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赤坂整形外科

院長のオリジナルの考えをのせています。今までの考えを残してゆくつもりで筆を執りました。読み物だと思ってください。
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下肢の痛みでわかってきたこと
120、膝の痛み7

ヒアルロン酸の話の本音

ヒアルロン酸の注射薬の効果

 今回の話は、この注射だけを受ければよいというわけではありません。
膝が悪ければ,膝によくないと述べてきたこと、歩きすぎない、使いすぎない、痛くなることを避ける、(特に階段の上り下り、体重をかけて屈伸する動作、重いものを持つ動作、自転車を乗り回すなど)スポーツをされている方は休む、無理をしない、さらには、まだ述べていない、膝の周囲の筋力を保つ、鍛えるなど、膝に悪いことは避け、よいことを行う事が前提です。

 ヒアルロン酸には、軟骨を回復させる作用があり、軟骨の破壊が治まり、進行が止まる、さらには繊維性の軟骨(元の軟骨とは違う形になります。)で回復してくることを期待します。元のような軟骨に戻る、軟骨が増えて、狭くなった関節の隙間がまた広がるところまでは、効果は期待できません。(と言っておきます。このことに関して最後にもう一度述べます。)
 組織の回復する作用が強いため、変形性関節症だけではなく、怪我による損傷を回復する作用もあり、外傷のあと、治りが遅れている関節に打つと、回復する事があります。ただし、明らかに回復しないような形の損傷もあります。MRI検査で、半月板の断裂が明らかな時などです。これは、半月板の軟骨自体は、切れると、再びつながる修復能力がないためです。半月板断裂部の周辺の組織の、炎症や損傷を回復させますので、痛みは改善しますが、半月板断裂そのものによる、膝をある角度にすると、引っかかる、ロックして動かなくなるなどの症状は改善しません。逆を言うと、MRI検査で、回復不可能な損傷がない外傷の時(=MRI検査でほぼ異常無しの時)は、回復する可能性があるということです。

注射時に関節に薬が入らないときがある。

 通常は、薬が関節に入ると、スッと入る感覚が注射器のピストンを押す手に伝わります。ヒアルロン酸は、分子量(物質の大きさと考えてください)が大きい上、その構造から、水などよりは、はるかにねばねばしています。そのため、スッと入ってゆく感覚がわかりにくい事があり、入っていると思っても、そうでないことがあります。関節は、もともと大きな空間があるわけではなく、関節の中にも滑膜などの組織があるため、針先の妨げとなって、関節の外に薬がいってしまう、あるいは、滑膜などの組織自体の中に薬が入ってしまう事があるのです。
 MRI検査が出来る以前は、関節造影検査をよく行っていました。半月板などの軟骨は、レントゲンで写りませんので、造影剤と空気を一緒に入れて、半月板の輪郭だけを浮き立たせて、レントゲン撮影してその形を見る検査です。(造影剤だけだとレントゲンで白く写って半月板の形がわかりません。)20CCの注射器に、空気と造影剤を一緒に入れておき、先に空気を大量(20CCぐらい)に入れて、入っている感覚をつかむと同時に、関節を膨らませて入りやすくしておいて、引き続き造影剤を入れます。造影剤も、ねばねばしていて、関節に入いる感覚が掴みにくいためです。それでも、関節に入らない事があるのです。注射した針の位置は変えていないはずで、空気は入るのに、造影剤は外にもれることもあるということです。造影剤はレントゲンで写りますので、関節の外に漏れるとすぐにわかります。
関節の中にきちんと薬が入らないと、効果があがる(必ずしも全く効果無しではないです。)はずがありません。また注射時の強い痛みは、この時が多いと考えています。

高分子ヒアルロン酸のほうが、理論上は効果があるはずだが?

 関節に打つヒアルロン酸は、分子量が大きい薬と話しましたが、実際に関節液や、軟骨に含まれているヒアルロン酸に比べて、分子量の小さいものも多く混ざっています。これを、出来るだけ大きい(=高分子の)分子量のものをそろえたのが、後から発売された、高分子ヒアルロン酸です。理論上(=データ上)では、組織の修復力がより強く、効果が高い事が証明されていますが、実際に使うと、あまり違いがわかりません。従来のヒアルロン酸の注射から高分子のヒアルロン酸に変更して、よくなった方もいますし、あまり変化がない方もいますし、逆に、以前のほうがよかったと訴える方もいます。原因のひとつに、高分子になると、よりねばねばが強くなり、関節に入る感覚がさらにわかりにくく、入っていない可能性が多くなるためか とも考えています。

軟骨を修復するための薬はヒアルロン酸の注射薬だけ

 ヒアルロン酸の飲み薬、グルコサミン、コンドロイチン硫酸の飲み薬は、民間薬や、一部医薬品として売られていますが、病院の処方薬としては、認められていません。どのくらいの確率で効果があるのか、軟骨を修復して、レントゲン上でも改善が見られるのか、他の薬との相互作用や、副作用を起こす確率などのデータ(=エビデンデンス)がまだ出ていないと考えてください。加えて、グルコサミン、コンドロイチン硫酸も分子量が大きく、そのままでは腸から吸収されません。小さく分解されて、吸収され、それからまた、体の中で合成される必要があるのです。それを考えると、果たして本当に効果があるのか そんなもの飲んでもしょうがない と考える先生が多いのもうなずけます。ただ、ある程度の軟骨の障害=ひどい変形性関節症になる前 の膝には、かなりの方に、痛みを取る作用がある印象です。軟骨を修復して、実際にレントゲン上でも改善が見られるのか?(=立位での撮影で、関節の隙間が明らかに広がる)経験上、これも改善が見られた例はあるのです。が、全員がそうなるとはとても考えられませんし、どれくらいの確率でおきるのかはわからない(=処方薬でない)のです。
 そこで、このままだと、手術になってしまうような膝には、進行を防ぐため、飲んでみてもよいと私は考えています。副作用としては、飲み続けていると、下腿がむくんでくる方(特に年を取った女性に)が見られます。分子量が大きい分、腎臓への負担があるようです。

 レントゲンで、関節の隙間が広がって、軟骨が修復されたと考えられる例は、実は、ヒアルロン酸の注射と、超音波治療を繰り返している膝の方にも見られています。(確率的には、少ないです。)したがって最近は、もっぱら、ヒアルロン酸の注射、とリハビリ、必要なら装具を装着して、経過を追っています。
| 下肢痛 | 18:56 | - | - | - | - |