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赤坂整形外科

院長のオリジナルの考えをのせています。今までの考えを残してゆくつもりで筆を執りました。読み物だと思ってください。
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痛みの話1
  • 神経障害性疼痛 と関連する痛みの話
 
神経障害性疼痛は、テレビで武田鉄矢さんがコマーシャルしていましたね。
専門用語ですので、意味がよく分からない方も多かったと思います。
痛みは、医学的には、侵害性疼痛 神経障害性疼痛、非器質性疼痛などと分けて説明されていますが、これらの言葉は難しそうで受け付けにくいと思いますので、今回は、私流にまとめてみます。独自の見解が入りますので、これから述べること、すべて正しい とは言えませんが、今までの経験で、こう考えるのがよい と信じています。
 
まず、痛みの伝わる仕組み、感じる仕組みを簡単にまとめると、
 
1、悪い痛みの原因となっている部位  から
 例えば、足、膝、腰、腰など
2、痛みを伝える神経 で、痛みは脊髄を経由して脳に伝わります。
3、痛みを感じる脳の部分 で、痛みとして感じます。すると、
4、痛みを抑える神経 が働いて、痛みを伝える神経を抑えます。→強い痛みは治まってきます。
これが、痛みに対する正常な反応です。
急に鋭い痛みが出た時、しばらくつらいのですが、時期に治まってくる のは、この機構が順番に働くからです。
 
神経障害性疼痛はこの2に当たる痛みを伝える神経が、痛みを強く伝えすぎている状態です。痛みを我慢し、長く感じ続けている=その神経が、椎間板ヘルニアなどで、圧迫され、障害され続けている状態で起こる可能性があります。そして、椎間板ヘルニアが治ってきても、痛みだけが残る こともあります。→痛みは我慢し続けない方がよい とことになります。
ほかにも、神経の炎症の後、=例えば、帯状疱疹という病気で、ウイルスが神経を攻撃して炎症を起こした後や、怪我で、直接、神経が損傷した後にも起こります。
痛みを伝える神経からの痛みの伝わり方が強いと、4の痛みを抑える神経の作用が間に合わなくなり、痛みが楽になりません。
通常の痛み止めは、1の原因部位の炎症を抑えて、痛みを発する物質の放出を抑えて、痛みを抑えます。神経障害性疼痛は、1の炎症が強くなくても、=原因部位が悪くなくても、原因部位が治ってきても、痛みが残りますので、
痛み止めが効かない、効きが悪くなります。
 
★新しく、痛みを伝える神経の作用を抑える薬ができた。
 
テレビの宣伝ではこのことを新しい治療と言ったのだと思います。
1の原因部位には作用せずに、痛みを伝える神経の痛みの伝わり方を抑える作用があります。
薬の名前は、リリカですが、成分は、プレガバリン という薬品です。販売している名前が商品名、その成分が、薬品名となります
後述する神経ブロックより、痛みを伝える神経をブロックする作用は弱いのですが、持続的に痛みを抑えることができます。もちろん、神経ブロックなどの注射が苦手の方には、福音です。
ただし、神経に直接作用しますので、普通の痛み止めと違って、神経に関する副作用が出ることがあります。
眠くなる、ふらふらする、気持ち悪い、長く飲むと便秘する、体重が増えるなど。です。
通常の大きさは、一錠75ミリグラムなのですが、体格の良い男の人でも、一回飲むとふらふらしすぎて、次はとても飲めない 方もいます。
そこで、一錠25ミリグラムの少量から始めます。副作用の出にくい夜寝る前に飲んでもらいます。寝てしまえば、副作用を感じにくいためです。
この量で痛みに効く方もいますし、朝、やはりふらふらして、次飲めそうもない方もいます。少し位のふらつきや眠気なら、飲んでいるうちに慣れて飲めるようになることもあり、このままの量を持続してみます。
 
残念ながら、最初の少量でも飲めない方は、この薬を使うことはできません。
 
逆に副作用が出ない方は、量が少なすぎて、効きが悪くなります。
こちらも急に量を増やすと副作用が出て飲めないことがあり、3、4日で少しずつ量を増やしていくのがよいと考えます。
飲める方は、75ミリを3,4錠はコンスタントに使用できます。
この薬を使いながら、痛みが治まるのを待てる と、椎間板ヘルニアなどは手術せずに治ってゆく方が多くなりました。
 
★他に、痛みを伝える神経が強く働いていると考えられる場合
 
神経が障害された状態 と言えなくても、痛みを伝える神経が過剰に働いている、
急に痛みが出た時でも、この状態になっている場合がある と考えています。 
神経障害性疼痛では、びりびり、ちくちく、ジンジン、しびれるような痛み、電気が走るような痛み などの表現をテレビでは言っています が、このような表現の痛みとは限りません。
次のようなときは、痛みを伝える神経が過剰に働いていると考えています。
 
 ⊆蠎鵑変形していて骨折しているのに、あまり痛みを感じないでケロッと来院される方 がいます。これは、痛みを抑える神経が働いて、最初の激痛が抑えられている状況です。
一方で、軽い捻挫なのに、異常に痛くて腕を抑えて来院される方がいます。この方は痛みの信号があまりにも過剰に伝わるため、4の痛みを抑える神経の働きも間に合わない と考えています。
部位は、手とは限りません。足をひねった場合は、大したケガでないのに、足がつけない状態が1,2日続きます。
年齢も、10歳以下のお子さんにも診られます。大人だけではありません。
◆急に首や腰が痛くなった時も同じことが起こります。激痛が治まらずに異常に痛がって来られる方は、痛みを伝える神経が過剰に働いている方がいると考えています。
、痛い部分が、次第に広がってきた。
例えば、はじめは手首が痛いだけだったのに、我慢していたら、肘から肩まで痛くなってきたなど です。
ぁ急にズキンと激しい痛みが来るが、時期に治まる。
どの部位でも構いませんが、これらの痛みの出方も、痛みを伝える神経が過剰に働いていると考えています。
 
治療は、
 
通常の痛み止めでも効くこともあります。特に、アセトアミノフェン(商品名カロナール)は直接、脳で痛みを感じにくくする作用もあり、副作用も少なく、量も多く投与できるため、よく使っています。加えて、ノイロトロピンという4の痛みを抑える神経の作用を高める薬を使います。の場合は、漢方薬の、芍薬甘草湯という薬が効くことがあります。
 
痛みが強いときは今上にのべた治療では痛みが楽になりません。
 
急性期の首や腰の痛みの時の話。
急性期とは、痛みが強くなってから4週間ぐらいまでです。痛みを過敏に伝えている状態に陥っているかどうかの診断は経験によるものになります。(痛みを伝える神経の敏感度を計る器械がありますが、普及していません。)特徴は、痛みが非常に強く、診察で動かしても非常に痛がり、動きも非常に悪いときです。ただ“非常に痛い”だけでは3の脳で痛みを強く感じているだけの場合がありますので、それに伴う動きの悪さなど診察して、一人一人の状態を判断する必要があります。
この場合も、前述のリリカは効きます。別に神経が障害されてなくても、神経の痛みを過敏に伝える作用を抑えるのです。しかし、一番効果があるのは、神経ブロック治療と考えます。
神経ブロックという治療は、麻酔剤を注射して直接神経を遮断します。痛みを伝える物質を一度遮断すると、麻酔が覚めた後も、激痛は治まります。過敏に痛みを伝えている神経を、一度ブロックすることで、痛みを伝える神経の作用を元に戻す、=痛みの伝わり方を通常に戻す、+神経ブロック=麻酔という別の痛み刺激を与えることで、痛みを抑える神経の作用を高める、などの理由で、麻酔が覚めた後も痛みが楽になると考えています。
ただし、この治療も、
痛みを伝えている神経でない違う神経にブロックすると、効果が悪くなります。(どの神経が痛みの原因かわからない時など)
痛みの原因が悪すぎ(椎間板ヘルニアで神経の圧迫強すぎるなど)て、痛みを起こす物質を強く出し続けている状態ですと、麻酔が覚めた後は、またもとの痛みに戻ってしまいます。
万能ではありません。
 
★神経ブロックの具体的な例
 
手首を骨折して来院された方で、脇の下(腋窩(えきか))は、指先に行く神経が集まっていますので、その部分に麻酔して痛みを取って、ずれた骨折を整復することがあります。
非常に痛がっている方でも、この麻酔(腋窩(えきか)にする神経ブロックと同じです。)を一度かけると、整復がうまくできた、できないにかかわらず、痛みが楽になります。ギプスで固定しますので、それで楽になることもありますが、麻酔が覚めた後も、前のような激痛は来ません。
 
首が原因の上肢の神経痛、例えば、頚椎の椎間板ヘルニアで、激痛が出たばかりの方に、原因と考えられる首の神経にブロックをします。手技は、頚椎の外の部分の骨にレントゲン透視を見ながら注射することで十分です。すると、痛みは残りますが、激痛は取れて、時間はかかりますが、徐々に痛みは楽になります。
 
星状神経節(せいじょうしんけいせつ)ブロックも、首の激痛のときによく効きますが、ヘルニアが大きく上肢の痛みが強いときや、神経の炎症で肩関節部分まで激痛がある時にはあまり効きません。
 星状神経節とは、首の、のど仏のやや下方、左右にある交感神経の大きな細胞です。直接痛みを伝える神経をブロックするのではありません。痛みを抑える神経の作用を強めて、痛みを強く伝えている神経の伝わり方も元に戻す作用があり、効果があるのです。→直接、痛みを伝えている神経をブロックする方法よりは、効果が悪くなります。
 
腰では、腰椎の外にブロックしても、なかなか神経のそばに当たりませんので、尾てい骨のすぐ上にある、神経の通り道(脊柱管(せきちゅうかん))につながっている穴から、麻酔の注射をします。これが、仙骨部硬膜外ブロック、仙骨部ブロックです。この注射も、過敏に痛みを伝えている神経を抑えて、麻酔が覚めた後も、痛みの伝わり方が元に戻ってどんどん楽になります。

以上述べてきた神経ブロックは、かなり体の深くに針を入れます。そのため、当院ではレントゲン透視で、針の先がきちんと目的部位に入っているか確認していますし、施行後は、15分ぐらいは、休んでから帰宅してもらっています。
 
首、腰の背骨の中央部から打つ硬膜外ブロックは、より効果があります。
MRI検査などで、原因の部位がはっきりわかっている方がよいです。レントゲン透視を見ながら、ヘルニアのある原因部位に直接注射を打つことができます。
血圧が下がることがあり、点滴を入れておく必要があること、麻酔剤を入れますので、施行した後、歩くことが困難となり、最低1〜2時間休む必要があること、などの理由で、通常、緊急では行っていません。
 
痛い部分に浅く注射するブロックは、効果は悪くなります(あるいはあまり効かないこともあります)が、すぐに帰れますし、レントゲン透視は必要なく、今まで述べてきたブロックよりは手軽です。直接痛みを伝える神経をブロックするのではなく、刺激が出ていて痛みに敏感になっている部分(トリガーポイント)に注射することにより、別の痛み刺激を与えて、痛みを抑える神経の作用を高める ことで、痛みを楽にする と考えています。
 
 
神経ブロックが持続的に作用する治療が一番効く。
 
痛みを伝える神経をしっかりブロックする神経ブロック治療が持続的に効けば、一番強力な治療のはずです。
硬膜外ブロックを施行するとき、細いチューブを留置して、麻酔薬を入れ続けることができます。硬膜外ブロックに使われる針は太く、中にチューブを通すことができます。硬膜外に針が達したところで、チューブを中に入れてゆきます。チューブは、針を刺している位置よりも上方(頭側)に入ってゆきます。抜けてこないように、皮膚と手術用の糸で縛っておきます。
硬膜外ブロックは、首から腰まで可能ですので、脊椎からの痛みをほぼ網羅(もうら)できます。
麻酔薬が徐々に入るような袋状の装置がありますので、それをチューブの先につけておきます。原因となる部位よりも、チューブが脳に近い上方に留置していますので、痛みが脳に伝わることを持続的にブロックすることができます。この方法は、手術の麻酔の時に行い、術後の痛みを取るために用いる方法です。が、痛みを伝える神経を強力に抑える方法としてはベストです。
勤務医時代は、入院で、ヘルニアの検査して、ヘルニアのある部位、あるいはそれよりも脳に近い部位(ヘルニアの部位より下方の脚に近い場所に注射すると、チューブがヘルニアに邪魔されて、脳の側に届かなくなる可能性があります。)に注射して、この治療を行っていました。この治療により、手術を避けられた患者さんが多くいました。
入院して管理がよい、必要とされるのですが、外来通院でも不可能ではない と考えます。
チューブ留置する治療も、外来でも可能ではないかと考えられる理由は、
血圧が落ちるなどは、最初に麻酔薬を多く入れた時に起きるので、常時管理する必要はなくなります。
挿入部が化膿していないか、チューブが抜けてきていないか、薬が入り続けているか、確認が必要です。また、問題が起こった時にすぐに連絡対応できることは、必要です(残念ながら当院ではこれらの体制ができていませんので、行っていません。+チューブ留置は、外来で施行しても、健康保険では認められない、と思います。(硬膜外ブロック自体は認められています。))
が、
実際はチューブがぬけていても、薬が入っていかなくても、消毒する、チューブを抜くなどの対応は半日〜一日ぐらい待つこともできますので、緊急の診察で診る対応は必ずしも必要ではないのです。→一日一回ぐらいの確認で充分です。
 
いままで、よく痛みが抑えられるような お話をしてきました。
ただこれは、最初の図の2の、痛みを伝える神経が過剰に働いていて、痛みが伝わりすぎているとき の話です。
3,の脳で痛みを感じすぎているとき、
1の原因部位が痛み物質を過剰に出している?とき、
 前述した、原因部位が悪すぎる(ヘルニアの圧迫が強すぎるなど)以外にも、この状態になっているとしか考えられない?方がいます。次回にお話しする予定です。
(4は、3にも関連しています。脳で痛みを感じすぎている方も、この痛みを抑える神経の作用が弱くなります。)
このような時は、この治療は効かなくなります。今回のべた治療の効果は、それぞれの方が、2が痛みにどれだけ関与している かになるのです。
 
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