RECOMMEND
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS

07
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
--
>>
<<
--

赤坂整形外科

院長のオリジナルの考えをのせています。今までの考えを残してゆくつもりで筆を執りました。読み物だと思ってください。
<< 下肢の痛みでわかってきたこと | main | 下肢の痛みでわかってきたこと >>
下肢の痛みでわかってきたこと
126、股関節の痛み1

今回から、股関節の話をします。まず、歩けなくなる可能性のある、骨折の話からです。

寿命も縮まる?大腿骨頚部骨折

 比較的若い方(中年前ぐらい)でも生じることはありますが、主に、高齢で、骨が弱くなってくると、脚を伸ばしたまま、横方向に転倒した時に生じる骨折です。特に、年齢平均よりも骨が弱くなる骨粗鬆症の状態がひどくなると、脚を伸ばしたまま、転びそうになったとき、踏ん張って、ひねっただけでも起こす可能性があります。この骨折が問題とされるのは、外傷後に歩けなくなる、寝たきりになる可能性が高くなることです。そのため、出来るだけ早くから動けるように、歩く練習が出来るような治療を選びます。つまり、できるなら、手術して、強力に固定して、骨がつく前から動けるように、歩けるようにします。それでも、手術後歩けなくなる方がでます。ちゃんとした理学療法士に、毎日歩行練習などをきっちり受けられればよいのですが、マッサージ師が行っていたりすると、歩けなくなる確率が上がると考えます。以前、勤めていた西窪病院でも、手術後のリハビリを、担当のマッサージ師の方にお願いしていたところ、歩けなくなってしまいました。そこで、すべて私自身が手術後のリハビリを、病棟回診中に行うようにしたところ、看護師たちも協力して行ってくれるようになり、それ以降、歩けなくなった方は、ほとんど記憶にありません。皆、歩けるようになって退院した印象です。
 動けなくなると、残りの寿命はあまり長くないと考えます。抵抗力が落ちて、肺炎などの感染症や、腸閉塞などにかかりやすくなるからです。もともと高齢の方が起こす骨折ですので、天寿と言われれば、そうなのかも知れませんが、20年ぐらい前のデータでは、手術後の平均寿命は3,4年と記憶しております。

骨がつかない内側型の骨折は人工骨頭置換手術をおこなうが。・・・・

 図のように、大腿骨頚部には長さがあり、骨頭(こっとう)に近い部分の骨折を内側型(大腿骨頚部内側骨折)とよびます。転子に近い部分を外側型といいます。外側型と転子部の骨折は、骨を固定する手術を行いますが、内側型は、骨頭へ行く血管が切れている可能性があり、そのまま止めても、骨がつくための血流が悪い上、固定力も弱く(骨頭は長さも短く小さいので、スクリューなどを、深く強くかませることが出来ませんので、固定力はどうしても低下します。)、うまく骨が付かない可能性が高い。+骨頭部分が血流不全を起こして骨壊死(大腿骨頭壊死)を起こす可能性があります。そのようになると、高齢ですとまず歩けなくなってしまうので、最初から、骨頭部分を取り出して、人工の骨頭(磨耗しないように金属で出来ています。)に換える(置換する)のです。=人工骨頭置換術。
 このタイプの骨折を起こす方は、比較的多いため、この手術を行う機会は整形外科医では、かなり多くなります。そのため、慣れると手術は比較的短時間で、出血も少なく、うまく行える場合がほとんどです。慣れていないと、ステムの挿入が骨の中心に来ていないために、その尖端で再骨折したり、痛みが残ったりします。また、人工の骨頭が、臼蓋(きゅうがい)から外れる=脱臼をおこして、再手術になったりします。
手術がうまくいった場合は、組織が落ちつく2週後の時点で、歩行練習を始めることが出来ます。(歩行開始時期は、状況や、執刀医の方針によって違います。)骨を固定する手術の時より、早く歩行練習が出来て、早く退院も可能です。うまくいった場合は、何事もなく、10年、20年経ってもOKです。

 しかし、どうしても、長い間経過すると、ステムのゆるみが出て、痛みが出たり、脱臼を起こしたりする可能性があり、自分の骨が残っていた方が、よいに決まっています。そこで、比較的若い方は、このタイプの骨折でも、自身の骨頭を残してそのまま固定する手術をする場合もあります。骨頭の壊死を避けるために、体重を載せることを、長期間待ちます。その間は、松葉杖で手術した脚を浮かせて、良い方の脚だけで歩いたり、手術した脚に長下肢免荷装具と呼ばれるものを着けて歩きます。(この装具は、骨頭に体重が載らないように、坐骨(尻の下の部分左右に触れる骨)で体重を支えるようになっています。)それでも骨がつかない場合は、骨移植術といって、自分の骨盤の骨をとってきて、骨折部に埋めて、骨がつくことを促す手術をしたり、骨頭が壊死してきたら、人工骨頭に取り替える手術をします。高齢な方では、松葉杖で脚を浮かして歩いたり、長下肢装具を着けて長期間歩くこと、ましてや再手術を受けることは無理と判断して、最初から人工骨頭に取り替える手術をするのです。

高齢の方の、内側型の骨折でも、人工骨頭の手術をしない場合もある。

 図2のように、骨折が不完全な場合で、荷重側(体の中心より外側)にはまり込むタイプの骨折は、そのまま体重を載せても、骨が付いている部分が残っていますので、骨頭が体の中心側(=内側)に落ち込むことがないので、スクリューで固定するだけで(あるいは、うんと軽いと、そのまま固定しなくても)、すぐに(あるいは1〜2週間後から)歩いても大丈夫です。すぐに歩く練習が出来ることが高齢では重要です。・・・が、図3のように、骨折が完全な場合は、脚をひねった時などに、骨頭が内側に落ち込む可能性があり、(こうなった場合は、人工骨頭置換術になりますので)最初から、人工骨頭に換える手術をするのです。
 実は、この2種類は、レントゲンだけでは、区別しにくい場合があり、手術方式を間違えると再手術になりますので、最初からすべて、人工骨頭に換えてしまう場合が多いようです。しかし、今は、MRI検査で、骨折の状況が完全か不完全かレントゲンよりわかりますので、判断しやすいと考えています。


話が出た、大腿骨骨頭壊死 と言う病気にも触れておきます。

 骨頭の部分の骨が死んでゆく病気です。
 原因不明のこともありますが、先ほど述べた頚部骨折以外にも、副腎皮質ホルモン(ステロイド)を長期間使っていたり、アルコールの飲みすぎなどでも起こります。故 美空ひばりさんもこの病気だったようです。治療は、死んでいった部分に体重をかけないようにすることですが、修復するまで体重をかけないようにするので、長期間に及びます。上で述べたような松葉杖や、長下肢装具を使うことは理論上正しいのですが、続けられない場合も多いと考えます。進行してくるようですと、死んでいる部分に体重がかからないように骨を切って骨頭を回し、死んでいない部分に体重が載るようにする手術、さらに進行をすると、広い範囲で骨が壊れてきますので、人工の骨頭に取り替える手術を、ここでも行います。
ついでに、5歳ぐらいから10歳未満ぐらいまでのお子さんにもこの部分の骨頭が壊死してゆく病気(=ペルテス病と言います)があります。治療は同じく、体重をかけないようにすることです。自然経過で治癒するのですが、その間に体重をかけていると骨頭が変形して、将来、変形性股関節症必発です。お子さんですので、手術することなく、装具を着けて過ごす事になります。
いずれにしても、どちらも、頚部骨折に比べてはるかに 稀 です。

余談
寿命があまりないという話に関連して

高齢な方で、足先から腐ってくる=余命があまりない

 糖尿病で、あるいは、糖尿病などで動脈が詰まって腎臓の機能も落ちて、透析している方も、動脈自体が自然に詰まってくる閉塞性動脈硬化症でも、足先から腐ってくる状況に進んでいる方は、余命があまりない ということです。足が腐ってくる場合、通常、足を切断する手術を行います。そのまま腐った組織を残していると、死んだ組織が感染したり、死んだ組織からの毒素が全身に回ってさらに寿命が短くなると考えてください。手術をした後は、義足を作って、歩く練習を行い(=リハビリテーションを受ける)、歩ければ退院する という治療で、およそ3〜4ヶ月かかります。腫瘍や、外傷で切断した方は、この経過になります。私は、この病気による切断で、元気になって退院された方(比較的若い方は別です)の記憶がほとんどありません。手術後、まもなく亡くなられた方、義足を作成中に、完成する前に亡くなられた方、などです。人間、体の一部が腐ってくる=体がもう既に寿命です。と言うことを表しているようです。
| 下肢痛 | 20:28 | - | - | - | - |