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赤坂整形外科

院長のオリジナルの考えをのせています。今までの考えを残してゆくつもりで筆を執りました。読み物だと思ってください。
上半身の痛みでわかってきたこと
140、首周囲の痛み8

治療の話

まずは、注射でない リハビリテーション治療の話をします。

頚椎牽引は首の椎間板ヘルニア、椎間関節障害に効果がある。

 俗に言う、首を引っ張る、首を吊る、治療です。椎間板の圧力を減少させ、椎間板ヘルニアの修復(飛び出ているヘルニアを元に引っ込める)を計ります。椎間関節の圧力を減少させ、筋肉をストレッチします。→などにより、治療効果が出ると考えられています。
 首の椎間板ヘルニアや椎間関節障害が痛みの原因の方や、それにより上肢が痺れている方に有効です。特に、最初から上肢だけが痺れている方や、痛みは先に取れても、上肢に痺れだけが残っている方は、なかなか改善しない場合が多いのです。このような椎間板ヘルニアや、椎間関節障害で痺れがあるだけの方には、一番効果が高いリハビリテーションと考えています。
 
 引っ張る方向は、やや前方上方がベストです。あごが引き上げられるのではなく、後頭部が引っ張られる感覚です。後方に引っ張られると、あごが引っ張られて上がり、首がそって痛くなる方向です。受ける側も体の位置を少し移動して楽な方向に引っ張られるように調節して構わないと考えます。
 それでも引っ張る治療は首に負荷をかけますので、腰の牽引と同様、つらくなる方がいます。急性期で首の痛みが強くてほとんど動かない方、前回述べた下垂肩症候群の方など(首が上へ伸びる方向ですと、逆に上肢にゆく神経が下に引っ張られる方向になるため)、要注意です。診察時に、座った位置で、検者の手で首を上方に引き上げることが出来ますので、引っ張って気持ちよいか、楽になる方だけに受けてもらっています。引っ張って降ろした時に痛みが出る方や、引っ張っている時に痛む方は牽引すると悪化します。引っ張って何も感じない方も、治療効果があまりよくありません。

炎症が強く、急に首が動かなくなるような激痛は、消炎鎮痛剤の効果が高く、治りもよい。

 前々回にも述べた病態(病気の状態)です。痛み止めの飲み薬が効果があります。当院では、超音波治療(ホームページ参照)を加えて、さらに痛みを取るようにしています。超音波治療が有利な点を述べます。皮膚に電流を流す低周波治療と違い、体の深部まで到達するので、直接原因となっている頚椎周辺の炎症を抑えて改善することが出来ます。超音波は、ある程度の範囲をゆっくり回しながら照射しますので、原因部位がはっきりしない時でも、その周辺に確実に当てることが出来ます。レーザー治療も体の深部まで到達しますが、レーザー光線は直進しますのでピンポイント照射になり、原因部位から外れる可能性があります。この場合は、炎症が首全体に及んでいて、原因部位をピンポイントで指定することが出来ないため、超音波治療が向いています。

痛みは気から の影響で、なかなか治らない方もいる。

 仕事などで、緊張状態が続いている方に診られます。このような方に限って、都内に通勤して(当院は所沢にあり、東京へ1〜2時間かけて通勤されている方もいます。)いて、週に一回しか治療を受けられない方が多く、改善が悪くなるのです。頚椎牽引などの痛みを取るリハビリテーションは、週2,3回受けるほうが効果はぐんと高くなります。牽引治療は、リハビリテーション科、整形外科を標榜しているところならどこにでもありますので、職場の近くにリハビリをしてくれるような医院(大きな病院は手術になる方、優先で、通常行っていません。)があれば、行くように薦めています。

痛みは気から の影響で、痛みがつらく感じている方には、つぼにレーザーをあてる治療が効果が高い

 痛みが上肢全体に広がっている方には、上肢のつぼをレーザー(スパーライザー)治療器(ホームページ参照)で気の流れに沿って回す治療が有効(なことが多い)です。レーザー治療器には、小さなポイントを照射が出来るアダプターがあります。同じところをずっと当てる時は、3秒間照射3秒休むなど、持続的に(=長く)当てられません(超音波治療は照射範囲が広い上、持続的に当てられます。)が、休む間に、次の照射ポイントに移すことが出来ます。数あるポイントを次々に回す治療に向いているのです。つぼは経絡という気の流れのラインの上にあり、その気は流れる方向が決まっています。(中国医学の考えで、西洋医学では証明されていません)適当につぼ照射を回すのではなく、その流れの順序で回す方が効果が高い印象です。(つぼに電極を当てて電流を流す低周波治療は、いくつかのつぼに同時に電流を流すため、気の流れに沿って回すことにはなりません。)

星状神経節を利用する

 首の第7頚椎の左右にある自律神経の神経節(≒神経の細胞が集まったもの)を星状神経節(せいじょうしんけいせつ)といいます。ここにレーザーを当てることにより、自律神経の機能を調節していろいろな症状を改善します。自律神経の機能(=交感神経の機能 3痛みは気から理論編)が亢進していると、痛みに敏感になりますので、敏感になっている痛みは抑える方向に作用します。他にめまい、動悸など、自律神経の調節障害で起こるいろいろな症状や、花粉症などのアレルギーにも有効です。上肢の血行も改善しますので、胸郭出口症候群などによる上肢の血行障害にも有効です。治療効果は種々におよび、非常に便利ですが、上半身に作用するのが主で、腰痛など、下半身には効果がないことが通例です。同じ、スーパーライザー(レーザー)で照射しますので、つぼと一緒に回すことが出来るので、痛みを抑える治療効果をさらに挙げることが出来ます。
 ただし、枕なしで寝ていられる方が条件です。首をやや反らした位置で当てますので、そのポジションで、痛みが強く、保っていられない方には出来ません。

トリオ治療、SSP治療などの低周波電流刺激装置(ホームページ参照)を利用する

 トリオ治療は、痛みとは別の刺激を与えて、痛みを抑えるという西洋医学のテンズ理論に基づいて考案されたもので、SSP治療は、電気鍼(でんきばり)の代わりにと考案された中国医学の鍼治療理論に基づいて考案されたものです。見た目もまったく違い、トリオ治療器は、小さく安価で、個人購入用ですが、SSP治療器は非常に高価で大きなリハビリ器械です。
 しかし、治療効果の方は、トリオ治療の電極に、小児用の心電図の小電極を使いますので、ピンポイントで電極の位置を決められます(電気鍼に近い)ので、SSP治療との間に大きな差はありません。
 主だった違いは、トリオ治療器が、一台に4電極しか付いていないのに対して、SSP治療器には、10電極×2人分付いていて、高範囲に電極を当てることが出来ます。=あちこち痛い所がある方にも向いています。SSP治療器は、揺らぎのリズムで電流を流すことが出来ますので、気持ちよい感覚がより強くなります。一方、トリオ治療器は、電流の強さ(アンペア)を変えることが出来る上、波長、波形を変えることが出来ます。
 →EMS治療といって、筋肉を刺激してピクピクさせることが出来ます。=麻痺した筋肉を活動させ回復させる作用があります。(通販で、腹に巻いて、筋肉を刺激して、やせるという歌い文句の治療器もこのEMSを利用しています。)
 →マイクロカレント治療といって、もともと生態レベルで発生する程度の微弱な電流を流すことが出来、創などの治癒促進作用もあります。
 共通の効果は
 つぼを取ることで、痛みに敏感になっている方の痛みを取るのに有効です。超音波や、レーザー治療に比べて、刺激が少なく、施行後に痛みが強くなってしまった と訴える方は少なくなります。

この最後の文章について述べます。

治療効果は人によって違う。

 私は、痛みを取る治療はすべて、多少なりとも、別の刺激を与えて、その刺激に対して、痛みを抑えるように頭から指令が出て、楽になる という作用を利用している と考えています。(人には、痛みを伝える神経とは別に、痛みを抑える神経(痛みの抑制機構)が備わっています。3、痛みは気から理論編参照)
 牽引、超音波、レーザー、低周波電流、まだ述べていないブロック注射すべて、種類や強さは問わず、身体に別の刺激を与えることになります。その与える場所は つぼ でもトリガーポイント(原因部位と別に痛みが現れる場所)でも、どこでもかまいません。それらの刺激は、神経を伝わって脳に達します。次に、それに反応して、脳から痛みを抑えるように指令が出て、神経(=痛みを抑制する神経で、痛みを伝える神経とは別にあります。)を伝わって、逆に痛みを伝える神経をブロックします。これが、痛みを抑える機構です。この作用を多少なりともすべての治療が利用している と考えています。
 そこで、通常は、痛みが伝わる、リハビリなどの別の刺激が伝わる、と、痛みを抑える神経が作用して、痛みを伝える神経を多少なりブロックします。すると、どんどん痛みが楽になって、治ってゆきます。(正確には、痛みが治まってゆけば、身体の治癒能力が高まって、どんどん治る方向に持ってゆく です。)

ところが、
1、痛みを伝える神経自体が過敏になっていて、痛みを抑える神経の機能が間に合わない。
2、痛みを抑える神経の機能が悪く、伝わる痛みを充分抑えることが出来ない。


 上の状態ですと、治療の刺激が(=別の痛みが)脳に伝わるばかりで、どんどん痛みとして強く感じてしまい、痛みが逆につらくなる可能性があります。2で、痛みを抑える神経がほとんど機能していないと考えられているのが、繊維筋痛症(せんいきんつうしょう)と呼ばれる痛みの病気です。

また、
3、痛みを伝える神経に対して、脳が反応していない。 =治療による別の刺激も脳で感じないので、痛みを抑える神経の機能も反応しない。
 こちらですと、治療しても何も変わらない、効果がない という可能性になります。こちらは、痛みの脳へ刷り込みなどと呼ばれ、そこに痛みがあるもの としてすでに脳が記憶してしまっている状態です。
 
 つまり、治療しているにもかかわらず、反応しない方、痛みが強くなる方 もいる ということです。残念ながら、これらの状態になっているかどうかは、診断する方法がありません。多くの方を診察してみて、これらのどの状態になっているか(=可能性がある方)はある程度わかるのですが、その方が、それぞれの治療にどの様に反応するのか、まではわかりません。(=治療を行ってみないと“楽になります”などと、はっきりしたことが言えない のです。)
 たまに、治療して逆につらくなったと訴える(≒文句を言う)方がおられますが、このような状態に陥っていると、その可能性は充分あります。診察でその可能性があると考えられる方には、治療前にそのことを話すようにしておりますが、それでも、事前の診察で、わからないこともあります。
 1は、骨折や、脱臼などの外傷後に時々診られます。激痛が出ていますが、整復する時、麻酔の注射をして痛みを一度ブロックする(全身麻酔でなく、部分麻酔のことです。)と、整復されて楽になったこと+α で麻酔が切れた後も激痛は治まります。(痛みはある程度残りますが。)これは、痛みが過剰に、脳へ強く伝わる状態になっていて、痛みを抑える神経の作用が間に合わず、=痛みを伝える神経が抑える神経に勝っていて、激痛となっていると考えます。そこで、一度、痛みを伝える神経をブロックすると、過剰な痛みの伝達が抑えられ、その後は、痛みを抑える方の神経が正常に機能して、激痛は治まるのです。
 →整復するときは、神経をブロックする局部麻酔を必ずしたほうがよいことになります。激痛を放って置くと、痛みのために、指が動かない、むくみが出る といった、前回述べた状態になります。
 このように、誰でも、いつでも、これらの状態になりうる と考えています。一方、1,2の状態なら誰でも治療がうまくいけば、脱せられる とも考えています。治療を受ければ楽になる、という通常の反応になる、ということです。1、2の状態でも、治療後に一時的につらくなってもその後楽になります。それがどのくらい時間がかかるかは、人によって違います。施行後数時間ならまだしも、2,3日続くとつらくなります。それでも、その後楽になります。いつまでたっても痛みがつらいままの方、どの治療を受けても、つらくなる方は、1、2の状態が長く続いている方=痛みに対する反応が固定してしまっている方です。実はここまで進行する方は非常に少ないのです。そしてさらに進むと?3の状態になると考えます。この最終?段階に陥ると、どの治療方法が効果があるかわかりません。少しずつでも痛みが楽になるように、その方に合う治療を探しながら、年単位で根気よく治療を続けていかなければならないのが現状です。したがって、このような状態に陥る前に、元の正常な痛みの反応の状態にもどすことが治療の基本です。
| 上半身の痛み | 21:07 | - | - | - | - |
上半身の痛みでわかってきたこと
139、首周囲の痛み7

 前回までで、首で脊髄そのものが圧迫されている方は非常に少なく、脊髄から出る(前々回からお話している)神経根が圧迫されている と診断できる方も少ないと話しました。
 現実は、頚椎の椎間板ヘルニアで、上肢の痛みや痺れが来る方も少ないということです。

 首の脊髄(頚髄)から出る神経は、数本が左右の上肢に行きますので、それぞれの腕や、手先に痛みや、しびれ、などの症状が出ます。神経(=神経根部分)が圧迫されると、その神経が支配している先の皮膚の、触ったり、つねったりする感覚が障害されたり、神経が支配する筋肉の力が弱くなります。これを神経症状と呼びます。が、この症状が出ている方も少ないのです。多くの方が、腕がしびれる、手がしびれる、肩と肘のあたりがいたい、肩甲骨辺りが痛い、と自覚症状を訴えます。しかし、ほとんどの方が、この神経症状は見られず、神経学的には異常なし(神経症状なし) なのです。→→頚椎の椎間板ヘルニアで神経根が圧迫されていても、神経症状なし のことも多いのです。

 今回は、上肢の痺れや痛みを訴えられる方で頚椎椎間板ヘルニアで神経が圧迫されていない時の話です。上記の神経症状が出る可能性はさらに低くなります。
 前回、第1肋椎関節、頚椎の椎間関節で痛みが出ている方は、関節運動学的アプローチ手技で診断できると話しました。これらの関節の側には、腕に行く神経が通りますので、腕に、痺れや、痛み、を訴えます。しかも、通常、神経学的には異常がでません。また、首からは、肩甲骨の方にも神経が行きますので、こちらにもよく痛みを訴えます。前回述べるのを忘れましたが、逆に首の椎間板ヘルニアで痛みが出ている方は、関節運動学的アプローチの手技で、これらの関節から痛みが出ないことが通例です。
 さらに、
 首からの神経は、首から出た後、鎖骨と第1肋骨の間を通り、わきの下を通って、腕の方に行きます。この部分で神経が刺激されて、腕の痺れや、痛みが出ている方も多く診られます。こちらは、胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)下垂肩(かすいかた)症候群?などという病名があります。これらは、首から神経が出たあとすぐの部分の圧迫障害です。腰から神経が出た後すぐの部分の障害(骨盤内の障害など)は病気として認められていない と対照的にこちらは病名があります。これは、以前より、胸郭出口症候群などは、血管造影検査などで、診断できた(一定の腕の位置で、神経とともに、腕に行く動脈も圧迫されますので診断可能)こと、それに対する手術治療もあること により、整形外科で病気として認められているのです。

胸郭出口症候群は、

 鎖骨と第1肋骨の間で、腕に行く神経と血管が圧迫されます。典型的な症状は、携帯でない電話の受話器を手で持って話していると、腕がしびれてくる。 仰向けに寝て、腕を上に上げて寝てしまうと、腕の感覚がなくなって麻痺する。楽器演奏ですと、チェロの左手で弦を抑える格好を続ける(映画 おくりびと のモックンのかっこよい弾き姿を思い出してください)と、腕がしびれてきて、力が入らなくなる などです。
 この形で、一番強く鎖骨と肋骨の間で、神経血管が圧迫されるためです。この形で血管造影を行うと、血管が、鎖骨と第1肋骨の間で、圧迫されていることがわかり、診断が確定します。
 私は、完璧にこの病気?=状態です。
腕を上に上げて=万歳状態で寝込んでしまうと、上げている腕が麻痺して全く感覚がなくなり、腕も全く動かなくなります。元にもどすとしばらくして回復してきます。
 開業前に40の手習いで、チェロを始めましたが、左手で弦を抑える格好を続けると、痺れてきて力が入らなくなりました。開業して一度止めましたが、体のあちこち痛くなったため、はじめた簡単な筋トレ(後の回で述べる予定)が、5年経ってから再び始めたときに、この症状を改善していました。 =弾いていても痺れがほとんど出なくなっていました。
 他に、横向きで寝ていると、胸郭出口部分がからだの重みで縮こまって、圧迫されて下のほうの腕がやはり完全に麻痺していしまいます。
 また、横向きに寝ていて上になっている方の腕が痺れることもありますし、まっすぐ上を向いていてずっと同じ姿勢で寝ていると腕が痺れることもあります。
 ある程度お年の女性に時々診られますことですが、朝だけ手が痺れている すぐに回復すると訴える方がいます。診察時には回復していますので、診察所見がなにもないことも多いのです。が、これらの方も上と同じようなことが軽く起こっていると診断しています。

下垂肩症候群は、

 腕を下に引っ張られると、腕がしびれてきます。腕とともに、首から出た後の神経が下方に引っ張られることで、症状が出るためです。重いものを持つと腕が下に引かれますので、症状が出たり、ひどいと、腕を下に垂らしているだけ(腕の重みだけ)でしびれることもあります。なで肩の方に多く診られます。レントゲンでは、第1肋椎関節と、鎖骨の間の距離が長いため、その部分の神経の走行距離も長いこと と、首周囲の腕を支える筋力が落ちる、あるいは弱いと、腕の重みだけで神経が下に引っ張られて障害が出てくるのです。
 上に述べた、横向きの下側の腕が痺れる、上向きに寝ていても、肘が身体に対して下にある位置ですと、肩が後方に引っ張られる形になって腕が痺れる、などの症状も出ます。そして、軽いと朝起きたときにしびれていることに気づく のです。
  頚腕症候群(けいわんしょうこうぐん>)→→頚肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)

 図では、頚腕症候群となっていますが、現在正式名称は、頚肩腕症候群です。
 首から出た後の神経の障害による症状を起こす病気の総称です。首から肩、腕に症状が出る病気です。神経が首から肩、腕のどこで圧迫されているかわからない場合や、上に述べた病気も、この中に含まれると思ってください。
(一方、腰から出た後の神経の障害による症状は、このような病名は付いていません。以前から述べている 腰脚症候群(ようきゃくしょうこうぐん)=腰股脚症候群(ようこきゃくしょうこうぐん)は、これを参考にして勝手に私が名前をつけたものです。)
この状態の方、よく外来で診られます。

このような状態になる方の状況?は

1、運動不足、上半身の筋力が弱い。
 特に肩周囲の筋力が弱い。
 私は、幼少の時から、ボールを投げるの不得手で、普通の男子よりも遠くに飛ばすことが出来ませんでした。大学になってからは、ボール投げで距離が出ないのを見て、肩が弱いね と言われました。40になってからわかったのですが、肩を外に回す力が特に弱く、この筋力+肩甲骨周囲の筋力を鍛えたことで、腕が痺れる症状、肩が痛くなる(四十肩)が改善したのは事実です。

2、もともと圧迫されやすい形をしている。
 なで肩をしている方、第1肋椎関節と、鎖骨の間の距離が長い方は、前回も述べたように首から出た後の神経が下に引っ張られやすいので、腕を吊り上げる筋力が弱いと、腕の重みで痛み、痺れが出やすくなります。私も自分の首の正面のレントゲンを調べてみたことはありませんので、この形に近いかもしれません。

3、以前運動していたが、今は運動止めて筋力が落ちた。
 私もこれに入ります。学生時代は、何か運動をしたいと考えて、経験がほとんど関係ないボートを漕いでいましたが、止めた後、筋力が落ちて痛みが出やすくなったなと思っていたことに加え、何とかゴルフの練習(コースにはほとんど出ないで、打ちっぱなしでストレス解消のみでも充分運動になります。)で、運動をしていたのも、開業して止めてしまい、完璧に運動不足となり、さらに筋力が落ちて、+太って、体のあちこちに痛みが出てきました。

4、運動をしすぎて(=例えば野球のピッチャーなど、腕を使いすぎて)障害が出ている。
 酷使する肩周囲が、それに耐えうるだけに筋力がない、圧迫されやすい形をしている =1,2の状態ががベースにあると考えます。

5、パソコンなどの、繰り返し同じ動作を緊張して行っている。
=仕事や日常で、緊張状態が続いている。
 運動不足の方がおおく、1,2、(3)がベースにあり、それに、動かさずに、じっと緊張状態が続くと、腕の障害が出てきます。ある動作をする時だけ、例えばパソコンをする時だけ痛みや痺れが出る方もいます。後に述べる7,8の関与も大きくなります。

6、繰り返し腕を使う、力を入れる仕事をしている。
 これも、力仕事に耐えうるだけの、腕を支える基本的な筋力が足りない、圧迫されやすい形をしてる など4と同じ、1,2がベースにあると考えます。

7、神経質、あるいは細かいことが気になる性格。
 性格的に、痛みや、痺れる症状も気になります。気になりだすとどんどん症状を強く感じるのです。

8、肉体的にも精神的にも、ストレス、疲労が溜まっている。
 このような状態になると、自律神経の調節が悪くなって、痛みに敏感になります。通常の状態より、症状が大きく出ます。

9、交通事故後しばらく日数がたってから。
 外傷後頚部症候群(がいしょうごけいぶしょうこうぐん)などと呼ばれます。事故による最初の一撃で起こる損傷の程度に関係なく、次第に痛みが強くなる状態です。最初の2週間ぐらいでどんどんつらくなってきます。はっきりした原因はわかっていませんが、今まで述べてきた1〜8の条件に当てはまる方が陥りやすいのは事実です。治療しているにもかかわらず、このようになってくる方もいて、首が痛くなってくるだけでなく、腕に痺れが出てきたり、肘に痛みが出てきたりします。腰が痛くなることもあります。

などです。=いずれにしても痛みに敏感になっている(ことが多い)状況です。

 椎間関節などの首の障害と、首から出た後の神経の障害が同時に診られる方、肩の炎症(四十肩、五十肩)と、首から出た後の神経の障害が同時に診られる方、手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん=手首で神経が圧迫される)や、肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん=肘で神経が圧迫される)と、首から出た後の神経の障害が同時に診られる方、など 同時に何箇所かが痛みの原因になっていると診断できる方もいます。
 このような方では、肘や、手首の痛みが痛みの主原因になっていても、頚肩腕症候群も加わると、それぞれの部位の痛みを強く感じていますし、肘や、手首の痛みから、痛みが上肢に広がって、頚肩腕症候群の状態になっていることもあります。
 このような方は、痛みに敏感になっている状態です。首から上肢の痛みでは、腰から下肢に痛みを訴える方より、痛みに敏感になっているな と判断しやすいのです。

痛みに敏感になっている状態の方が、上肢に痛みが出ると

 指、手の動きが悪くなる。手がむくむ。ことがあります。この痛みが続くと、指の関節が固くなって動きが悪くなる、動かなくなる。このような状態に進行することがあります。
 原因のない痛みが出た後や、軽い外傷後、すぐに、あるいはしばらくすると起こる場合や、手首の骨折で、ギプスが外れた後、1ヶ月過ぎから起こることもあります。
 現代の医学では、なぜこのようになるかは、はっきりした原因はわかりません。痛みに敏感になっている状態が、ずっと続くことは少ないので、実際は、指が動かなくなるまで、進行する方は少ないです。
 治療は、痛みをまず取ることが先決です。痛みが取れれば、どんどん動かすことが出来ますし、動くようになるからです。動きが悪くなってしまった後では、改善に非常に時間がかかります。関節が固まってしまうと、元に戻らなくなることもります。痛みがなかなか取れない状況では、痛みを軽くすると同時に、痛みが強く感じないところまでは、動かしてゆきます。痛いからといって動かさないでいると、動かなくなってしまいますし、強い痛みを伴いながら動かしても、動かなくなってしまいます。(=動かすやり方が難しいのです。)
| 上半身の痛み | 17:08 | - | - | - | - |
上半身の痛みでわかってきたこと
138 、首周囲の痛み6

首の痛みの原因の話をさらに進めます。

今回は、復習的な話+アルファです。

1、レントゲンで異常が出ていても、痛みがでるとは限らない。

 年齢的変化は、第5頚椎第6頚椎の間の椎間板に現れることが一番多くなります。腰椎と同じように、頚椎の間は、1,2番を除いて、椎間板で結ばれています。年齢的変化も同じように、レントゲンでは、椎間板の高さが減少して狭く写ります。それを修復しようとして骨が尖ってくるのですが、前方や、後方に尖るよりも、側方のルシュカ関節と呼ばれる部分が尖る方が多くなります。このすぐ横から、神経が脊髄から出ますので、神経が刺激されやすくなります。しかし、常に痛みが出るとは限りません。どなたも、年齢的変化は多少生じます。それでも痛みが常に出るわけではありません。痛みが出た方も、痛みが出ない期間のほうが長いのです。前回は、その脊髄から出る神経の障害の話もしました。

2、レントゲンの異常はすぐに生じるわけではない。

 1に述べた年齢的変化は、変形性頚椎症、頚部脊椎症などと呼ばれます。変形 といっても、骨がずれているわけではありません。1で述べた変化が、変形です。
 この変化、急に生じたわけではありません。年々少しずつ生じてきます。ある程度の年になって、初めて首が痛くなった方にも、かなりの率で、すでにこの変化が見られます。今までこの変形が存在しても痛みがなかった、ということです。

3、レントゲンでの異常は変わらなくても、痛みは治る

 その、痛みがない状態に戻れば、治った ということです。もちろん、レントゲンの所見は変わりません。これだけ変形しているからもう元に戻りませんよ、と、同じ整形外科の医者でも言う先生がいますが、確かに、変形した部分の形は変わりません。元の形にもどすことは、若返らせろ といっているようなもので、現代の医学では無理です。が、痛みが出なくなれば、治ったとしてよいのです。多くの方は、年齢的変化があっても、痛みもなく過ごせているのですから。

4、レントゲンでは椎間板のヘルニアはわからない。

 首にも椎間板があり、ヘルニアになることがあります。しかし、レントゲンでは確定できません。腰と同じように、診察所見でほぼ ある と推測できることもあります。通常、痛みやしびれが片方の上肢に来ます。首をある角度に動かすと、この痛みが強くなります。神経の圧迫が強いと、その神経が行っている先に症状が現れます。首が悪くても、痛みやしびれは手先だけのこともあります。逆に、椎間板ヘルニアがあっても、上肢に症状が出ないこともあります。診察では所見が出ないのです。確定できる外来で行える検査は、MRI検査です。
 この検査、レントゲンではありません。強力な磁場の中に身体を置き、その磁場を変化させて、FMラジオと同じ電磁波を当てて、からだの中の水素原子の変化を捉えて、コンピューターで演算処理します。その電磁波を当てる間隔、時間などをさらに変化させて、数種類の画像を捉えることが出来ますが、一回一回条件を変えて取り直しますので、時間がかかります。CTはさっと一回撮影すればすぐ済みますが、MRIは、そうは行かないのです。狭い所で、音がうるさい上、ある程度の時間(20〜30分)じっとしていなくてはいけないため、痛みがつらくてじっとしていられない方、恐怖感や圧迫感が強い方は、検査が出来ません。加えて、強力な磁石の中に入るので、からだの中に磁石に吸い付く金属があり、しかもその金属が動くとまずい、内臓を止めているものなど がある方は行えませんし、反応する金属の周辺は画像がうまく出ません。

 前回まで述べてきた、首での脊髄の圧迫障害や、脊髄から出る神経根の障害の話ですが、まとめは→

5、首では、脊髄そのものが圧迫されて症状が出る方より、脊髄から出る神経根が刺激や圧迫されて症状が出る方が多い。

 脊髄が圧迫されている方自体が少ないうえ、その所見に見合う脊髄圧迫症状(両手指の痺れ、細かい運動がしにくくなり、不器用になる)が出ている方はさらに少なくなります。神経根が刺激されたり、圧迫されて痛みが出ている方のほうが圧倒的に多いのです。が、首が痛いといってこられた方全体を診ますと、神経根が刺激や圧迫されて痛みが出ていると確定できる方も実は少ないのです。

6、教科書に載っている整形外科の診察では、首から痛みが出ている とわかっても、首のどの部分から痛みが出ているかは、原因部位までわからないことも多い。
 レントゲンで、悪くなっている部位があっても、そこから痛みが出ているとも確定できません。
 上肢に知覚障害(触って感じにくい)や、筋力低下が認められるときは、その場所や、筋肉の種類によって、障害部位(例えば、第5,6頚椎間の右の神経根など)をある程度決めることが出来ますが、それらの神経障害が出ている方は、首の痛みで来られた方の中でも、少ないのです。

7、確定できる方法は、その原因と考えられる部位に注射をすることです。

 MRI検査が普及する以前は、椎間板造影といって、レントゲン透視を見ながら、椎間板に造影剤を入れ、ヘルニアがあるかないかレントゲンや、CT撮影して検査する方法が、頻用されていました。この椎間板に造影剤を入れた瞬間に、再現痛といって、今までの痛みが再現されることがあり、その部位が痛みの原因部位になっていると確定することが出来ました。
 この検査、入院が必要で、手技も難しく、施行後も安静が長時間必要です。MRI検査が普及してからは、どれほど行われているかわかりません。
 比較的簡単に出来るのは、レントゲン透視を見ながら、椎間関節に麻酔剤を注射することです。神経根そのものに当てようとすると、難しい上、あたった時には、激痛が走ります。首は、椎間関節に当てることで、その部分の神経根が原因となっていても、非常に近い位置にありますので、痛みがほぼ再現されます。また、麻酔剤を入れますので、施行後は、いつもの痛みがなくなります。例えば、第5,6頚椎間の右側で痛みが出ていると考えた場合、本人が注射しても治したいほどつらい状態なら、レントゲン撮影用台に横向きに寝てもらい、透視を見ながら、第5,6椎間関節に注射します。造影剤も必要なく、その椎間関節がちゃんと見えていれば、すぐに当たります。椎間板造影に比べれば、非常に簡単です。注射したときに、いつもと同じ部位に痛みが走れば、そこが痛みの原因部位と診断できます。はっきりしない時は、施行後、様子を診るため5分〜10分ぐらい休んでもらいますので、その間、いつもの痛みがなくなれば、その部位が痛みの原因と診断できます。
 この手技、診断兼治療になり、非常に有用なのですが、
 本人に注射を受ける勇気があること、それだけつらい痛みがあること、に加え、透視室を確保して、看護師についてもらい、施行後もしばらく様子を診ますので、通常の病院では、簡単にはできません。

レントゲンで異常が出ない時の首の痛みの原因

レントゲンで、異常が認められない方も多い。

1、レントゲンで異常が出なくても、診察で痛みの出ている部位が診断できる話
 6、に関連して、関節運動学的アプローチ(AKA博田法)(腰痛13、あるいはホームページ参照)に基づく手技を行うことで、痛みの原因部位がわかることがあります。この手技は、整形外科では正式に認められていませんので、教科書にも載っていませんし、行う先生はまだ少ない状況です。 
 第一肋椎関節(ろくついかんせつ)を動かす手技で、痛みが再現されます。この部位は、肩こり、交通事故後に続く痛み、長く続く痛み(慢性痛)、ストレス、緊張、体調不良、精神的負担などによる痛みの原因となります。また、レントゲンでは、通常異常が認められません。たまに、この部位の変形性関節症がわかる方、痛みが出やすい形をしている方がいるくらいです。
 棘突起(きょくとっき)を動かすことで、椎間関節が動きます。この手技により、痛みが再現されます。どの部位の棘突起を動かすかで、どの椎間関節が痛みの原因になっているか判断できます。椎間関節は、変形が進まないとレントゲンでわかりませんし、変形があるところ≠痛みの原因 です。
 この手技を行うと、治療にもなります。=診断兼治療になりますので重宝しています。

2、急に起こる動かなくなるほどの首の痛み
 感染後の一時的なアレルギー反応、と勝手に考えています。
 風邪の後などに起こります。原因がわからないこともあります。痛みはかなり強いのですが、痛み止め(主に飲み薬)がよく効いて、比較的早く治ります。

3、ウイルスが神経に着く?
 水疱瘡(みずぼうそう)の原因ウイルスが、神経に潜んでいて、免疫力の低下など、体力が落ちた時に症状が出るのが、帯状疱疹(たいじょうほうしん)です。強い神経痛がでて、3日後ぐらいから、神経の走行部位に、水ぶくれのような湿疹がでます。部位は、神経のあるところはどこでも です。水疱瘡のウイルス以外が神経に着いても、同じような痛みが出ると考えます。この場合は、湿疹が出ませんので、原因がわからない という結論になります。
 首では、肩甲骨周辺に痛みを訴えます。激痛になることもあります。レントゲン、MRI、血液検査で異常が出ません。肩を外側に回す力が落ちると確定と考えます。(筋力は変わらない場合も多いと考えています。)
帯状疱疹にも使う抗ウイルス剤が効果があるはずですが、確定が出来ないので、患者さんによく説明し、納得された上での使用になります。痛み止めを使用しているうちに、時間とともに、痛みが軽減します。時間がたたないと改善しませんので、神経ブロック治療は改善を早める効果程度になります。=一回でぱっと痛みが取れません。
| 上半身の痛み | 16:29 | - | - | - | - |
上半身の痛みでわかってきたこと
137、首周囲の痛み5

 いままで、治療の話をしないで、診断の話をしてきましたが、さらに今回も、診断に関する話です。
 前回の話を含めて、別の角度から話します。

 図は、脊椎の中を通る神経の模式図です。脳からつながる脊髄は、第1,2腰椎の間で終わります。脊髄の中には、脳からつながる、赤色で表している神経が走っていて、頚椎から腰椎、まで、それぞれの脊椎の間から左右、外に出てゆきます。頚椎8、胸椎12、腰椎5個、仙椎5箇所から出ていますので、その倍の神経の数があります。
 脊髄が終わる第2腰椎より下は、脊髄より出ている神経が束になって走ります。これを馬尾神経(ばびしんけい)と呼びます。この神経も、各腰椎から左右に脊椎の外に出てゆきますので、下のほうに行くに従って神経の束の数は減ってゆきます。最後まで下方に走る神経は、膀胱直腸に行きます。
 これらの神経は、一番下まで走る神経を含めてすべて脳から脊髄の中を走って、つながっています。頚椎から脊椎の外に出てゆく神経が、上肢に行きます。腰椎から脊椎の外に出てゆく神経が、下肢に行きます。
そのため、
 ,両貊蝓雰枋如で脊髄が傷害を受ける(外傷や持続的な圧迫で)と、症状は、そのすぐ下から脊椎の外に出る神経が支配する両方の上肢と、そのまま下に行く、両方の下肢や、膀胱直腸に行く神経すべてが傷害を受けます。((損傷を受けた頚椎の部分により、上肢の機能の一部は残ります。肩周囲の筋肉が、上部の頚椎から出ていますので、やや下部の頚椎の損傷ですと、肩や、肘の機能から残りますが、指先の機能は傷害されます。感覚も、上肢の一部に残りますが、胸部以下はわからなくなります。))
 △両貊蝓紛残如で、脊髄が傷害を受けると、上肢に行く神経は、すでにありませんので、上肢は障害をまのがれ、両下肢と、膀胱直腸へ行く神経が傷害を受けます。((腹筋まで麻痺しますので、股関節の上から動かず、感覚もなくなります。))
 2,5の場所(腰椎上部)で、脊髄が傷害を受けると、△汎瑛諭⇔床嫉茲函∝胱直腸へ行く神経が傷害を受けます。ほぼ第1腰椎の損傷のみで生じますから、頻度は少なくなると考えてください。
 の場所(腰椎の中央部から下)は、脊髄はありませんが、馬尾神経の傷害になり、△汎韻犬茲Δ法⇔床嫉茲函∝胱直腸に行く神経が傷害を受けます。この部分の神経の損傷を急激にきたす大きな外傷の頻度は少ないと、考えてください。脊柱管狭窄症で徐々に起こる障害は、両下肢のしびれ、歩くと下肢が痛くなる、安静にしていても下肢が痛くなる、歩くと、膀胱や直腸の機能障害も出る。の順に進行します。((歩く=動くことで、圧迫されている神経の周りの血流が悪くなり、障害が出ると考えます。下肢に行く坐骨神経の通り道に症状が出ますので、大腿の後ろから症状が出ます。))
 い両貊は、頚椎の、片側の上肢に行く神経だけが傷害を受けます。その上肢の一部分だけに症状が出ます。脊髄自体は傷害を受けません。
 イ両貊は、腰椎の片側の下肢に行く神経だけが傷害を受けます。その下肢の一部分だけに症状が出ます。
今回はぁきイ両貊蠅僚害による症状の話をします。

脊髄以外の神経の圧迫の話

 頚椎の中を通る脊髄部分(=頚髄)から出る神経は、脊髄から直接前方、外側へ出ます。何回かお話しましたように、手の先のほうへ行きます。一方、腰椎では、すでに脊髄は終わっています。脊髄から出た神経は、馬のシッポのように束になって、(=馬尾神経(ばびしんけい))脊柱管の中を通ります。それらの神経は、椎間板のレベルで、順次、左右一本ずつ前方、外側に出て行きます。こちらは、足の先のほうに行きます。最後まで脊柱管の中に残る神経が、膀胱や、直腸に行きます。

 椎間板ヘルニアや、骨棘などの変形が、それらの神経の出口の椎間孔(ついかんこう)へ出っ張ると、神経が圧迫されます。その部分の神経を神経根(しんけいこん)と呼びます。椎間板ヘルニアで、神経根が圧迫される時は、椎間板ヘルニア(頚椎、腰椎)と呼ばれます。骨の変形により、神経根が圧迫される時は、首では、脊髄が圧迫されていることと対比して、頚椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう)と呼ばれます。腰でも、腰椎症性神経根症となるはずですが、この場合、腰部脊柱管狭窄症の一部と考えることが多いです。片側の脚にしか症状が出ませんが、歩くと脚が痛くなって、休むと痛みが治まり、また歩けるという典型的な症状や、進行すると、座っていても、安静時でも痛みが持続します。腰椎椎間板ヘルニアでも圧迫され方が同じなら、同様の症状が出ます。

 神経根が圧迫されて出る症状は、腕、手、脚、足(=上肢、下肢)の痛み、しびれ、感覚障害(触った感じ、つねった感じが鈍くなる)に加えて、神経は、上肢、下肢の筋肉に行っていますので、それぞれの部位の脱力、力が入りにくくなる症状が出ます。

 同じ上肢でも、痛み、痺れ、感覚障害は、それぞれの椎間から出てくる神経により、部位が変わります。((例、第4,5頚椎から出てくる神経と、第5,6頚椎から出てくる神経の感覚や、筋肉の支配領域が違います。))上腕(二の腕)の外側だけであったり、手だけであったり、前腕の外側から手にかけてであったり、などです。筋肉の脱力も、肘を曲げる力であったり、伸ばす力であったり、握力であったり、異なります。逆に、腕から手まで全部に症状が出ている時は、首の中の神経根の圧迫障害でない可能性が高くなります。

 症状がどのように出るかも、いくつかのパターンがあります。
 一般的には、まず痛みが出ます。同時に痺れが出ることもあります。痺れだけが、最初から出る方もいます。痛みがなくなった後、痺れだけが残ることもあります。痺れだけが残ると、なかなかその痺れが取れない方が多いです。痛み、しびれは、強い時、弱い時はあっても、比較的持続的に感じます。軽いと、首をそらした時だけ出る、腰をそらした時だけでる、座っていると下肢に出る、など、パターンが決まっています。急に痛みが出てすぐ治る、痛い日と痛くない日がある、このような症状の時は、今まで話した脊椎の中の神経の圧迫の障害ではない可能性が高くなります。
 神経の圧迫が強いと、あるいは持続すると、感覚障害が出てきます。触った感じが鈍くなる。つねっても痛くない、などの症状です。さらに進行すると、筋肉が麻痺して力が入りにくくなります。
 頻度は低くなりますが、痛みもしびれもなく、感覚障害もなく、筋肉の脱力だけの症状が出ることがあります。また、痛み、痺れ、筋力の低下もなく、感覚障害のみ出ることもあります。

 実際、首では、,農埒颪圧迫される症状が出る方より、い良位で痛みが出る方が多いのです。首が悪くても、片側の上肢に痛みやしびれが出ます。第5、6頚椎で圧迫される頻度が最も多く、第6,7頚椎や、第4,5頚椎がそれに続きます。椎間板ヘルニアや、椎体の変形(椎間板の高さが狭くなる、椎間板に接する椎体の角の骨が尖ってくる)も、第5,6頚椎の間が、最も多いということです。それに対して、レントゲン上、椎間関節の変形(関節の隙間が狭くなる、関節に接する骨が尖ってくる)は、第6,7頚椎や、第7頚椎、第1胸椎の間に見られることが多くなります。頻度もヘルニアなる方より多く見られます。この下の方の頚椎の椎間関節の変形は、首の痛みや、肩こりの原因にはよくなりますが、上肢まで痛みが出る頻度は少なくなります。=上肢が痛くなる方より、首自体痛くなる方がより多いのです。
 これらの変化は、何箇所も同時に見られる方もいます。例えば、頚椎椎間板のヘルニアが、第5,6椎間、第4,5椎間2箇所にある方、さらに第6,7椎間にもあって、3箇所ある方、第5,6椎間板ヘルニアがあって、第6,7椎間関節に変形がある方など、いろいろな組みあわせがあります。が、痛みの原因となるメインの部位は、一箇所のことが多いです。また、同じ椎間(例えば、第5,6椎間)で、左右同時にい硫媾蠅念鞠と言うことは、ほとんどありません。どちらか片方です。違う椎間(例えば、第4,5椎間と第5,6椎間)では、左、右と違う方向に圧迫があることもあります。
 腰では、イ良分で、腰椎椎間板ヘルニアや、椎間関節の変形による肥厚、黄靭帯の肥厚により、片側の下肢に行く神経だけが圧迫される場合 と同じ位?の頻度で、の部分で脊柱管が狭くなる脊柱管狭窄症が、高齢の方に見られる印象です。場所は、.イ匹舛蕕両豺腓癲第4,5腰椎間が最も多く、第5腰椎、仙椎1番、第3,4腰椎間が次いで頻度が多くなります。脊柱管狭窄症では、これら、2箇所、3箇所同時に起こる方も少なくありません。腰部脊柱管狭窄症では、同じ椎間で、例えば、第4,5腰椎間で、左右同時に圧迫されます。一方、椎間板ヘルニアでは、首の場合と同じで、同じ椎間では、左右のどちらか片方です。違う椎間では、左、右と異なる側が、圧迫されていることもあります。症状は、両下肢に出るとは限らず、片方だけ出る場合も多いです。ただし、両下肢ともに症状が出るとも限りません。左右どちらか一方に症状が出ることもあります。

腰と首がほぼ同時に症状が出る方もいます。

 ぁきテ瓜に障害が出ているということです。,両祿欧任垢函∪埒颪魄鞠されますので、下肢にも症状が出ますが、実は頚髄の障害で下肢にまで症状が出る方の頻度は少ないのです。上肢と、下肢がしびれる方のほとんどが、首から、腰からと、それぞれに原因があります。今までの話では、首、腰、別の部位ですので、左右が一致しない場合も多いはずなのですが、なぜか、同じ側に症状を訴える方が多いです。

 こんなにいろいろな変化や、症状が出るのなら、皆痛みで苦しみそうですが、実際はそうではありません。
 今まで述べてきた、椎間板ヘルニアが、第4,5頚椎では左に、第5,6頚椎では右に出ている というような話は、レントゲンではわかりません。MRI検査(核磁気共鳴装置でレントゲンではありません)のフィルムを見てのお話です。
 悪いところが何箇所かあっても、それに見合うすべての症状は出ません。上の場合、右の上肢だけに症状が出ている時もあります。数箇所、悪いところがあっても、最も悪い所見があるところ一箇所が、痛みの原因のメインになっていることが通常です。腰の場合も同様です。腰部脊柱管狭窄症で、左右同時に神経根が圧迫されている所見があっても、両下肢に症状が出るとも限りません。右下肢だけであったり、あるいは、左右に症状があっても、左の下肢の方が強く出る などです。
 それどころか、まったく症状が出ない場合もあります。上の首の例では、検査上は、椎間板ヘルニアがあっても、痛みも何も感じない ということです。悪くなっている箇所から痛みが出ている とは限らないのです。これも腰の場合も同様です。MRI検査を行ってもこのようなことがあります。ましてや、上肢、下肢に症状が診られない椎間板ヘルニアでは、痛みの原因部位を、診察所見と、レントゲン所見だけでは確定できない場合も多いのです。
| 上半身の痛み | 22:21 | - | - | - | - |
上半身の痛みでわかってきたこと
136、首の周囲の痛み4

脊椎の中を走る神経の話

 脊椎は、背骨のことで、頭を支え、身体を支える骨です。
 脊髄(せきずい)は、神経のことで、脳からつながっています。脊椎の骨の中を通っていますが、腰の下の部分まではなく、第1腰椎と、第2腰椎ぐらいの高さ(腰椎は5番目まであり、その下は仙骨で、骨盤とつながっています。)で終わっています。丁度、背中のやや下、腰の上部のところで終わります。それより下は、脚や、膀胱、直腸に行く神経が馬の尾っぽのように束になって通っていて、馬尾神経(ばびしんけい)と呼ばれます。これらの脊椎の中の神経の通り道が、前回も話に出ている、首から腰まですべてに共通する脊柱管(せきちゅうかん)です。脊髄や馬尾神経は、くも膜、硬膜(こうまく)で包まれていて、その中に脳脊髄液があり、この液に浸っている状態です。通常、くも膜と硬膜はくっついてひとつの膜になっていると考えてください。

脊髄が腰の上部に終わっている。 このことを元に話を進めます。

1、麻酔の話

 膝から下の足の部分の手術には、よく腰椎麻酔(ようついますい)=下半身麻酔、硬膜外麻酔(こうまくがいますい)が使用されます。ともに、背中に針を刺して、麻酔薬を入れます。上半身は麻酔がかからないので、意識があります。
 薬を入れる場所が、くも膜内の脳脊髄液に入れるのが、腰椎麻酔です。薬の量は少なく(麻酔薬の中毒になりにくい)て済み、入れてから、比較的に早い時間で麻酔がかかります。運動神経まで麻痺して、下肢が動かなくなります。薬の効果が切れる時間が、麻酔が切れるまでの時間になります。長く作用する薬を使っても。持って3時間ぐらいです。
 薬を入れる場所が、くも膜、硬膜の外で、黄靭帯の間に入れるのが、硬膜外麻酔です。手術できるほどに痛みを取るには、薬の量が多くなります。しかも、薬を入れてから、効きだすには、腰椎麻酔より、時間がかかります。痛みを中心とした感覚だけを麻酔して、運動神経はあまり麻痺しません。そのため、関節を広げる必要のある膝の手術の時などには、力が抜けないので不向きです。一方、利点もいろいろあります。針を刺したときに、まず、大量に麻酔薬を入れた後、さらに、その孔からチューブを入れて硬膜外に留めて置くことが出来るため、薬が切れた後も、そのチューブから薬を足して、麻酔をかけ続けることが出来ます。=長時間(薬を入れ続けている間中)麻酔がかけられます。手術後もそのチューブを残して、麻酔薬を入れれば、術後の痛みも抑える上、手術部位に出来る血栓症(肺に血栓が飛ぶと命にかかわります。)、むくみなどの合併症を防ぎます。
 針を刺したとき、入れる薬の量を少なくして、腰椎椎間板ヘルニアや、腰部脊柱管狭窄症などの時、腰から下肢の痛みをとる治療目的に行うのが、硬膜外ブロックです。手技と使う針などの用具も、まったく硬膜外麻酔と同じです。チューブを入れておくことも出来るので、麻酔薬を入れ続け、痛みを取り続けることが出来ます。

 腰椎麻酔あるいは、下半身麻酔と呼ばれる腰に針を刺して薬を入れる麻酔は、馬尾の神経の部分に行います。くも膜の中に針を刺し、脳脊髄液の中に薬を入れるため、脊髄に針を刺さなくてすむ位置に行います。上の方に針を刺すと、脊髄に刺さってしまうので、出来ないのです。
 一方、硬膜外麻酔、硬膜外ブロックは、硬膜の外に薬を入れます。脳脊髄液の外、脊髄の外側に薬を入れますので、胸椎、頚椎まで行うことが出来ます。ただ、脊髄があるレベルですと、硬膜を突き破って、中の脊髄に刺してしまう恐れがあるため、施行する(施行できる)先生は急に少なくなります。実際は、施行中は、少しずつ針先を進めますから、脊髄まで刺すことはほとんどありません。その手前に脳脊髄液がありますから、針穴から先にこの液の逆流があり、硬膜の中=くも膜の中に、針が入ったことがわかるからです。むしろ、脊髄に針が刺さることを恐れるあまり、硬膜外に達する前に、入った と判断して薬を入れてしまう場合が多いと考えます。これでは、麻酔はかかりません。

マニアックな話1

 入ったと判断してしまう理由を述べて、さらに話を進めます。
 これらの背中に針を刺して行う麻酔は、まず、背中の棘突起(きょくとっき)の間を通します。棘突起の間は、棘間靭帯(きょくかんじんたい)という硬い靭帯様の組織があり、これを針で突き破ってさらに奥に進めてゆきます。そして、前回話に出た、後方の椎弓間から入れます。その部分には、黄靭帯(おうじんたい)があり、この膜?の内側の、硬膜との間が、硬膜外です。この部分に針が刺さると、圧が急に弱まります。空気を入れた注射器をつけておくと、空気が急に楽に入ります。それまでは、隙間がありませんので、空気を押し込もうとしても、押し込めないので明らかに区別がつきます。ところが、頚椎部分は、さにあらずです。棘間靭帯(きょくかんじんたい)を破って、先に針を進めたところで、一度圧が弱まって、空気が楽に入るようになります。これを硬膜外に入ったと勘違いして薬を入れると、麻酔はかかりません。この現象は、頚椎〜構造の似ている上部胸椎に特徴的で、腰椎〜下部胸椎では、起こりません。

 前回話した、脊椎の変形が強いと、椎間関節が大きく出て、椎弓間が狭くなっています。ひどくなると、隙間がほぼなくなります。針を、椎弓の間から、深部に入れることが出来なくなります。つまり、これらの麻酔は、入らないことになります。また、椎弓間に入ったとしても、黄靭帯が厚くなって、この膜?を突き破ることが出来ないこともあります。突き破って、硬膜外に達するのですから、こちらも硬膜外に麻酔剤を入れることが出来ません。加えて、くも膜内が狭くなっていると、そこにも、針が達せず、脳脊髄液の逆流も見られません。腰椎麻酔も入らなくなります。  脊椎の変形が強すぎると腰椎麻酔、硬膜外麻酔、硬膜外ブロックは出来ないことがある ということです。

話はそれて、マニアックな話2

 くも膜内の脳脊髄液は、脳までつながっています。麻酔薬の量が多すぎて、腰椎麻酔が、かかりすぎると、麻酔が、上半身の方までかかってしまいます。運動神経まで麻痺しますので、上肢も動かなくなり、さらに上までかかると、呼吸も止まってしまいます。(その前に呼吸が苦しくなりますので患者さんの反応を見てればわかります。)渡辺淳一の自叙伝的な本の中に、腰の手術を、腰椎麻酔で行った時、この現象が起きて、あわてて処置した話が載っています。麻酔のききが弱くなるとすぐ回復しますので、その間、呼吸をサポートすれば、(ひどいと気道に管を入れて呼吸管理しますが、通常は、酸素投与ぐらいのサポートで)すみます。それに、麻酔の量が多くならないよう注意すればすむことです。
 一方、硬膜外麻酔では、恐ろしいことがまれに起こります。一度に入れる麻酔の量は、腰椎麻酔の10倍ぐらいなため(=薬の量が少ない硬膜外ブロックでは経験しておりません)か、麻酔して、しばらくすると、心臓の拍動が止まってしまう方がいます。麻酔薬とは、細胞間の電気的伝わり(伝導)を遮断しますので、心臓には、脈を遅くする作用があり、脈が速くなる発作の時にも使います。ので、心臓は止まる方向に働いてしまいます。何を行っても反応しないため、この現象でお亡くなりになった方を2人経験しております。

2、はっきりした脊髄損傷は、頚椎、胸椎のレベル

 脊髄損傷といっても、軽いものから、一般的に知られている、はっきりした損傷まで程度はいろいろです。まず、はっきりとした麻痺になる損傷を話します。
 脊髄は腰椎上部で終わっていますので、脊髄損傷は、頚椎、胸椎の脱臼、骨折などのひどい損傷で起こります。脊柱管がもともと狭い方は、骨折や脱臼がない、軽い損傷でも起こります。腰椎損傷による脊髄損傷は、膀胱や直腸の機能麻痺が中心です。(脊髄の一番下からは、膀胱や直腸に神経が行きます。)下肢まで麻痺することは、ほぼありません。
 頚椎の中を通っている部分の脊髄は、頚髄と呼ばれます。頚髄からは、腕に行く神経が出ていますので、頚椎損傷=頚髄損傷=腕に行く神経が損傷して麻痺して、多少なりとも腕に麻痺が生じます。また、脊髄の中には、脚に行く神経、膀胱や、直腸に行く神経も通っていて、脚も麻痺して、腕から脚まですべて麻痺します。胸椎部分の損傷では、腕の動きが残ります。下半身≒脚だけが麻痺します。車椅子を自分で操作できる方、車椅子に乗ってスポーツをしている選手は、この部分の損傷、あるいは、この部分から下の麻痺に当たります。

脊髄の損傷や、麻痺が軽いとどのような症状か

 頚椎レベルの損傷ですと、麻痺は、指だけにとどまります。指が細かく動かない、指先が不器用になる、しびれる このような症状だけです。この状態で、そのまま様子だけ診て、放置されている?方を以前、数人診ております。この状態は、整形外科医でも見落とすことがあり、整形外科医以外の先生では、知られていないようです。首をひねってこのような状態になっているときは、脊髄損傷の可能性があり、要注意です。

脊髄の損傷ではない圧迫障害の話

 今度は、明らかな外傷で脊椎を損傷していないにもかかわらず、脊髄に障害が出る話です。
 このような状態になる方は、度々話に出ている神経の通り道である脊柱管が狭い方です。狭い方は、軽い外傷でも脊髄損傷になりやすいと同時に、明らかな外傷ではない繰り返しの負担でも、脊髄の障害がでます。
脊柱管が狭いことを、脊柱管狭窄症と呼び、腰の部分では、腰部脊柱管狭窄症という病名がつきます。この病名、医学関係の読み物、記事によく出てきます。首の部分では、頚部脊柱管狭窄症となるはずですが、こちらの病名はほとんど聞かれません。なぜでしょうか?次はそのことに関連する話です。

脊柱管が狭くなる原因

 前回からの解剖の話に基づきます。
 脊柱管が狭くなる原因として、椎間板が年齢とともに傷んできて(=変性)椎体の後ろに骨棘(骨のとげのような出っ張り)が出てきた時、椎間関節の軟骨が磨り減って骨棘が出てきた時、後方の隙間を埋めている黄靭帯が肥厚してきた時、などです。
 これらの変形は、それぞれの椎間板とほとんど同じ高位(場所が同じです)に生じます。椎間板自体がヘルニアになって同じように椎体の後方に大きく出っ張ると、同じように脊柱管が狭くなります。
 生まれつき、もともと通り道が狭い方(=狭い形の方がいます)がいます。そのような方が、ひどい外傷に合うと、脊髄損傷になりやすくなります。し、このような変形や、ヘルニアが起こると、さらに、脊柱管が狭くなり、症状は出やすくなります。
 このような状態のうち、腰で起こる腰部脊柱管狭窄症は、歩く時のみ、下肢が痛くなって歩けなくなり、立ち止まって休むと痛みが取れてまた歩けるようになる。という特徴的な症状が出ます。通常は両側の下肢に症状が出ます。痛みが出て、立ち止まる時間は、様々で、ひどいと、10m以内、軽いと1kmぐらいなどです。立ち止まった時、しゃがみこむとさらに楽だ、日によって歩ける時とそうでないときがかなり違う、などの症状も出ます。下肢が痛くなっても、歩き続けられるが、腰が前かがみになる。歩くより、自転車で動く方が楽だ、カートを押しながら歩くと楽だ、などもこの病気の軽い症状です。かなり高齢になると、かかる方が多い上、原因は、先に述べた変形がほとんどですので、この病名として一般に定着しています。
 一方、首では、脊柱管狭窄症になる原因は様々で、頻度も少なく、かかる年齢も、若干若い方、中年以降になってきます。症状は、脊髄損傷のように急に来ません。徐々に進行します。特徴的な症状の出現する順番を述べます。まず、両手、両指がしびれる。次に指先が不器用になる。ボタンがうまくかけられない、箸がうまく使えない、などの症状が出ます。さらに進むと、階段で脚がうまく送れなくなり、突っかかる。=歩行障害です。さらにさらに進むと、膀胱直腸障害といって、残尿、便秘、尿がうまく出なくなる となります。
 加齢による変形によって、狭くなるときは、頚椎症性脊髄(頚髄)症(けいついしょうせいせきずい(けいずい)しょう)と呼ばれます。椎間板ヘルニアが中央部に大きく出ても生じます。こちらは、病名は通常、頚椎椎間板ヘルニアです。前々回述べた後縦靭帯(こうじゅうじんたい)が骨になって(骨化=こっか)して硬く厚くなって脊柱管が狭くなる病気もあります。こちらは、後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)と呼ばれます。中年以降の男性にしばしば見られますが、進行して、脊髄の圧迫症状まで出る方は非常に少なくなります。脊柱管の後方をふさぐ黄靭帯(おうじんたい)にも骨化して、硬く厚くなる病気がありますが、こちらは首ではなく、胸椎にまれに見られます。
 このように、首では、頚椎の脊柱狭窄症というひとつの病名ではなく、それぞれの原因によって、病名が分かれます。腰の椎間板ヘルニアでも歩くと下肢が痛くなって立ち止まるという、脊柱管狭窄症と同じ症状が出ることがありますが、多くは、片側の下肢のみで、両側に来ることは少なくなります。腰では、脊柱管狭窄症になる方が多い上、特徴的な症状が出るため、腰部脊柱管狭窄症がひとつの病名として、確立していると考えています。

病名に関連してさらに話をします(また話は脱線します)。

 上半身から離れて、腰の病名の話です。
 ぎっくり腰 と一般に言われる病気です。この言葉はよく言われますし、よく聞かれますし、病名と考えている方が非常に多いのですが、正式には 急性腰痛症 です。急に腰痛が出た時、前にかがんだり、物を持ったりして明らかに原因があるときも、原因が不明瞭な時も、使います。ぎっくり腰という病名も好きな人が多く、問診表(最初の診察のときに、原因、状態、過去の病気、飲んでいる薬などを知るための質問表のようなもの)に、ぎっくり腰になった 過去にぎっくり腰をした とかかれる方がいます。
 急性腰痛症という病名は、急に出た腰痛にすべて共通の呼び名です。一方、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症という病名は、腰痛などの原因まで表す病名です。急に出た腰椎椎間板ヘルニアは、ヘルニアがあると診断されなければ、急性腰痛症に含まれるということです。 前々回で述べたように、椎間板ヘルニアは、レントゲンでは写りませんので、最初の診察(初診)で、典型的な症状が出なければ、わからないこともあります。何度か来院されて診察しているうちに、椎間板ヘルニアの症状が表れる、MRI撮影をしたら、椎間板ヘルニアだったということもあります。急性腰痛症は原因がはっきりしない、痛みの出所がわからない場合に使う と考えられても結構です。

若い頃のまたエピソードを話します。
 まだ医学部生の6年の時です。実際に大学病院各科を回って勉強するポリクリと呼ばれる研修制度がありました。皮膚科を回ったときの話です。教授の診察に付いた(=教授の診察を見学した)時、診断名に、ほとんど同じ病名をつけるのです。当時は患者さんにわからないように、ドイツ語、あるいはラテン語で書きます(英語だとわかる方がいる)ので、勉強していない私には一瞬何と書かれているのかわかりませんでしたが、語学に強い友がいて、“急性湿疹“と訳してくれました。つまり、急に出現した湿疹という意味です。裏を返せば、なぜその湿疹が出ているのか原因を表す病名ではない=原因がわからない ということです。皮膚科の教授でも、アレルギーなのか、感染症(例えば とびひ など)なのか、湿疹がなぜあるのか診断が難しいということです。=つまり、湿疹などの皮膚病の診断も難しいのです。
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上半身の痛みでわかってきたこと
135、首周囲の痛み3

脊椎の加齢に伴う変化

 全体的(首、腰含めた脊椎全体)には、変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)という病名が、頚椎部分は、変形性頚椎症(へんけいせいけいついしょう)、頚部脊椎症(けいぶせきついしょう)、腰椎部分は、変形性腰椎症(ようついしょう)、腰部脊椎症(ようぶせきついしょう)などの病名がついた時は、前回述べた椎間板を含めた、脊椎の年とともにくる変化を表します。

 今回は、脊椎の方が、実際にどのように変化するかを述べます。
この変化はレントゲンでわかります。

 年を取ってくると、悪くなった椎間板の機能を補おうとして、椎間板の上下の椎体の端の部分の骨が尖ってきます。前回述べた、椎間板が動かなくなる、高さが狭くなる に加えて生じます。これを、骨棘(こつきょく)(=ほねのとげの意味)といいます。椎間関節も、関節の軟骨が磨り減って、間が狭くなり、上下の骨が機能を補おうとして、骨が尖ってきます。椎間関節の骨が尖ってきたり、椎体の後側方の骨が尖ってくると、椎間孔も狭くなります。後方の椎弓の間の隙間も狭くなります。その隙間を埋めている黄靭帯(おうじんたい)も厚みが増します。(=肥厚します。)この黄靭帯の肥厚と椎間関節の骨棘、さらに椎体の後方へ骨が尖ってきて、脊柱管が狭くなります。これらの椎間板の変性や、関節軟骨の磨り減り、骨棘の形成など を“変形”性○○と呼びます。  レントゲンでは、変形 といっても、骨がずれるわけではありません。上に述べた変化が、変形です。
 エピソードをひとつ。
 これから医療に従事する予定の准看護婦学校の生徒の試験で、答えのヒントを言いながら(ほぼ正解を言いながら)○×の試験問題をやってもらったところ、変形とは骨のずれである。に○をつけた生徒があまりに多いのに驚きました。授業中、“変形“を上のように説明しましたし、○×と答えを言わないまでも、正解がわかるように言ったつもり でも です。一般の方に、レントゲンを見ながらここが変形してます、というと、次の診察のときに、骨がずれてる といわれました、という方が多い事にもうなずけます。

 脊椎の前の部分の骨が尖ってきても、神経などありませんので、通常症状が出ませんが、問題は、後方や、後側方に尖ってきた時です。神経を刺激して、痛みや痺れなどの症状が出ることがあります。あるいは、症状が出やすくなります。ちょうど、椎間板ヘルニアで神経が刺激されることと同じ形になります。(具体的な症状は後日話す予定です。)ですが、無症状な方も多い、無症状である時期も長い、と考えています。初めて首が痛くなった、腰が痛くなった、と訴えてこられる方でも、これらの骨棘が見られることが多々あります。この変化は年齢的に徐々に進むのですから、痛みが出た時に急に起こったわけではありません。今までもあったわけですから、変形があっても、痛みがなければ、問題ないのです。

 その、痛みがない状態に戻れば、治った ということです。もちろん、レントゲンの所見は変わりません。これだけ変形しているからもう元のように治りませんよ、と、同じ整形外科の医者でも言う先生がいますが、これを患者さんが聞くと、もう治らないのだ とショックに思ってしまいます。確かに、変形した部分の形は変わりません。元の形にもどすことは、若返らせろ といっているようなもので、現代の医学では無理です。が、痛みが出なくなれば、治ったとしてよいのです。多くの方は、年齢的変化があっても、痛みもなく過ごせているのですから。

では 変形があっても痛みが出ない ということはどういうことでしょうか。

1、炎症が治まる。 
 痛みが出ている時は、その部分に炎症があり、痛みが出ていると考えます。もちろん、腫れて一目でわかるひどい炎症ではありません。レントゲンや血液検査ではわからない程度のものです。
2、変形が進行しない。変形したままでとどまっている状態を保つ。 
 椎間板変性が進行している時、軟骨が磨り減り続けている時は、痛みが持続します。レントゲンでも6ヶ月後ぐらいに撮り直すと変化がわかることがあります。椎間板では高さが減少しますし、膝などの大きな関節では、関節の隙間が狭くなります。軟骨がすでにない変形の強い関節では、関節に接している骨に変化が出ます。硬くなったり(レントゲンでは白くなる)骨が壊れてきます。
 1,2の状態に改善させることが治療です。そうすることで、痛みが出なくなります。どんなに変形が強くても、この状態になれば、痛みなく日常を過ごすことが出来ます。ただし、元が悪いわけですから、痛みがなくなったからといって、悪くない方と同じに使ってはだめです。また、痛みが出てくる可能性があります。大事に使う ことが大切です。

変形があっても痛みが出ない ことで、さらに話を進めると、

 脊椎の変形が、数箇所ある、あるいは、あらゆるところに生じている、脊椎全体が変形性・・ になっている方は、どこから痛みが出ているか わからないことも多い。
 椎間板は、それぞれの椎体の間にあります。=いくつもあります。レントゲンで前述したような椎間板が悪くなって、変形が起こっている箇所が、2箇所、3箇所、4箇所以上の方もいます。1箇所でも、そこから痛みが出ているとは限りません。(変形≠痛い です。)ましてや、何箇所もあると、いったいどこが痛みの原因となっているか わからないことも多いのが実情です。(変形の程度や、動きなどでわかることもあります。)


“ずれ”の話を再び

 私はレントゲンを見ながら、患者さんに悪くなっている部分や、原因と考えられる部分の説明をしますので、この“ずれています”という表現が嫌いです。この言葉は、医者でない、接骨医、整体師がよく使うようで、患者さんも“ずれている”といわれたという方が多いです。また、悪い部分や、原因となっている であろう部分を指摘すると、“そこがずれているのですね”と聞き返す方もいます。“ずれている”といわれたい方も多いのだと思います。私は、すかさず、“ずれてはいません”と返答します。
 ずれている とは、例えば、背中の真ん中に、皮膚の上から触れる棘突起の向きは、弱冠、左を向いたり、右を向いたりしていることがあります。それを皮膚の上から触れると、直線状に触れずに、左右にずれて触れます。皮膚の上からではずれていることになります。必ずしも、その部分が痛みの原因になっているとは、考えられません。ですから、皮膚の上から触って、ここがずれているからここが原因です。ここを矯正すれば、治ります。は根拠がありません。レントゲン正面像では、脊椎全体は、まっすぐなのです。
よく言われる ずれている は、レントゲンではわかりません。脊椎の場合は、椎間関節のレントゲンではわからないずれです。首を鳴らす整復手技は、この部分を鳴らして、矯正して痛みを治していると考えます。この矯正で、確かに痛みは楽になる方が多いのですが、椎間板ヘルニアになっている時は、悪化させる可能性も考えられますので、整形外科医は通常薦めません。
 一方、関節運動学的アプローチでは、この“ずれの矯正”を治療とする医学です。(=この治療を整形外科医が認めない理由のひとつです。)棘突起を動かすと、椎間関節が動きます。その椎間関節が痛みの原因になっていれば、その関節につながる棘突起動かすと、痛みが再現されて、原因部位の診断になります。と同時に、動かすことで治療にもなります。したがって、私はこの手技を多用しています。骨盤の左右にある仙腸関節(せんちょうかんせつ)も同様です。この手技を行うと、コクン といって(=手に伝わります。)楽になる方がいます。これも、レントゲンではわからない“ずれ”です。整形外科でも、レントゲンではわからない“ずれ”を病名として認めているのは、小児の肘内障(ちゅうないしょう)です。5歳ぐらいまでの児の腕を急に引っ張った時に起こります。腕をだらんと垂らして動かさなくなります。これは、レントゲンでは異常を認めません。ただし、整復手技があり、それを行うと、コクンと指に触れて戻るのがわかります。

では、レントゲンで見える“ずれ”とは
 脊椎では、すべり症 といわれます。横から見たレントゲンでは、椎体の後ろの部分はきれいにそろっていて、脊柱管を形成します。その部分に段差が認められます。特に、腰椎下部に多く、上の椎体が、下の椎体の対して、前にすべっている場合が多いです。椎体の後ろには、脊柱管の中を神経が通っていますので、段差で多少なりとも圧迫されて症状が出やすくなります。こちらも必ずしも症状が出るとは限りませんので、すべり症があっても、症状が出なければ大丈夫と考えてください。
 正面からレントゲンでも、まっすぐにきれいに並んでいる脊椎が正常です。左右にずれが見られる場合がありますが、こちらは、神経を圧迫するとは限りませんので、特に病名はついていません。
| 上半身の痛み | 08:23 | - | - | - | - |
上半身の痛みでわかってきたこと
134、首周囲の痛み2
 
第3頚椎より下の背骨の構造(=解剖)の話をします。首から、腰まで、それぞれの部位で形は少し違いますが、全体的にほぼ共通です。専門用語がいろいろ出てきて、わかりにくいと思いますが、できるだけわかりやすく話すつもりです。

脊椎(背骨)の話

 脊椎(せきつい)は骨のことです。一方、脊髄(せきずい)は脳からつながる神経のことで、違うものです。一言でいうと、脊椎の中を脊髄が通っている と覚えてください。脊髄や神経の話は、次回以降とします。

 脊椎は、首(頚椎けいつい)、肋骨が付いている背部(胸椎きょうつい)、腰部(腰椎ようつい)に別れます。頚椎7個、胸椎12個(肋骨も左右12本ずつあります。)腰椎5個、+その下に仙骨(せんこつ=仙椎せんつい)とあります。それぞれの脊椎の骨の間に、椎間板があります。仙骨の下にさらに尾骨が付いていますが、この間にはありません。椎間板は、脊椎をつなぐ軟骨のクッションです。脊椎は、この椎間板で動くようになっています。椎間板の位置は、脊椎では前の部分(椎体(ついたい)の間)になります。

 後ろの部分は、椎弓(ついきゅう)と呼ばれ、中央は、棘突起(きょくとっき)と呼ばれるでっぱりがあり、これが、からだの背面の中央に皮膚の上から手で触れる骨です。1個1個の脊椎は動くわけですから、後方の椎弓の間もつながっているわけではなく、隙間があります。図では黄色い神経が見えますが、実際には隙間は見えません。その隙間を埋めているものは、黄靭帯(おうじんたい)と呼ばれ、明るい黄色い色をしていて、膜と呼ぶよりは、厚みがありますが、動きに対応できるように、他の靭帯のように硬くありません。(手術で何度も見ています。)この隙間があることは重要です。この隙間から針を刺して薬を入れるのです。手術の時もこの靭帯を切除して、前方にある神経や椎間板に達します。椎弓の左右は、椎間関節(ついかんかんせつ)と呼ばれる関節でつながっています。さらに、上下の椎間関節に挟まれるように、その前方に、神経が脊椎の外に出る通り道があります。これを椎間孔(ついかんこう)といいます。この、椎弓と椎間関節、椎間孔の形に、頚椎、胸椎、腰椎、それぞれ一番違いがあります。

 脊椎の真ん中には、脊髄や、神経が通るように、上から(下からでも)見ると、リング状の管があります。脊柱管(せきちゅうかん)と呼びます。上から(=下から)見た断面は、前方部分が、椎体(ついたい)、椎間板になり、後ろの部分が椎弓(ついきゅう)棘突起(きょくとっき)椎間関節(ついかんかんせつ)になります。さらに、脊柱管の前の部分、=椎体、椎間板の後ろの部分は、後縦靭帯(こうじゅうじんたい)と呼ばれる比較的硬い靭帯で支えられています。
 前かがみになる、前屈すると、椎弓の間は広がり、椎間関節、椎間孔の間も広がり、脊柱管は広がります。後ろにそる、(後屈)すると、椎弓の間は縮まり、椎間関節も圧迫されて関節の間、+椎間孔が狭くなり、脊柱管は狭まります。この動きは実は重要で、首や、背中腰を反らす(後屈)と、症状が強くなる時は、この狭くなる という動きが関係しています。

 脊椎全体を正面から見ると、正常な方は、腰椎まで形はまっすぐです。曲がりがあるときは、側弯(そくわん)とよばれ、そのうち、若いとき(主に10代)に、脊椎にひねりが加わって(回旋といいます)曲がってくるものを、特発性側弯症(とくはつせいそくわんしょう)といいます。特発性とは、原因がわからない という意味です。
 横から見ると、頚椎部分は、前の方に緩やかな凸カーブになります。これを前弯(ぜんわん)といいます。胸椎(肋骨が付いている背椎)は後ろに緩やかな凸カーブになります。これを後弯(こうわん)といいます。その下の腰椎の部分はまた、前弯(ぜんわん)となり、丁度、エスの字カーブを延長したような形を取ります。人が直立して頭を支えるためには、このカーブが重要で、バランスを取り、力を分散しているのです。このカーブが少なくなると、余計に脊椎を支える筋肉に力がかかり、痛みやコリの原因になります。背中(=胸椎部)の後弯(こうわん)がつよくなると、いわゆる背中が丸くなる状態で、ひどくなると、円背(えんぱい)さらには亀背(きはい)と呼ばれます。年を取って、骨が弱くなると、この背中の丸みが強くなります。数多くある椎体が次々つぶれる(前の部分が特につぶれますので)と、さらに背中は丸くなり、亀背(きはい)と呼ばれる状態になります。これが、腰のかなり曲がったおばあさんの状態です。男の方は骨が弱くなりにくいので、少ないです。

椎間板の加齢に伴う変化

 今回は、椎間板の話をします。
 加齢といっても、椎間板の変化を起こしやすい方は、10代より変化が生じます。今、原因となる遺伝子研究が行われていて、親が椎間板が悪い方は、その子供も椎間板が悪くなりやすい という傾向?事実?も、そのうち証明されるでしょう。

 椎間板は、脊椎の前方部分の椎体の間にあり、第2、第3頚椎から、下は、第5腰椎と仙椎の間まであります。その内部の構造は、中央部が髄核(ずいかく)と呼ばれる、水っぽい柔軟な組織と、周りの繊維輪(せんいりん)と呼ばれる比較的硬い組織の、2重構造をしています。(図F)この構造が、ほどよい柔軟性、クッション性と、体重を支える支持性を出しています。
 年とともに、髄核の水っぽさは徐々に失われます。また、中央部分に集まっていた髄核が、繊維輪の亀裂、弱くなってきた部分に広がるようになり、椎間板のクッションの役割が悪くなります。このような変化を、椎間板変性(へんせい)と呼びます。(図G)この変化は、若いうちから起こるか、どの椎間板に起こるがなど、違いはありますが、多少なりとも、どの方にも必ず起こります。ただし、この変化で、必ずしも痛みが出るとは限りません。椎間板が悪くなっている ≠ 痛みが出る。 ということです。 
 この髄核が繊維輪の亀裂から椎間板の外へ飛び出した状態がヘルニア(=椎間板ヘルニア)です。(図H)特に脊柱管や、椎間孔の方向(=後方、後側方)へ飛び出すと、神経を圧迫し、症状が出ます。髄核が飛び出すには、ある程度の弾力が必要で、年を取りすぎて、水気を失いすぎる前の状態 でないと生じません。つまり、椎間板ヘルニアになるのは比較的若い方 となります。また、椎間板は、頚椎から、腰椎まで、すべてにありますから、どの部分にも、ヘルニアが起こりうる のですが、起こる場所はほぼ決まっています。腰椎の下部(腰椎椎間板ヘルニアと呼びます。)が最も多く、次いで、頚椎の中央部(こちらは頚椎椎間板ヘルニアと呼びます。)です。胸椎部など、他の部位はヘルニアになる確率はぐっと低くなります。
 レントゲンでは、椎間板は写りませんので、髄核や繊維輪が、どのようになっているかはわかりません。(図A)この中身の状態がわかる検査は、MRIです。(図Fのように側面像も断面も見れます。)単純(普通に撮影する)CTではわかりません。(MRIが普及する以前の椎間板の状態を診断する方法は、椎間板造影といって、椎間板の髄核部に造影剤を入れて、その形を見る検査(側面像が見れます。)+造影剤をいれた状態でのCT撮影(断面が見れます。) だけでした。)したがって、レントゲンだけでは、図Hのようなヘルニアがあるかないかはうつりません。確定診断はできないのです。
 ただし、レントゲンでも次のような変化はわかります。
 椎間板は、その強度(支持性)が弱くなると、前屈(まえかがみになる)、後屈(うしろにそる)したときに、動きが大きくなります。特に前屈(まえかがみになる)すると、前の部分が通常より狭まります。(図C,D)この現象は、椎間板が変性する前の比較的若い方のみ、見られます。
変性が進んでくると、その高さが狭まります。(図E)クッション性が失われると、動きがなくなります。こちらは、後屈(うしろにそらす)すると、正常では、前の部分の方が広がります(図B)が、これが広がらなくなってきます。(図E)この現象も、比較的若いうちから見られますが、椎間板が悪くなった方は、年を取ってもこの状態です。
 これらの動きが正常より大きくなったり、悪くなった状態や、高さが減少した状態は、レントゲンでわかりますので、椎間板の中身が見えなくても、悪くなっていると推察できます。そこで、診察で椎間板ヘルニアの症状があり、レントゲンでこのような変化がある椎間板があれば、そこにヘルニアがあるでしょう と、推察できるのです。
| 上半身の痛み | 13:04 | - | - | - | - |
上半身の痛みでわかってきたこと
133、首周囲の痛み1

 首の構造を、理解していただきながら、話すことがわかりやすいと考えましたので、今回からは、その形で話を進めてゆきます。


 首には特徴的な骨があります。第1頚椎は、環椎と呼ばれ、平べったいリング状の形をしております。第2頚椎は、軸椎と呼ばれ、リング状の骨の前の部分に突起物が上方に向かって付いています。丁度、輪投げで、軸になる棒にリングがかかるように、その突起物に、第1頚椎が、かかるように付いている構造です。(図1−1)第2頚椎のその突起物は、火葬場で、お骨を拾う時に、位牌の形をしているので?探して、拝む、あの骨です。
 図1

環軸椎の話

 このリングの中に、脊髄が通っています。この通り道は、脊柱管と呼ばれ、腰下まで続いています。この二つの骨は、図にはありませんが比較的強い靭帯で結合しており、自由には動きません。主に、首の回旋(左右に回す運動)と、前後屈(顔を下や上に向ける運動)の動きにかかわります。
 この部分を通る脊髄は、脳幹部の下部に当たるため、この部分に急激な強い力がかかって、靭帯が切れたり、骨折して、ずれたり(脱臼)すると、非常に危険です。脳幹部には、呼吸や、心臓を動かす中枢があるからです。この脳幹部が突然、障害を受けると、呼吸や、心臓が止まり、命がありません。ヘルメットをかぶった状態で、急激な力を受けると、この部分が脱臼します。以前、有名なレーサーのアイルトン・セナが、レース中壁に激突する事故を起こして、亡くなりました。ニュースをテレビで見たのですが、座席から引き出されたときには、目立った外傷がないにもかかわからず、ぐったりしていたと記憶しています。おそらく、激突の衝撃で、環軸椎の脱臼を起こしたのではないかと考えます。その場で呼吸が止まり、その場で即死していたのだと思います。このように、目立った外傷もなく、すでに呼吸が止まっている状態のとき、この環軸椎が脱臼している怪我ではないか、解剖して調べれば、わかるはずだ、 と以前、上の先生から話を聞いたことがあります。恐ろしい話です。
 図2
 
 若い頃は、環軸椎を止めている靭帯が比較的にゆるく、この部分がずれることがあります。やや回旋して、横方向にずれるため、環軸(椎)回旋位固定といいます。口を大きく開けて、レントゲン撮影すると、図1−2のように写り、わかります。正常ですと、左右対称に写ります。これらの骨は、口の奥=のどの上部の奥にあるのです。この場合は、少しずれる(左右非対称になります。図2左)だけですから、脊髄も神経もやられませんので安心です。が、痛みのため、首が曲がり、顔が斜めに曲がった状態になります。幼児から小中学生の首の痛みは、この形になりやすく、ほとんどの子が、この形で来院されます。首が斜めになる”斜頚”という病気があります。丁度これと同じ形になります。(図2右)
 教科書に載っている有名なものは、生後1〜2週間で、首の横を斜めに走る胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)と呼ばれる筋肉(振り返る時に、首の横に斜めに走って触れる筋肉です。)が硬く短くなり突っ張って生じるもの(=先天性斜頚)で、全く別物です。30年あるいはもっと以前は、マッサージを行ってひどくなった方がかなりいました。(私が医者になりたての頃は、マッサージを行ってはいけない と教わりました。)悪いことに、長い間(10年以上)斜頚状態が続くと、顔がゆがんでくるのです。傾いている方向に、口の端(口角)と目じりがよってくる顔になります。突っ張っている胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)を切る手術をして、かなり長い間ギブス固定をして、首の角度をもどすのですが、顔のゆがみは残ります。今の不人気な?総理大臣の顔がこれに近い形をしていますが、こちらは年を取るとともに形が変わったものだと考えます。(確か、若い頃の射撃をしている顔は整っていた記憶があります。)現在は、ひどくなる方は非常に少なくなっています。・・・が、エピソードをひとつ。
 医者になって2年目の時に、新生児検診を担当させられました。この胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)が硬くなっているかどうか必ず確認していましたが、硬くなりそうな、ややつっぱっている方が、以外に多いことに驚きました。股関節が硬くて開かない、先天性股関節脱臼の予備軍の児よりはるかに多いのです。はっきり硬くなるのは、生後2週間ぐらいですので、生まれたての新生児は、まだ明らかではありません。そこで、2週間後に必ず再受診させてみたところ、はっきり硬くなっている児がほとんどでした。 治療は、マッサージをせずに、そのまま経過観察です。1ヵ月後、2ヵ月後と診ているうちに、硬さがどんどん取れて、正常に戻り、長い児でも、半年過ぎには元に戻っていた記憶があります。1年近く、戻らずに、上の先生に相談したのは、1〜2例だけだったと記憶しています。つまり、ほとんど例が、そのまま放置して知らず知らずの間に治るのです。いまでも、自然に治らない方が少ないだけ で、その予備軍の方はかなりいるのではないか と考えています。

 したがって、先天的なものは少ない ので、斜頚は、子供の首の痛みで斜頚位を取る方がほとんどです。首が痛くなって、斜頚位を取る方は、大人でも診られます。20代、30代とどんどん少なくなりますが、一番高齢な方で、40代の方も診たことがあります。ただし、年が上になると、レントゲン撮影で、環軸椎がずれている方は少なくなります。
 原因は、ひねった時、振り向いた時、グキンといった、でんぐり返しの時グキンとした、などのちょっとした外傷や、風邪のあとに炎症が首に及んだ時、(リンパ節まで腫れていると、炎症性斜頚という病名が付きますが、リンパ節が腫れて触れる方も少ないです。)などですが、明らかな原因がないことも多いです。
 治療は安静が一番です。もちろん運動もいけません。痛み止めもよくききます。首を支える頚椎カラー(=ポリネック)をすると楽な時もありますが、この頚椎カラーは保険がききません。約5000円前後の自費になります。交通事故の頚椎捻挫で時々されている方は、負担金がありませんので着けているのです。その代わりとして、固定力は弱くなりますが、包帯を巻きつけて固定することもあります。治療を受けますと、お子さんの場合は、日ごとに楽になるのが通例です。斜頚位を取っている状態では、首がほとんど動きません。その斜頚位が改善すると同時に、首がどんどん動くようになります。改善が悪い時は、入院して、首を引っ張りながら安静治療を行います。1週間ぐらいで変わらない時は入院を薦めています。が、実際は、まれ です。改善しないと、入院して寝た状態で安静(ベット上安静)になると伝えますと、通常、安静にしてくれるようで、外来通院で、どんどんよくなります。もちろん、最初から入院してベット上安静にすると、1日2日ですぐによくなり、治りは非常に早いです。
 実は、開業してから、子供の首の痛みは、ほとんど斜頚位になることに気づきました。勤務医では、子供が首の痛みを訴えて来院すること自体が少ないのです。少なかったので、了解を取れれば、すべて入院させて、ベット上安静にしていました。そのため、早い方は、2日で退院、長い方でも1週間ほどで退院となっていた記憶があります。
 図3

環軸椎がゆるい方の話

 環軸椎は比較的強い靭帯で結合している(留まっている)ので、前後方向には、ほとんど動きません。首の前後屈(顔を下に向ける上に向ける動き)の時は、後方の椎弓部分が、上下に動きます。前後方向の動きが大きい時、ゆるいと表現します。(図3右上)原因は、生まれつき(先天的に)軸椎の突起物が分離していて、動いている場合(図3右下)や、慢性関節リウマチが進行して、靭帯がゆるくなっているとき などに見られます。特に、前方に大きく動くと、後方の椎弓部分で、脊髄が圧迫されますので、非常に危険です。おでこを激しくぶつけた時や、急に頭を前後方向に振られる事故に遭いますと、=急に動くと、脊髄損傷となり、前述したように、命がありません。徐々に圧迫されますと、脊髄の圧迫麻痺症状として、上肢下肢のしびれや、指先の動きが悪い、脚がうまく送れない などの症状が出てきます、が、ゆるいだけでは、症状が出ないことが多いです。もともと先天的に環椎の部分の脊柱管(脊髄の通り道)が狭い形になっている方(図3右下)が、脊髄の圧迫症状が出ます。
 頻度は、大学病院や、大きな病院に勤務していた頃は、たまに診ましたが、開業してからはほとんど診ませんので、かなり少ないと考えます。
 治療は、症状が出る方が、環椎と軸椎を固定する手術を行います。環椎の脊柱管が狭い方は、加えてこの部分を広げる手術を加えないと、うまく症状が改善しません。症例が少ないため、脊椎の専門家が多く集まっている大病院で行われるのが通例です。
| 上半身の痛み | 16:33 | - | - | - | - |
上半身の痛みでわかってきたこと
上半身の痛み

 今回から、上肢を含めた、背中から上の部分の痛みのお話です。ただし、頭部は、整形外科では扱わないため、除かせていただきます。

129、背中の痛み

原因不明の背部痛
 
 原因が予想できることもあります。中年以降の女性で、朝起きるとき痛い、横になると寝返りが辛い(困難) なら骨粗鬆症の痛みの可能性が高くなります。スポーツをする若い方なら、筋肉の膜の炎症=筋膜炎のこともあります。肩を動かして、肩甲骨が動くと痛みが出たり、首の前方に曲げると背中の筋肉が引っ張られて痛みが出ます。

原因不明の場合は、
 患者さんは、軽い痛みから、激痛まで、訴え方は様々です。背中から、肩甲骨、首の下(左右、肩こり)まで、痛みを訴えることもあります。急に痛みが出て、楽になる方もいますし、日によって痛みの出方が違う方もいます。
 レントゲンでは異常がでません。首を前に曲げたり、後ろに反らしたり動かすと、背中の筋肉が引っ張られて、痛みが出ることもありますが、通常の動きでは痛みが出ません。血液検査でも異常が出ません。

 この場合、関節運動学的アプローチ手技(腰痛13参照 2007.4月)による診察や、漢方医学的診察を行うと、所見が出ることがかなりあります。
 関節運動学的アプローチ手技に基づいて、胸椎の棘突起(背中の真ん中にふれる骨)を動かすと、痛みの原因となっている部分で痛みが出ます。
 漢方医学的診察を行うと、みぞおちの部分とその周囲を圧迫すると、硬くなっていたり、痛みが出たりします。脈や舌にも変化が出ていることがあります。
 身体的、精神的ストレスや、緊張、体調不良が根底にあり、胃腸の機能障害で、横隔膜が緊張し、神経を伝わって、背中(=別の場所)に痛みが出ると推測しています。実際、体調不良などを自覚している方、胃の調子が悪いと自覚している方、何も感じていない方様々です。肝臓の機能が悪いのではないかと考えられた例では、血液検査をしましたが、異常は出ませんでした。
 漢方薬は、胃腸系の機能を整えたり、肝機能を改善する薬が効く場合が多いです。(=漢方医学的には、気を調節する薬になります。次回お話しする予定です。)一般的な西洋薬の痛み止め、筋肉の緊張を取る薬でも効果があります。リハビリテーション治療は、超音波治療(ホームページ参照)の効果が高い印象です。

肋骨の痛み の本音

肋骨の部分の痛みに関して、お話しておきます。

怪我による肋骨骨折で、レントゲンを撮ってもわからない時がある。

 骨がずれているほどのはっきりした骨折は、まずわかりますが、ずれのない“ひび”(=ひび も骨折です。)程度の骨折の場合の話です。

これはなぜかと申しますと、
 レントゲンでは、肋骨は、12本も在り、重なり合って写りますので、重なり合っている部分の骨折は見つけにくい。
 通常は、体の向きを換えて2回撮影しますが、その2つの方向では骨折が判らないことがある。
 骨が弱い骨粗鬆症の高齢の方では、レントゲン上、肋骨の陰影そのものがわかりにくく、判断できないことがある。
 11,12番目の下の方の肋骨は、肝臓や、消化管の部分の陰影と重なって、判断し難い。
などです。
 
そのため、再撮影をしてもう一度確認した時に、骨折がわかったり(わずかでも撮影方向や、骨の陰影の具合が変わります。)、1ヶ月たってから、再撮影したら、新しい骨が出来ていて骨折していたことがわかった。などということも時々あります。

怪我の後の痛みは2,3日ですぐに治らない。

 骨折していなくても、治るのに、2、3週間かかることが通例です。腕や、身体を使うたびに、筋肉に引っ張られて、治りづらいためと考えています。明らかな怪我でなくても、運動して使ったりして痛くなった時もなかなか治りづらいことがあります。

後から痛みが強くなることがある。

 最初はあまり痛くなかったのに、次第に痛くなることもあります。特に最初の1週間ぐらいに起こる場合が多い印象です。このことは、骨折していても、していなくても起こり得ます。肋骨のすぐ裏側には、肺の膜があります。後から、その部分に炎症が及ぶと、息を吸っても痛みが増しますし、辛い痛みになると考えています。

骨折した時の方が痛いとは限らない。

 上に関連して、骨折していても、周りに炎症が及ばない時は、あまり強い痛みを感じません。逆に、骨折がなくても、肺の膜に炎症が及んでいると、辛い痛みになります。痛みが強いからといって、骨折しているとは限らないのです。

咳をして傷めた時でも骨折しているときがある。

 通常は、咳をし続けたぐらいでは、骨折はしませんが、中には、骨折する方がいます。骨粗鬆症の方は生じやすいと考えますが、必ずしも、骨粗鬆症ではない方でも起こした方はいます。

風邪の後に自然に痛くなることがある。

 風邪の後、1週間ぐらいしてから痛くなる方が多い印象です。風邪を強いている時、引き終わった直後の方もいます。肺の膜に炎症が起こって、痛みが出ていると考えています。
 咳をしていて痛くなってきた方の中にも、この状態の方はいると考えます。咳をして肋骨を傷めたのではなく、肺の膜に炎症を起こして痛みが出ているということです。これらの場合は、消炎鎮痛剤、いわゆる炎症を抑えて痛みを軽くする薬が比較的よく効きますので、治りが早く(=1週間以内には良くなる)、肋骨を痛めたとき(=治るのに週単位)と区別がつきます。

肋間神経痛について、

 肋骨に沿って、痛みが背中から前胸部の方まで生じます。
 高齢の方で、両側に痛みが走る方は、骨粗鬆症で、脊椎を傷めて肋間神経に痛みが走っている場合が在ります。
 片側の場合は、若い方を含めて、原因がわからないことが多い(=いわゆる肋間神経痛という診断になります。)のですが、ウイルスが神経に付いて痛みが出ている可能性が高いと考えています。帯状疱疹(水疱瘡のウイルス)は皮膚に水泡状の湿疹が出来て、すぐにわかりますが、違うウイルスの場合もあると考えています。

治療は共通です。

 主にトリオ治療(ホームページ参照)を行っています。痛みの出所がはっきりしないときには、ある程度の範囲に治療できること、(超音波治療や、レーザー治療では照射範囲が限られます。)肺の膜などの浅いところに効果があればよいので、皮膚の表面を主に通電すること、(超音波や、レーザー治療は、より深部まで届きます。)などの理由です。
 痛みが強い場合は、マジックバンドでワンタッチ固定できる、バストバンドを使います。腰痛のときに使う、ワンタッチで止められるコルセットと違い、縦方向に支える金具が入っていません。=金具があるものを、肋骨部分に着けると、体に当たって痛かったり、しっくりきません。
 前述したように、痛み止めの飲み薬も効果があります。
 もちろん、骨粗鬆症によると考えられる時は、骨粗鬆症の治療をしますし、帯状疱疹による神経痛の場合は、帯状疱疹に効果のある抗ウイルス剤の飲み薬が、痛みもよく取ります。
| 上半身の痛み | 14:52 | - | - | - | - |