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赤坂整形外科

院長のオリジナルの考えをのせています。今までの考えを残してゆくつもりで筆を執りました。読み物だと思ってください。
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下肢の痛みでわかってきたこと
121、膝の痛み8

膝に水が溜まる の話

 関節の中には、常に関節液があり、水が溜まる ことは、その関節液が増えたり、血液などの別の液体が混ざって増えるということです。

1、変形性膝関節症のときに溜まるとは限らない。

 膝に負担がかかって、悪い部分が生じて炎症が起こると、水が溜まる事があります。急激な外傷によって、組織がダメージを受けも、炎症が強いと、水が溜まります。(=関節液が増えるということです。)損傷が強いと、膝の中の血管が切れて、血液が溜まることもあります。関節に骨折が達している時(骨は血液を造るところですので)も、血液が溜まります。逆に、損傷があっても炎症が起きないと、水が溜まりません。軽い損傷のときがそうですし、半月板が中央部で断裂しても、半月板そのものには炎症は起きません(=炎症が起きないと、修復もされません=手術的処置が必要になります。)ので、水が溜まりません。

 慢性関節リウマチや、尿酸などの結晶が、関節の中に溜まって、急激に炎症を起こす、結晶誘発性関節炎の時も、水が溜まります。細菌が関節内に感染して炎症を起こしても、水が溜まります。慢性関節リウマチのときは、じわじわ腫れてきます。薬が効果的に効くと、腫れがだんだん引いてきますが、薬の効果が悪いと、なかなか水が引いてきません。結晶誘発性関節炎の時は、急に腫れます。きっかけがない時もありますが、軽い外傷後や、運動などで負荷をかけた後に起こる時があり、損傷による腫れと区別つかない事があります。消炎鎮痛剤(痛み止め)がよく効いて、比較的に速やかに治るのが特徴です。(外傷の時は、組織が回復するまで、改善しませんし、次の項目に述べるように、液の性状を見て原因を区別する事が出来ます。)細菌による感染のときは、消炎鎮痛剤だけでは、改善しませんし、治療が長期に及びます。
 
高齢の方にまれに見られるのですが、変形性膝関節症であっても、何ヶ月も水が溜まり続けている方の中に、軟骨直下の骨が死んでゆく病気(骨壊死)の時があります。レントゲンでは、最初は、ただの変形性関節症で、進行してゆくと、骨壊死が見えてきますので、腫れが引かない時は、3月に一回ぐらい、レントゲンを取り直すほうがよいと考えています。

2、溜まる液体の性状の違いで、原因を推測することができる。

 変形性関節症や、軽い損傷のときは、透明な黄色い液体が溜まります。よい関節液は、粘り気が強いのですが、大量に溜まると、さらさらな場合が多いです。さらに、負担が強い時は、軟骨がはがれて、白い浮遊物として見られるときもあります。損傷が強くて、中で出血している時は、血液が溜まります。関節内に骨まで達する損傷があると、血液の中に、骨髄からの脂肪が血液に浮いている事が認められます。明らかな外傷がなくても、血液が溜まる時もあります。膝の中の血管が切れた時で、高齢者に診られ、丁度、脳の中で血管が切れるように、膝の中で血管が切れると考えています。関節の中の滑膜という組織の病気のときも血液が溜まりますが、こちらは頻度が非常に少ないです。出血が軽度ですと、関節の黄色い透明な液の中に、血液が混ざり、薄まったような血液が溜まります。
 炎症が強い、慢性関節リウマチや、結晶誘発性関節炎の時は、関節液がにごっています。透明ではなくなります。これは、炎症が強いと、白血球などの細胞成分が増えるためです。細菌の感染のときもにごりますが、ひどくなると、膿のようにどろどろになります。関節液がにごっているときの、これらの原因疾患の区別は、診察所見や、1で述べたような、治療の反応でわかります。

このように、状況によって、溜まる液体が違いますので、水を抜くことにより、原因を推測する事が出来ます。

3、溜まる液体の性状で、症状も違う。

 透明な黄色い液体が溜まる時は、関節の衝撃を和らげる役割をしていると考えられ、痛みが余りありません。ただ、あまりにも大量に溜まると、圧迫感が強く、障害となります。リウウマチでも、水が溜まっていても、痛みがない時は、関節の衝撃を和らげていると考えられ、抜いて水を少なくすると、痛みが増す事があります。ただし、リウマチの時は、変形性関節症や、外傷後の水が溜まる時と違い、あまり痛くないからといって、放っておくと、時間とともに(月単位に進行すると考えてください。)、軟骨が解けて、骨まで破壊されてゆきます。変形性関節症の水も溜まり続けたまま放っておくと、軟骨が解けると考えますが、進行速度が違うのです。また、骨は破壊されずに、それを修復しようとして、骨がとがってくる、いわゆる変形となります。
 変形性関節症や、外傷後の水腫(水が溜まっている状態)でも炎症が強いと、痛いときもあります。一般に、炎症が強ければ強いほど、痛みが強くなります。外傷後に、膝に血液が溜まっている時は、激痛ですが、それ以外では、細菌が感染して化膿している時が、一番痛がる方が多い印象です。次に結晶誘発性関節炎の時、そして、慢性関節リウマチのとき でしょうか?
痛みが強い時は、炎症が強かったり、膝の関節腔一杯に溜まっていますので、抜かざるを得なくなります。

4、炎症が続いていたり、悪いところが改善しないと、溜まっている水が引かない。

 リウマチで膝に溜まっている水がひかない時は、炎症が続いていて、コントロールがうまくできていない(進行して、関節が壊れてゆきます。)と考えてください。現在飲んでいる薬があれば、それだけでは不充分ということです。次の段階の薬や治療が必要です。変形性関節症や、外傷後に溜まっている水が引かない時は、軟骨が傷んだままで改善してこない、怪我で傷めたところの回復が充分でないということです。(1で述べた骨壊死のこともまれにあります。)より安静が必要であったり、装具が必要であったり、(どのような装具なのかは、後述する予定です。)場合によっては、MRIなどの精密検査が必要です。検査で手術が必要な損傷がわかることもあるからです。

水を抜くと癖になるから水は抜きたくない の話

 このように訴える方にしばしば遭遇します。
 水を抜くと癖になるというのは、水を抜いてもすぐまた水が溜まる。そこでまた水を抜くという繰り返しになることです。なぜこのようになるかは、4の理由からです。水を抜くということは、関節の中に針を刺すのですが、中の溜まった液体を抜いた後、そのまま針を留置しておいて、そこから、ヒアルロン酸や、副腎皮質ホルモンなどの改善を目的とする薬を入れます。つまり、抜くと同時に、薬も入れるのです。それでも、以前と同じように使っていては、悪いところがなかなか改善しませんので、また、水が溜まってしまうのです。抜いて薬を入れると同時に、安静を保って、改善を待たなければだめということです。リウマチでは、次の治療に進まなければだめということです。活動範囲のあまり広くない女性の方は、比較的安静を保ってくれますので、水を引いて癖になる方は少ない印象です。ところが、活動性の高い比較的若い方(特に男性)では、なかなか水が引かず、繰り返し水を引くことになる方が多くなります。しかし、根気よく水を引いて薬を入れてゆくうちに、悪いところが改善してゆけば、水は溜まりにくくなりますから、繰り返すことも必要な場合があるのです。

また、2の原因を推測するために、水を抜いた方がよい時もあります。
3の、痛みが非常に強い時も水は抜いた方がよいです。

 ただ、水が溜まっていても、あまり痛くないときは、4に準じて、以前の活動を制限して、安静などを保ったり、装具を使ったりすることで、必ずしもすぐに水を抜く必要はありません。ヒアルロン酸も水を抜かずにそのまま打つこともあります。(本音を言うと、水が溜まっている時の方が、ヒアルロン酸は関節に入りやすいのです。ただ、あまりに大量に溜まっていると、効果が薄まってしまいますので、抜きます。)消炎鎮痛剤(痛み止め)も、炎症を抑えて、水を溜まることを抑える方に働きますので、痛みが強くなくても、指示通りに飲んだ方がよいこともあります。悪いところが回復してくると、自然に水も吸収されますので、そうなればよいのです。ただ、溜まりっぱなしは、軟骨が傷んできますので、よくないことは事実です。あくまでも、改善するように心がける事が前提です。
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