃潰瘍の薬(市販薬として売っているガスターより前の薬)です。なぜ、この薬が石灰を消すか、こちらもまだわかっていないと思います。
 この石灰沈着は肩だけではなく他の関節にも起こします。股関節、肘関節、膝関節、手、足など、どれも激痛がくると動かなくなります。治療も経過も全く同じです。反対側の肩にも起こりえます。したがって、他の場所が痛くなることがありますので、上述した薬で石灰を消す治療を行ってみたことがあります。消える確率は100%ではありません。レントゲンで白くはっきりと固まっているように写る石灰沈着は消えないようです。膝の半月板(膝関節の間にある軟骨のクッション)に石灰が溜まっている例には効果がない印象です。消える期間も、段々薄くなってほぼ消えるには、3週間から2ヶ月ぐらいと、時間がかかり、薬を飲み続ける必要があります。


肩が自分の力で挙がらなくなった時

 腱板もひどい損傷となると、穴が開いて、断裂となります。怪我をした時、骨折がないのに肩が挙がらなくなったときは、この疑いがあります。高齢では、肩峰(けんぽう)や腱板の付いている骨の部分の変形(変形性関節症)や、その隙間が狭いと自然に起こります。しばらくの間、肩が挙がらない状態が続く時は、エコー(超音波診断)検査で腱板の状態を確認しています。
 損傷が軽かったり、小さな穴ぐらいでは、炎症が治まり、組織の修復を待てば、かなり改善すると考えています。(小さな穴や損傷は、元の組織ではなく繊維性の組織で埋まります。)損傷が軽いと、肩を外転する方向に腕を伸ばすと痛みが出ますが、次第になくなりますし、最初は腕が挙がらなくても、2〜3週間で挙がる様になります。
 治療は、五十肩と同じで、超音波治療、SSP治療などの器械によるリハビリテーションと、激痛が治まったら、動かしながら改善する関節運動学的アプローチ手技に基づく運動治療を併用しています。動かさずにじっとしているより、動かしながら組織を修復する方法がよいと考えます。ただ、痛みが出る方向をしつこく確認したり、その方向ばかり動かすと、そのたびに腱板の悪い部分が肩峰にこすれますので、それ以外の痛みが出ない方向に動かすようにします。まっすぐ挙げて、降ろす方向(降ろす時に痛みが出ても、そこで腱板の悪い部分が引っかかっています。)は痛みが出ないことが多いので、この方向と、肩を外旋する方向は筋力の確認と筋力トレーニングになるので、必ず行っています。改善が悪い時は、前述した注射治療を薦めています。
 腱板が一部損傷して痛みの原因になっているときは、エコーを見ながら、その損傷部分に注射すると、レントゲン透視下で行うより、さらに効果が上がります。腱板の損傷が明らかに原因となっているときは、エコーで検査をまず行って、損傷部位がはっきりわかる(この部分がやられているとなかなかわかりにくいです。)ようであれば、そこに注射をします。
 大きな穴が開くと、2,3ヶ月しても、肩が挙がってきません。この時は、手術を前提に、専門医に紹介しています。ただ、肩を専門に診る先生が少ないのが、悩みの種です。専門以外の先生は、肩の手術をやらないことも多いですし、関節鏡を見ながらの手術は行っていないと思います。
| 上半身の痛み | 16:26 | - | - | - | - |